【就活】半導体業界とは?業界の動向や売上高ランキングなども紹介

2023/05/19
メーカー
職種研究
業界の仕事内容
目次
1.
そもそも半導体とは?概要をわかりやすく解説
2.
半導体業界における3つの領域とビジネスモデル
3.
半導体業界における4つの主な職種
4.
半導体が活躍する6つの分野
5.
半導体業界の将来は?今後の動向を解説
6.
半導体業界の市場規模と待遇
7.
半導体業界の売上高ランキング
8.
半導体業界の年収ランキング
9.
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この記事では、半導体業界の業界研究を行う就活生に向けて、事業内容や業界動向、売上高別の企業ランキングや年収などを徹底解説。

「半導体についていまいちよく分かっていない…」
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そもそも半導体とは?概要をわかりやすく解説

「半導体」という言葉は聞いたことあるけれど、実際に何を意味しているのか、どのような機能を持っているのかについて知らない人も少なくありません。

「半導体」は、金属のように電気を通しやすい「導体」と、ガラスやゴムのように電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持った物質のことを指します。

現在では半導体を用いた電子部品や、それらを集積したIC(=集積回路)やLSI(=大規模集積回路)までを含めて「半導体」と呼ぶことが一般的です。

半導体ができることは以下の三つです。
・電気エネルギーを光に変換できる
・光エネルギーを電気に変換できる
・電気の流れを制御する

エアコンや炊飯器に半導体を用いる場合は温度センサー、パソコンやスマホなどに用いる場合には処理速度をあげる役割を持っています。また他に、ゲーム機、テレビ、デジタルカメラ、冷蔵庫など、多くの電化製品には半導体が欠かせません。

それでは、デジタル化社会に欠かせない半導体をつくる業界は、どのような仕組みになっているのでしょうか?
‌次で解説していきます。

半導体業界における3つの領域とビジネスモデル

半導体業界は「半導体製造装置メーカー」「半導体メーカー」「半導体商社」の3つの領域に分けることができます。
半導体業界における3つの領域と代表的な企業を図解
それぞれどのようなことを行っているのか、以下で見ていきましょう。

半導体製造装置メーカー

半導体業界を外食業界に例えると、サイゼリアやモスバーガーのように料理を作るのが半導体メーカーで、料理を作るためにキッチンで使う包丁やオーブンを作るのが半導体製造装置メーカーです。

半導体は、シリコンでできたウェーハという丸い板の上に、微細な電子回路を形成することで作られます。花粉やウイルスよりも小さい10nm以下の幅で刻まれるこの回路を作るためには専用の装置が必要で、その装置を作るために半導体製造装置メーカーがあります

半導体製造は複数の工程に分かれており、それぞれの工程で使う専用装置を様々なメーカーが生産しています。半導体製造装置の大きさはトラック1台分ほどのものもあり、価格は1台で数億から数百億にのぼることも。

半導体の製造工程では、特殊なガスや薬液を使用したり、1000度から-100度までの温度まで変化するため、これらの使用環境に対応できるような装置を作るための高い技術力が必要です。

半導体製造装置業界で大きなシェアを占めているのは、日本、アメリカ、オランダ

「東京エレクトロンはコータ・デベロッパ」「SCREENは洗浄装置」「アドバンテストは半導体テスター」のように棲み分けされているため、参入障壁が高いのが半導体製造装置業界の特徴です。

また半導体製造を支える分野として「半導体材料メーカー」「半導体部品メーカー」もあり、半導体製造装置メーカーと合わせて日本企業が強い傾向にあります。

半導体製造装置メーカーの代表的な企業

半導体メーカー

半導体製造装置メーカーの使った装置を用いて「半導体」そのものを作るのが、半導体メーカーです。半導体メーカーは、アメリカのインテル、韓国のサムソン、台湾のTSMCが世界で大きなシェアを占めています。

半導体メーカーの製造形態は、以下の3つのタイプに分かれています。

1. ファブレス:自社で工場を持たず、設計のみを行う会社
2. ファウンドリ:ファブレスから製造を受託し、実際に半導体を作る会社
3. IDM:設計と製造を自社で一貫して行う垂直統合型デバイスメーカー

