‌【業界研究】自動車メーカーの仕事内容・将来性を徹底解説!

2023/07/18
職種研究
営業職
メーカー
業界の仕事内容
自動車
自動車メーカー
目次
1.
‌グローバルに展開する日本の自動車メーカー
2.
‌自動車メーカーの事業
3.
自動車メーカーの仕事内容
4.
‌自動車メーカー社員の1日
5.
自動車メーカーの将来
6.
時代の変化への対応を迫られる自動車メーカー
7.
激動の自動車メーカー ~今後の展望~
8.
‌自動車メーカーの魅力
9.
苦労すること
10.
自動車業界への理解を深めたい方へ

‌グローバルに展開する日本の自動車メーカー

日本が世界に誇る巨大産業である自動車産業。その中でも業界を引っ張るのは自動車の製造を担う自動車メーカーです。

‌日本企業の売上高ランキングをみると、なんと1,2,4位に自動車メーカーが名を連ねています。世界的な知名度を誇る、押しも押されぬ大企業と言えるでしょう。

‌こう聞くと盤石に思える自動車メーカーですが、必ずしもそうとは言い切れません。自動車業界を取り巻く環境は現在、急激に変化しているのです。

この記事では、変革期の真っ只中にある自動車メーカーの事業と仕事内容についてご紹介していきます。ぜひ業界研究に生かしてください。

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自動車メーカーの事業

自動車メーカーの事業は自動車製造し、それらを販売することです。しかし一口に自動車といっても、製造する自動車の種類は多種多様。実に多岐に渡ります。

今回は自動車を大きく、乗用車 軽自動車 商用車の三つに分けて紹介していきます。

乗用車

自動車メーカーを示す自動車‌私たちがイメージする自動車の多くがこの乗用車です。
‌コンパクトカーやミニバン、セダンなどが該当します。
‌自動車メーカーは消費者の多種多様なニーズに応じた自動車を開発し、販売していきます。
‌乗用車は販売台数が多く、日本において売上が大きい自動車メーカーは乗用車をメインに扱っています。

日本の自動車メーカーが製造した自動車は燃費や耐久性といった品質の面で非常に高く評価されており、世界各国で走っています。
‌環境規制が強まっていく中でも燃費性能のよいガソリン車やハイブリッド車を投入し、人気を集めてきました。

しかし、近年は規制がさらに強まり日本の自動車メーカーが強みとしてきた高度なエンジン技術を用いる自動車を禁止する動きも世界各地で出始めました。電池とモーターで動くEVではエンジンが不要になり、技術的な難易度が下がるため異業種からの参入も増えると言われています。自動車メーカーも新たなライバルと戦っていくことになるかもしれません。

また価値観の多様化が進み、商品開発が難しくなってきています。
‌かつてはステータスという側面も強かった自動車ですが、近年はそういった感覚を持つ消費者も減少。
‌一方で安全性能を重視する消費者や走りの感覚を大切にする消費者もおり、多様化するニーズに応えていくことが求められるようになってきています。

代表的な乗用車メーカー

トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、マツダ、SUBARU、三菱自動車工業など

軽自動車

軽自動車‌近年、日本で大きく売り上げを伸ばしているのが軽自動車です。日本の新車販売台数でも数多く上位にランクインしており、新車販売台数の約40%を軽自動車が占めています。軽自動車をメインで扱う自動車メーカーのみならず、上記で紹介した乗用車メーカーも軽自動車を数多く製造し、販売しています。

軽自動車がこれほど人気を集める理由として挙げられるのが経済的であるということです。法律上、軽自動車は乗用車と区別されており支払う税金が安く済みます。また保険料も安くなり、燃費もいいので非常に経済的なのです。

先ほど述べたように、かつて自動車はステータスという側面が色濃くありましたが、近年はそういった認識も薄まってきています。
‌特にその傾向が強い若い世代を中心に売り上げを伸ばしているほか、軽自動車で培った低コストで車を作る技術を用いて、低価格の自動車が人気を集める新興国でシェアを拡大しています。

軽自動車を主に扱うスズキは成長著しいインド市場で4割近くのシェアを誇るなど大きな存在感を放ち、ダイハツ工業もインドネシアやマレーシアといった東南アジアで大きなシェアを持ちます。
新興国を舞台に仕事がしたい就活生は要チェックの企業といえるでしょう。

代表的な軽自動車メーカー

スズキ、ダイハツ工業

商用車

トラックやバスなどの商用車トラックやバスなどの働く車に該当するのが商用車です。商用車は一度に長距離を走り、重い荷物やたくさんの人たちを運ぶことが求められます。そのため乗用車や軽自動車に比べて耐久性が重要になるのが特徴です。

