【業界研究】自動車業界に将来性はある?|現状・課題を解説
2023/07/18
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日本が世界に誇る自動車業界
関連産業の就業人口が日本全体の約1割を占めると言われる自動車業界。日本の産業の屋台骨と言ってもよいでしょう。自動車メーカーをはじめ世界的に有名な企業が数多く属し、就職活動を行う学生から人気を集めています。
一方、自動車業界を取り巻く環境は大きく変わりつあります。環境問題への対応やそれに伴う自動車の電動化。また、自動運転技術の登場による業界構造の変化などが挙げられるでしょう。
100年前に自動車の量産化に成功して以来の大変革期を迎えていると言われており、今後の先行きは不透明です。
この記事ではそんな自動車業界の現状・課題と今後の展望について解説していきます。自動車業界への就職を考えている方はぜひ目を通し、業界への理解を深めてください。
自動車業界の現状
まずは自動車業界が置かれている状況を理解していきましょう。
前段から述べている通り、自動車業界は非常に巨大な産業です。
特に自動車メーカー各社は大きな売り上げを持っており、最大手のトヨタ自動車は2018年に日本企業で初めて売上30兆円を突破しました。グループ企業も順調に売り上げを伸ばしています。
一方で世界各地で環境規制が進み、日本の自動車メーカーが得意とするエンジン車の販売が将来的に禁止される国や地域が出てきました。また自動運転技術といった新技術の登場により、異業種からの参入が活発化することが予想されています。
シェアリングの普及に伴い関連サービス事業にも変化がみられるなど、各社生き残りに向けた対応を迫られていくことになるでしょう。
シェアリングの普及に伴い関連サービス事業にも変化がみられるなど、各社生き残りに向けた対応を迫られていくことになるでしょう。
売上高ランキング
以下では、日本国内の売上ランキングをまとめています。
平均年収ランキング
就職する上で年収は気になりますよね。
下図で年収ランキングをまとめましたので参考にしてみてください。
自動車業界の構造
非常にすそ野が広い自動車業界。世界的な知名度を誇る自動車メーカーが代表的な企業ですが、他にも部品を製造する自動車部品メーカーや販売を担う自動車ディーラーなども挙げられます。しかし、それらの企業にとどまらず関連する事業は多種多様。関係性も複雑です。
今回は自動車業界における代表的な事業領域を大まかに説明していきます。今後、大きな変化が訪れるであろう自動車業界。様々な企業に目を向けることをおすすめします。
今回は自動車業界における代表的な事業領域を大まかに説明していきます。今後、大きな変化が訪れるであろう自動車業界。様々な企業に目を向けることをおすすめします。
自動車メーカー
自動車業界と聞いて多くの方が思い浮かべるのが、トヨタ自動車や日産自動車、本田技研工業ではないでしょうか?これらはすべて自動車メーカーに分類されます。
自動車メーカーの事業はその名の通り、自動車を製造し、販売することです。世界的に名の聞こえた企業も多く、ほとんどの自動車メーカーがグローバルに事業を展開しています。
また、同時に今後迎える時代の大きな転換の中で、変化を求められていくことは避けられません。日本を代表して世界を舞台に仕事をしたい学生にオススメです。
代表的な自動車メーカー
トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、ダイハツ工業、スズキ自動車、いすゞ自動車、日野自動車など
自動車部品メーカー
自動車メーカーに部品を供給するのが自動車部品メーカーです。自動車メーカーが主に担うのは自動車の開発と組み立て。実際に自動車の性能をつかさどる部品の多くは自動車部品メーカーによって供給されています。
日本の自動車部品メーカーには高い技術力を持っている企業が多く、日系自動車メーカーのグループ企業であっても世界中の自動車メーカーとグローバルに取引しているのが特徴です。
また、自動車の機能の変化に伴い、これまでは一般的には自動車部品メーカーには分類されない企業も自動車メーカーと直接的に取引するようになってきました。
今後の展開次第ではキープレーヤーになる可能性があります。
自動車の性能に関心のある方は素材・材料の動向に目を向けるとよいでしょう。
代表的な自動車部品メーカー
デンソー、アイシン精機、豊田自動織機、パナソニック、日本製鐵、AGC、村田製作所、日本電産など
自動車ディーラー
一般消費者に対し、実際に自動車を販売するのが自動車ディーラーです。ディーラーは一般的に自動車メーカーと契約を結んでいる販売業者を指します。
ですから、TOYOTA系列のディーラーであればTOYOTA車のみを販売することになります。
また、購入後もアフタフォローに努め、後々の新車購入に繋げていくのもディーラーの重要な役割です。
ですから、TOYOTA系列のディーラーであればTOYOTA車のみを販売することになります。
また、購入後もアフタフォローに努め、後々の新車購入に繋げていくのもディーラーの重要な役割です。
今後、カーシェアが普及していけば役割も変わっていく可能性があります。動向を注視していく必要があるでしょう。
代表的なカーディーラー
トヨペット、ネッツ(TOYOTA系)、Honda Cars(HONDA系)、ヤナセ(輸入車)
自動車関連サービス
自動車に関連するサービスは非常に多岐に渡ります。中古車販売や駐車場サービス。また、自動車に乗る上で欠かせない保険を提供する損害保険会社も関連サービスに含まれます。
近年はシェアリングサービスが普及し、業界全体に大きな影響を与えつつあります。今後、自動車との関わり方が変わる中で新たなサービスも誕生してくるかもしれません。
近年はシェアリングサービスが普及し、業界全体に大きな影響を与えつつあります。今後、自動車との関わり方が変わる中で新たなサービスも誕生してくるかもしれません。
自動車関連サービス提供企業
IDOM(中古車販売)、東京海上日動(損保)、オリックス(カーリース)タイムズ24(駐車場)
自動車業界のトレンドワード“CASE”とは?