一言に「半導体」といっても、計算をするロジック半導体、データを保存するメモリ半導体、光を電気信号に変換するイメージセンサーなど様々な種類があります。ロジック半導体はファブレス・ファウンドリの形態で製造することが主流で、メモリ半導体はIDMが主流であるとされています。

1990年代からファブレス企業とファウンドリ企業による分業化がみられるようになりました。設計から製造を一貫して行うIDMでは、生産設備への莫大な投資が必要になります。そのため自社の強みに特化したファブレス化、ファウンドリ化を進めてきました。

2020年のファブレス企業の売上トップ10社はほとんどがアメリカか台湾の企業であり、直近では中国のファブレス企業も成長を続けています。また台湾のTSMCはファウンドリ市場における世界シェアの50%以上を握っています。

一方で多くの日本メーカーが今でもIDMを続けており、ファブレス化やファウンドリ化にうまく移行できなかったことが半導体業界において日本の存在感が薄まった理由のひとつであると考えられています。

半導体メーカーの代表的な企業

半導体商社

半導体メーカーから商品を買い付け、精密機器メーカーや電子機器メーカーなどに販売するのが半導体商社です。

半導体商社の特徴は、半導体に関する専門知識が求められるということです。商品を買い付け、販売するだけではなく、顧客の要求に合わせたカスタマイズや、一部の製品開発なども担当します。

例えば「トランジスタ」という半導体が一台のスマホのなかに40億個搭載されているように、電子機器1台のためにたくさんの種類と数の半導体が必要になります。

1社と契約するだけで複数ある半導体の選定〜使用検討〜交渉などの作業を一貫して行ってもらえる半導体商社は、扱いの難しい半導体業界だからこそ必要な企業です。

半導体商社の代表的な企業

半導体業界における4つの主な職種

半導体業界の主な職種は「設計/研究開発」「プロセスエンジニア」「フィールドエンジニア」「資材調達」の4つです。
半導体業界における4つの職種を並べた画像
ここではそれぞれの職種の仕事内容や役割について紹介していきます。

①設計/研究開発

半導体メーカーや半導体装置メーカーで、半導体や半導体製造装置の設計・研究開発を行う職種です。半導体装置メーカーでは半導体装置の開発・設計を、半導体メーカーでは半導体そのものだけではなく、テレビや携帯などの新製品の設計・研究開発を行う場合もあります。

この職種は技術系総合職として募集されます。専門的な知識や経験が求められるため、理系出身の学生が求められる場合がほとんどで、大学や大学院で学んだことをそのまま活かせる仕事です。

半導体は日々進化し、トレンドが目まぐるしく変わります。電子部品メーカーなどの顧客のニーズに合わせ、従来よりもコストを抑えられる、新しい機能や性能をもつものを設計・開発することを目指すことが重要です。

最先端の技術を用いながら次世代製品の設計や開発に携われることが、この職種の魅力と言えるでしょう。

②プロセスエンジニア

プロセスエンジニアは、半導体メーカーで主に募集されている職種です。製品の企画やコンセプトをもとに製品として具現化したり、量産化するために必要な生産のプロセスを考え、策定します。

設計や研究開発の仕事とも似ていますが、プロセスエンジニアは原材料の選定や製造方法の確立など、実際にプロダクトとして安定的に生産・供給できるように環境を整えながら、ものづくりの全工程をとりまとめていきます。

原材料の選定、量産化計画・設計、製造などの生産プロセス全般が職務領域となるため、大学や大学院で化学・物理・電気・機械を学んでいた経験のある学生が活躍しやすい職種となっています。

いかに低コストで高品質のものを生産していくかが、企業にとって重要です。そのためコストの観点から生産プロセスを考えられる人材が求められているため、エンジニアの中では未経験でも就きやすい仕事だと言われています。

③フィールドエンジニア

フィールドエンジニアは自社製品のトラブルの解決や定期的なメンテナンス、納入時のサポートや製品の説明などを行う職種です。半導体製造装置メーカーにて募集されている場合が多いです。