また商用車には自動運転などの先進技術が乗用車に先行して導入されています。
‌この理由として挙げられるのは、物流業界の人手不足。つまり、自動運転へのニーズが乗用車のドライバーよりもはるかに高いのです。
‌またトラックやバスは走行ルートがあらかじめ決まっていることが多く、自動運転でも対応しやすいことなどが挙げられます。
‌故障予知などのサービスの提供も先行して行われつつあるなど、自動車業界の今後の流れを先取りしている分野とも言えそうです。

トラック、バス以外に商用車メーカーが扱っているのがピックアップトラックと呼ばれる開放式の荷台を持つ車種です。
‌北米や東南アジア、新興国向けがメインで日本ではあまり馴染みがありませんが、海外で一般に流通している車種であり、売上に大きく貢献しています。

代表的な商用車メーカー

いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックス

自動車メーカーの仕事内容

数あるメーカーの中でも就活生から絶大な人気を誇る自動車メーカー。その仕事内容を事務系総合職技術系総合職にわけて大まかに解説していきます。

事務系総合職

事務系総合職に就く文系を示す本の画像です‌文系出身の学生の多くが目指すことになる事務系総合職。イメージがしにくいという方も多いかもしれませんが、事務系社員も社内で重要な仕事を担っています。細かく分ければ非常にたくさんの仕事がありますが、今回は‌以下5つの仕事に大別して解説していきます。

営業

営業の仕事は大きく2つ。ディーラーへの営業支援と大口の顧客である企業や官公庁むけの営業です。

ディーラーとは消費者に対して車を直接販売する販売店のことです。営業支援は文字通り、ディーラーが車を販売できるようにサポートする仕事です。資料を作ってディーラーが他社製の自動車との違いを説明できるようにしたり、キャンペーンの展開を手助けしたりします。

‌企業や官公庁むけの営業は社用車や公用車の入札に参加し、提案を行うのが仕事です。社用車や公用車のように、一度に多数の自動車を取引する場合はディーラーを介さずに営業が顧客とやり取りをします。

‌営業は顧客のニーズを吸い上げる役割も担っており、顧客と近い場所で仕事をしたい方はぜひ検討していただきたい職種です。

調達

調達の仕事は自動車を製造する際に必要な自動車部品購入することです。部品の性能は自動車の性能に直結するほか、調達コストは完成した自動車価格の製品価格に跳ね返ります。製品の性能や価格といった競争力を左右する、非常に重要な仕事です。‌

商品企画

新たに販売をする自動車の企画を行うのが、商品企画の仕事です。営業が吸い上げた消費者のニーズを解釈し、製品に落とし込んでいきます。コスト面などの問題を社内で調整しながら自動車に形を作り上げる、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

生産管理

生産管理の仕事は工場で納期・品質・コスト管理を担います。メーカーにとって納期遵守は絶対。あらゆるトラブルに対処しながら、円滑に生産を進めていく能力が必要になる仕事といえるでしょう。トヨタ自動車のかんばん方式に代表される生産管理方式が日本の自動車産業を支えてきました。事務系でありながら生産を支えていきたい方におすすめの職種です

スタッフ

総務人事経理などを総称して指す言葉です。どの企業にもある、会社全体を管理していく業務を担っていくことになります。会社全体を見ながら、業務を最適化していきたい方におすすめです。

技術系総合職

技術系総合職‌自動車づくりを担うのが技術系総合職です。仕事内容は非常に多岐に渡りますが、今回は大まかに分類して紹介していきます。
‌担う自動車の機能によっても仕事も大きく変わります。実際に社員の方の話を聞きながらイメージしていくことをおすすめします。

研究開発

自動車の設計・開発を行うのが、自動車の研究開発を担う社員の仕事です。部署によって担う仕事は大きく異なりますが、先端的な研究から実用に即した開発まで幅広く行っていきます。実際に自動車を形作っていく、仕事と言えるでしょう。大学時代の専攻も配属に関わってきます。

生産技術

効率的な製造ラインを作るのが生産技術の仕事です。生産技術の精度がコストや品質に直結するため、非常に重要な役割と言えるでしょう。現場力とも形容される高度な生産技術は、日本の自動車業界が培ってきた強みの源泉とされ、日本の業界全体を支えています。

品質管理

人の命を乗せて走る自動車に絶対的に求められるのが品質。その管理をするのが品質管理の仕事です。また、アフタフォローや補修品の開発・販売を事務系の社員と連携しながら担う場合もあります。

‌自動車メーカー社員の1日

自動車メーカーの職種を解説したところで、社員の1日を紹介します。

これを読んで実際に働くイメージを作ってみてください。

営業

9:00 出社
9:15 朝礼
・1日のスケジュール、お客様情報の共有
10:00 来店対応
12:00 昼休憩
13:00 商談
・来店客のニーズのヒアリング
・新車の提案
15:00 ルート営業
17:00 電話営業
・メンテナンスの案内
・既存顧客のフォローアップ
17:50 終礼