上述の通り、自動車は大きな変革期を迎えています。今後進んでいくであろう変化を総称してCASEと呼びます。
CASEは
CASEは
Connected(=コネクティッド)
Autonomous(=自動運転)
Shared & Services(=シェアリング)
Electric(=電動化)
の頭文字をとったもので、自動車業界の改革の多くがこれらに対応するために行われているものです。
CASEにより、かつては自動車業界では必要とされてこなかった技術の重要性が高まるほか、自動車業界が培ってきた優位性が失われると指摘されています。
Connected(=コネクティッド)
Connectedとは、自動車がインターネットやクラウドなどとつながり、さまざまな情報やサービスを提供することです。
例えば、ナビゲーションや音楽、ニュースなどのコンテンツを自動車内で楽しんだり、運転状況や故障診断などのデータをリアルタイムで送受信したりすることができます。
また、自動車同士やインフラとも通信することで、交通安全や効率を高めることも可能です。
自動車業界はConnectedの進行によって、利便性や快適性を向上させるだけでなく、新たなビジネスモデルや収益源を生み出す可能性も秘めています。
Autonomous(自動運転)
Autonomousとは、自動車が人間の介入なしに自ら運転することです。
現在、自動運転技術は段階的に発展を続けています。
なお、自動運転は下図のように、レベル1からレベル5までの5段階に分類されています。
今後自動車は、人間の負担や事故を減らし、時間やエネルギーを節約するだけでなく、移動体験やライフスタイルに変革をもたらすでしょう。
Shared & Services(カーシェアリングとサービス)
Shared & Servicesとは、自動車を個人所有するのではなく、必要に応じて共有することです。
例えば、カーシェアリングやライドシェアリングなどのサービスがあります。
カーシェアリング
カーシェアリングとは、自動車を必要なタイミングでレンタルするサービスです。
利用者はアプリなどで自動車の場所や予約を行うことができます。
ライドシェアリング
ライドシェアリングは、自動車に乗る人や運転する人をマッチングするサービスです。
利用者はアプリなどで目的地や出発時間を入力し、運賃を支払います。
カーシェアリングとサービスの発展によって、自動車の利用効率やコスト削減を実現するだけでなく、交通渋滞や環境負荷を軽減する可能性もあります。
Electric(電気自動車)
Electricとは、自動車の動力源をガソリンやディーゼルなどの燃料から電気に変えることです。
ex)ハイブリッド車・電気自動車
電気自動車の技術発展は、自動車の燃費や性能を向上させるだけでなく、排ガスや騒音を減らす可能性もあります。
【やばいって本当?】自動車業界の課題とは
自動車業界と検索すると「やめとけ」「やばい」と出てきて不安になっている自動車業界志望者もいるかもしれません。
ここからは自動車業界の課題について説明していきます。
販売台数の減少
2022年の日本の自動車販売は、419万台であり、前年より5.6%縮小しました。
2022年の販売台数は、1990年代の3分の2ほどに落ち込んでいます。
日本の自動車販売が縮小した要因として
・半導体をはじめとした部品不足
・自動車の高性能化に伴う価格上昇
が挙げられます。
特に軽自動車の価格高騰が顕著で、10年間で5割程度の値上げが実施されました。
【出典】Japan Automobile Manufacturers Association, Inc.