会社の顔として顧客対応することが主な仕事であることから、半導体に関する専門的な知識が求められる「営業」であると考えてよいでしょう。

フィールドエンジニアの主な業務は、トラブルが起きた時の対応です。顧客のもとに出向いて、必要な部品の交換や修理、復旧作業を行います。また製品納入時の設置やセットアップのサポート、使い方の説明なども任されます。

また他にも、定期点検などの保全やメンテナンス、自社製品に興味を持つ見込み客に対して商品説明を行い、製品を売り込むことも職務領域です。

特に半導体は製造装置が非常に繊細であるため、試運転や稼働状況のチェックなどのために多くのフィールドエンジニアが必要です。そのため安定的に募集されている傾向があります。

④資材調達

原材料や部品、技術やサービス、製造装置など、半導体を作るために必要な様々な資材の取引先選定、調達、購買などを行う職種です。

どのくらいの費用をかけて資材を調達するのかは、製品価格や経営にも大きく影響します。購買計画や発注先の選定、購入価格の交渉、納期管理、原材料の高騰などの市況変化への対応などを通して、事業に貢献することができます。

この仕事は材料についての知識に加え、半導体に関する知識を持っていることも重要です。取引先との交渉というと文系の仕事というイメージがありますが、半導体業界の資材調達に関しては理系出身の学生も活躍できる職種と言われています。

海外の企業に資材を調達することもあり、出張しながら世界的な目線を持って仕事できることが魅力です。

半導体が活躍する6つの分野

「スマホやパソコンに半導体があるのは知ってるけど、他にどんなところで使われているんだろう?」と気になっている方もいるのではないでしょうか?

ここでは、半導体が活躍している6つの分野をご紹介します。
電線柱の工事をする人の画像。半導体が日常において扱われている様子を表す。

①車載半導体

自動車に使われている半導体のことを車載半導体といいます。

1970年代に半導体を使って、点火のタイミングやバルブタイミング、燃料噴射量などの制御を行う自動車エンジン制御システムが開発され、その後自動車には半導体が欠かせない存在となりました。

自動車に使われている半導体の中核となるのが、ECUと呼ばれる電子制御装置です。これによって、エンジンやトランスミッションといった基本的な部分から、エアバッグ、ABSといった安全装置、緊急ブレーキや車線維持システム、車間距離制御システムなどの先進運転支援システムを支えています。

2021年に自動車一台あたり29.6個だったECUの搭載数は、2035年には46.6個まで増えるとされています。市場規模は約7兆円から約21兆円まで伸びる見込みです。

2021年の車載半導体の売上ランキングを国別で見てみると、ルネサスやデンソーを主要メーカーとする日本が約9285億円で、欧州各国を抑えて第1位となっています。企業別で見るとドイツのインフィニオンが約6959億円で第1位、ルネサスは3位で、デンソーが5位です。

PCやスマホなどに使われているロジックやメモリの領域では、既にアメリカ、台湾、韓国が市場を席巻しています。そのような中、主に自動車向けに開発されている車載半導体は、日本が力を入れていくべき領域と考えられています。


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②仮想空間技術

現実の空間に仮想世界を重ねるAR、仮想世界に入り込むVRなどに必要な仮想空間を作り出すための技術のことを、仮想空間技術と言います。

ARはPokemon GOなどの位置情報を利用したゲームや、自撮り用のカメラアプリなどで用いられる技術です。VRはヘッドマウントディスプレイを装着してゲームをしたり、擬似体験をしたりするために用いられています。

これらの技術の進歩のためには、半導体の小型化・低消費電力化・高速化が欠かせません。小さくて軽いデバイスに高解像度の映像を映したり、人工知能を使用するときにかかるような高度な負荷に対応できるような設計を支えています。

仮想空間技術のために利用される半導体の領域で突出しているのは、アメリカのクアルコムです。クアルコムが開発した「スナップドラゴン」というチップは、メタの「オキュラス」や台湾HTCの「バイブ」など、50以上のAR/VR機器に搭載されています。