【出典】Japan Automobile Manufacturers Association, Inc.
半導体不足
半導体不足は自動車業界にとって深刻な問題です。
半導体は自動車の機能や性能に大きく関わる部品であり、需要が高まる一方で供給が不安定になっています。
これはIOTをはじめとしたアプリケーションにも半導体が活用されており、需要が急速に拡大しているためです。
この状況は当面続くと見られ、自動車メーカーは生産の減少や操業の停止を余儀なくされています。
EV車の浸透で部品メーカーは危機に陥っている
EV車は電気を動力としているため、従来型のガソリン車に使われていた内燃機関が不要になります。
そのため、内燃機関の生産を担っていた中小企業の雇用が失われる恐れがあるでしょう。
アーサーディーリトルはレポートにて、日本の自動車部品メーカーの雇用が2050年までに8万人減少すると予測しました。
一方で、下図の通り、EVシフトによるプラスの影響を受けると捉えているメーカーと、マイナス影響を受けると懸念している企業が同程度存在しています。
EVシフトは懸念点も大きいですが、ビジネスチャンスといえるでしょう。
EVシフトは懸念点も大きいですが、ビジネスチャンスといえるでしょう。
将来性-自動車業界の今後はどうなる?‐
最後に自動車業界の将来性について解説します。
新しい交通の在り方「MaaS」
新しい移動の形である「MaaS」の進展は自動車業界に大きな影響を与えると考えられています。
MaaSとは、地域住民や旅行者の移動ニーズに応えるために、公共交通や自動車、自転車などのさまざまな移動手段を最適に組み合わせて提供するサービスのことです。
所有から利用へのシフトの進行
MaaSにより、自動車を所有する必要性が低下し、カーシェアリングやレンタカーなどの利用が増える可能性があります。
自動車メーカーやディーラーの販売戦略やビジネスモデルの再構築が求められるでしょう。
トヨタでは「my route」というMaaSアプリの提供が始まっており、今後も同様のサービスが普及していくと予測されます。
データ活用とサービス提供
MaaSでは、移動に関するさまざまなデータが収集・分析・共有されます。
データは、ユーザーのニーズや行動パターンを把握し、最適な移動プランや付加価値サービス提供に活用できます。
自動車業界は、データ活用能力やサービス提供能力を強化する必要があるでしょう。
新興国進出が生き残りのカギに
日本国内の自動車市場は飽和状態にあり、成長余地が少ないと言われています。
一方、中国やインドなどの新興国では、人口増加や所得向上に伴って、自動車需要が急増しており、自動車業界にとってチャンスです。
日本の自動車メーカーは海外市場において高品質や高性能などの優位性を持っていますが、価格競争力や地域適合性などの課題もあります。
そのため、現地生産や現地パートナーとの協力などを通じて、市場ニーズに応えることが求められるでしょう。
自動車業界への理解を深めたい方へ
自動車業界についてここまで解説してきました。しかし、これだけでは分からないこと、今後の展望について疑問点も多々あると思います。
実際に働いている社会人の方にお話を聞きたいと思った方も多いのではないでしょうか?
そんな時におすすめなのが、OB・OG訪問のマッチングサービス、Matcher(マッチャー)。
Matcherでは、所属大学や学年に関係なく、社会人の方にお話を聞きに行くことができます。内定者の方にもご登録いただいているため、選考対策のサポートにも利用することができます。
【社会人の所属企業一覧(一部)】
トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、デンソー、アイシン精機、豊田自動織機、日本製鐵、村田製作所、京セラ、AGCなど
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積極的に自動車業界の社会人の話を聞きにいって、悔いのないように就活を終えましょう。
今すぐ社会人に会いに行く
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おわりに
自動車業界全体が変革期を迎えていることは述べてきました。今後の展開次第で大きく成長する企業もあれば、衰退する企業もあるはずです。
そのような中で自動車業界各社は今後の生き残りをかけた取り組みを加速させています。自動車メーカーの多くは車を作るだけでなく、モビリティサービスを提供する会社への脱皮を目指しています。
部品メーカーも新技術の開発や異業種連携など対応を強化。IT企業も自動運転に本格的に参戦しつつあります。シェアリングサービスの普及で、今後、新たな強力なプレイヤーが出現するかもしれません。
自動車業界への就職を考えるのであれば、かつてのような成熟した安定産業ではないという認識が必要になるでしょう。また、異業種の参入が進む中で企業選びの選択肢も広まってきています。
今後の展望を踏まえて視野を広く持ち、しっかりと業界研究を行ったうえで、就職先を検討していってください。