③医療

ほぼ全ての電子機器に使われている半導体。当然医療の現場でも半導体は活躍しています。近年は、半導体の高性能化や小型化によって、医療技術の向上に貢献しています

例えば内臓の中を観察するには、食道から胃にかけてを見る胃カメラと、大腸を調べる大腸内視鏡が今までありました。そこに、半導体技術が発展したことによってカプセル型の内視鏡が登場しました。管で繋がったまま観察する従来の方法よりも患者の負担が小さく、また消化に関わる全ての段階を観察できるようになり、また今まで観察が難しかった小腸も診察可能となりました。

センサー機能や制御システムといった半導体の技術を利用し、電波によって体外からもカプセルをコントロールし、観察しながら内部で治療することも期待されています。

また離れた場所にいる医師が手術を行う遠隔手術も、5Gといった高速通信やロボティクス技術の発展によって現実的なものとなってきています。このような医療現場の機器や通信を支えるのも半導体です。

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④産用ロボット

産用ロボットは、主に向上において搬送や加工、組立などの作業を人間に代わって行うロボットのことを指しています。作業の自動化によって人手不足や危険作業などの課題を解決することができるため、産用ロボットの需要は近年ますます高まっています。

このような産用ロボットで使われている半導体デバイスを機能別に分類すると、以下の3つに分けられます。

1. 知覚・識別・認識
2. モーター制御
3. ネットワーク

半導体が搭載されたセンサーによって情報を集め、それをもとにCPUが動作を組み立て、パワー半導体が制御するモーターによって機械が動く仕組みです。速く正確な製造を安全に行うことが、半導体技術の発展によって可能になりました

⑤AI(人工知能)

AIの演算処理を高速化させるために設計された半導体チップのことを「AI半導体チップ」といいます。機械学習ワークロードを実行するために最適化されている点が、CPUやGPUのような汎用プロセッサとは異なる点です。

GAFA<Google・Amazon・Meta(=旧Facebook)・Apple>を筆頭とする大手テック企業が、近年次々とこのAI半導体チップの開発に乗り出しています

このAI半導体チップの開発競争加速には、機械学習(=マシーンラーニング)や深層学習(=ディープラーニング)の台頭があります。機械学習や深層学習には、膨大な量のデータ処理に対応できる、高速・高性能かつ消費電力の少ない半導体チップが必要だからです。

AIの学習に必要な計算量は過去10年で飛躍的に増加しており、汎用プロセッサだけでは処理が追いつかなくなっています。このような計算量の増加がAIの発展を妨げたり、環境負荷の増加の要因となったりする可能性があるとされています。

このような背景から、AIの演算処理に適した性能をもつAI半導体チップは、AI領域の発展に必要不可欠な要素となりました。

米調査会社のVMRによると、2021年のAI半導体チップ市場は112億ドルでした。そして2031年には約24倍の規模である2636億ドルになると予想されています。

半導体に関わる上で、無視できない分野となるでしょう。

⑥第5世代移動通信システム「5G」

「5G」とは第5世代移動通信システムのことで、従来のシステムと比較して、多数同時接続・超高速・超低遅延の通信が可能になりました。

近年スマホやパソコンが生活に欠かせない必需品となったように、世界中で多くのデバイスがインターネットに接続され、動画などの大容量データのやりとりが行われています。

この通信を支えるためには、信号を変換するモデム、プログラムを実行するプロセッサ、データを記憶するメモリが必要です。これら全てに半導体が使われています。

またクラウド上にデータを保存するためにはサーバーも必要です。このサーバーを構成しているのも半導体メモリであり、様々な面からインターネット環境を支えています。

これから自動運転や遠隔手術などの実現をするには、タイムラグのない通信システムが確立されている必要があります。半導体の開発に、技術の発展がかかっているといっても過言ではないでしょう。

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半導体業界の将来は?今後の動向を解説

技術の発展と同時にめまぐるしく変化する半導体業界。就職しようか迷っている学生のみなさんの中には、不安を持たれる方もいるのではないでしょうか。

そこで、ここでは半導体業界の今まで〜今後の動向をご紹介していきます。将来性のある業界なのか?どのようなところに課題があるのか?などを一緒に見ていきましょう。

半導体業界┃今までについて

総務省『情報通信白書』によると、世界の半導体の出荷額は、2015年以降増加傾向にあり、2021年には9兆4,999億円(前年比26.7%増)でした。また2018年から減少していた日本の半導体の出荷額は、2021年には7,412億円(前年比29.6%増)と増加に転じました。

他方、1988年の半導体のシェアは日本が全体の50.3%でしたが、約40年間で-40%下がり、2019年には10.0%になりました。
世界と日本の半導体出荷額推移グラフ

‌日本の半導体産業の衰退のひとつの理由は、1986年に締結された日米半導体協定にあるとされています。この協定の内容は以下の通りです。

1. 日本企業は自由に価格を決めてはならず、米国政府が価格を決定すること
2. 日本の半導体市場での外国メーカーのシェアを10%から20%に拡大すること

この取り決めは1996年に解消されましたが、その後も日本の半導体産業は弱体化が進みました。日本が得意としていたテレビやラジオなどのアナログ製品が1990年代にピークアウトし、デジタル製品のパソコン市場が主体のマーケット構造へと変化したことも要因です。

家電製品の半導体生産が得意だった日本は、パソコン、そしてスマホへと変化していった半導体市場に乗り遅れ、現在はアメリカ、韓国、台湾のシェアが大きくなっています。

世界の半導体市場と主要なプレイヤーの図解

経済産業省が作成した上の図を見てわかる通り、市場規模の大きい半導体の設計・製造においてはアメリカや韓国の企業が目立ちます

一方で、半導体製造装置や素材といった面では日本企業が依然として高いシェアを誇っていることも事実です。

半導体業界┃今後の動向について

現在の半導体業界を理解し、また今後の動向を予測する上で重要なことは以下の3点です。

・半導体不足の原因と今後の見通し
・2022年以降の半導体業界の失速
・半導体業界の将来性

これらについて、詳しく解説していきます。

半導体不足の原因と今後の見通し

2020年の秋以降、世界的な半導体不足に見舞われています。

①米中貿易摩擦
②新型コロナウイルスの感染拡大
③サプライチェーンの混乱と輸送コストの急騰
④新たな需要の発生
⑤ウクライナ危機の影響
これら5つが半導体不足の原因であると考えられています。

①米中貿易摩擦
まず半導体不足の発端となったのはアメリカと中国の貿易摩擦です

米中間の貿易摩擦によって、アメリカは中国企業への制裁を行うために規制を強化し、中国の大手ファウンドリーであるSMICを含む対象企業の輸入を事前許可制としました。

それにより中国からアメリカへの半導体の輸出量は大幅に減少し、また減少分の代替先として台湾の企業に発注しましたが、受注に対応しきれませんでした。この一連の流れが半導体不足の大きな引き金となりました。

②新型コロナウイルスの感染拡大
そこで新型コロナウイルス感染症の流行が起こります。

コロナ禍である2020年下期には、テレビ・スマホ・パソコンの需要が急激に高まりました。また人との接触を避ける心理が働いたことから自動車の需要も拡大しています。

米中貿易摩擦によってそもそも半導体が不足している中で、コロナの影響で半導体の需要がひっ迫し、現在も続く半導体不足が引き起こされました。

③サプライチェーンの混乱と輸送コストの急騰
コロナ禍では世界の多くの工場が閉鎖されるなど生産停止を余儀なくされました。そのため入手困難な部材が生じました。

またこの時期はEC市場が拡大したことなどによって、海運の集中による世界的なコンテナ不足に見舞われました。そのため海上輸送のコストは上昇し「部品が入手困難」「部品があったとしても輸送コストが高騰している」という状況になりました。

④新たな需要の発生
5Gへの移行、電気自動車やハイブリット車などへの新たな需要が発生していたことも、半導体不足を加速させる一つの要因となりました。

これらの製品には従来よりも多くの半導体を使う必要があります。巣ごもり需要があるだけではなく、今までよりも多くの半導体が必要になる製品の需要が拡大していました。

⑤ウクライナ危機の影響
半導体の製造に使われるネオンやクリプトン、キセノンといった希ガスやレアメタルの一部は、ロシアやウクライナから供給されています。

特にネオンガスは世界の需要の7割をウクライナが占めています。ロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシアとウクライナのサプライチェーンが絶たれてしまう懸念がありました。

一方で、関係企業は、ロシアによる侵攻の前に在庫の確保を行っていました。そのため現時点で影響は顕在化していませんが、今後軍事侵攻が長期化すればサプライチェーンに影響するでしょう。

IntelのCEOであるパット・ゲルシンガー氏や米商務長官らは、2024年ごろまで半導体不足が継続すると予想しています。また同時に、不足が解消した時の供給過剰についても懸念されています。

2022年以降の半導体業界の失速

コロナ禍における巣ごもり需要やテレワークの拡大によって、半導体業界は好景気でした。

Nintendo Switchなどのゲーム機、Netflixなどのストリーミングサービスが普及したこと、またテレワークで通信に使うデータセンターの需要が増えたことが要因です。これらの通信機器には半導体がたくさん使われるため、需要が急拡大し、売り上げは好調でした。

この好景気は2022年前半頃まで続きましたが、巣ごもり需要の一巡、インフレ、金融取締、中国のゼロコロナ政策などの影響によって減速しています。

2022年11月に発表されたアメリカの市場調査会社Gartnerの世界半導体市場予測によると、2023年の世界半導体売上高は前年度比3.6%減の5960億ドルだと予測されています。

半導体業界の将来性

2023年も半導体不足や、業界全体の失速は続き、市場はマイナス成長になると予測されています。

スマホやPC、データセンターの需要減によってメモリ半導体の売上が減少したことです。半導体メーカーも設備投資計画の見直しが相次いでおり、そのため業界全体として業績が下がることが予測されています。

一方で、5Gの進展、lotの普及、自動車の電装化、スマホやPCの高性能化など、長い目で見ると今後も半導体の需要は拡大し続けるであろうと期待されています。

先述した通り日本の半導体メーカーは競争力を失いつつありましたが、「ルネサスエレクトロニクス」「キオクシア」など、日本の有力企業の再編、統合などを通じて、業界再編が進んでいます。

半導体業界の市場規模と待遇

半導体メーカー、半導体製造装置メーカーの市場規模や成長率、平均年収をまとめました。
半導体業界の市場規模や成長率、平均給与を示す図

半導体業界は毎年順調に業績を伸ばし続けています。また平均年収も半導体メーカーは785万円半導体製造装置メーカーは928万円と高い給与を得られることが分かります。

次項から企業別に売上高ランキングと年収ランキングをご紹介します。
ぜひ気になる企業を見つけてみてください。

半導体業界の売上高ランキング

半導体業界の売上高ランキング‌東芝から分離したキオクシアが国内売上高1位、日立製作所・三菱電機・NECを起源にもつルネサスエレクトロニクスが2位となっています。この2社は世界の半導体企業売上高ランキングでも12位と15位にランクインしており、再編が成功しているといえるでしょう。

キオクシアはフラッシュメモリ市場において世界2位である約20%のシェアを持っています。ルネサスエレクトロニクスは車載半導体で世界トップシェアです。

また上位3社であるキオクシア、ルネサスエレクトロニクス、ソニーだけで、国内半導体業界全体の60%以上のシェアを持っています。

半導体製造装置業界で1位の東京エレクトロンは世界3位の「前工程」を得意とする半導体製造メーカーです。アドバンテスとは半導体検査装置の大手です。

半導体業界の年収ランキング

半導体業界の年収ランキングレーザーテック、東京エレクトロン、アドバンテストなど、独自の強みを持った企業が平均年収ランキング上位に位置しています。

特定分野において世界の分野で高いシェアをもつ半導体製造装置メーカーは業績も良く、社員の給与も高い傾向にあると分かります。

半導体業界研究をするならMatcher

これまで半導体業界における領域や職種、半導体が活躍する分野などを解説してきました。
しかし実際に選考を受けるとなると、ネットで調べて出てくるものよりも深い情報を知っておく必要があります

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