エンジニア

9:00 出社
9:15 朝礼
10:00 車検
12:00昼休憩
13:00 故障診断
・故障の原因特定、修理作業
15:00 12か月法定点検
・1年目の車両の点検作業
17:00 電話
・車検後の走行状況の確認
17:50 翌日の段取り・帰宅
・営業スタッフとの打ち合わせ

研究開発職

9:00 出社
・メール確認
・1日のタスク整理
9:15 朝礼
9:30 ミーティング
・営業職との打ち合わせ
10:00 開発準備・雑務
12:00 昼休憩
13:00 開発・試験
・品質試験
・研究開発
18:00 試験終了
・データ解析
・結果まとめ
19:00 退勤
スケジュール長の画像

自動車メーカーの将来

実際に自動車メーカーに就職するにあたって、業界の将来性が気になる就活生は多くいるはずです。

‌ここからは長期的な自動車メーカーの動向について解説します。

2040年に新車の半分はEVに

2040年に、EVは新車販売台数の半分を占めると予測されています。

これは世界各国でガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止する法整備が進んでいるためです。

アメリカ

州内で新車の100%を、2035年までに電気自動車かプラグインハイブリッド車にすることを義務付ける(カリフォルニア州)
※他州も追随の可能性あり

中国

2035年をめどにガソリン車の新車販売を禁止して、全ての新車をハイブリッド車や電気自動車に

EU

2035年にガソリン車禁止を採択、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も販売禁止に

以上のように、ガソリン車から電気自動車への変化の流れは世界的に広がっています。

脱炭素の潮流に乗ることができなければ、自動車メーカーの存続は難しいでしょう。

自動車生産台数の減少が予測

2025年以降、成長率は鈍化し、2031年に生産台数約9650万台でピークをつけた後は、9550万台前後まで緩やかに低下していくと予測されています。

新型コロナウイルスで下落した自動車生産台数は回復傾向にあるものの、主要先進国における自動車需要の縮小が想定されているようです。

今後は大量生産ではなく高付加価値の製品開発が求められます。

新興国における自動車需要の拡大

主要先進国では飽和状態にある自動車市場ですが、中南米や東南アジアなどの新興国では新規市場開拓の余地があります。

今後はいかに新興国に自動車の販路を拡大していけるかどうかは、自動車メーカーの生存のカギになるでしょう。

高まる技術職の需要

次世代自動車の開発が進むにつれて、機械系の知識だけでなく、電気工学やソフトウェアエンジニアリングにも精通したエンジニアの需要が高まっています。

これは、ハイブリッド車や電気自動車などの次世代自動車は、従来の自動車とは異なり、燃料電池や大型の電動モーターで走行するため、多数の電子制御ユニットが必要になるためです。

時代の変化への対応を迫られる自動車メーカー

自動車メーカーに変革をもたらすCASEを象徴的に示した画像です。‌皆さんはCASEという言葉を耳にしたことがありますか?

自動車業界で起こっている変革を指す言葉で、

Connected(=コネクティッド)
Autonomous(=自動運転)
‌Shared(=シェアリング)
‌Electric(=電動化)

の頭文字をとったものです。

電動化が進めば、日本のメーカーが培ってきたエンジン技術における優位性が失われてしまいかねないという指摘があります。また、自動運転にはIT系の企業が参入してきており、技術開発競争が激化。シェアリングが進めば、個々人が車を所有することがなくなり、販売台数が減少すると言われています。

自動車メーカーは生き残りをかけてCASEへの対応を進めるほか、異業種とも積極的に連携。モビリティを提供するサービス会社への脱皮を目指しています。
CASEに関連する大手3社の主な取り組み

激動の自動車メーカー ~今後の展望~

荒波を迎える自動車メーカーの展望を示しました。‌先ほどから述べている通り、自動車業界は大変革期を迎えています。全体の構造が大きく変わる可能性もあるでしょう。

そのような中、各自動車メーカーが対応を急ピッチで進めています。各社の動きを見ながら、自動車業界でどのように働いていきたいのか。自動車メーカーでどういった役割を担いたいのか、よく考えながら就職活動を進めていってください。

‌自動車メーカーの魅力

大変革期を迎える自動車メーカーですが、そこで働く魅力も大きいです。
ここでは自動車メーカーで働く代表的な魅力を解説していきます。

平均年収が高く、福利厚生が整っている

自動車メーカーの平均年収は、600万円〜800万円程度が目安とされています。

日本の平均年収は445万円(2020年時点)であり、平均よりも高い収入を得られるようです。

自動車メーカーはボーナス、退職金、家賃補助などの各種手当の水準も他業界よりも充実しています。

業界の安定性や規模感が年収と福利厚生に反映されているといえるでしょう。


グローバルに働ける

日本国内の自動車市場が飽和している昨今、自動車メーカーはこぞって海外進出を進めています。

そのため「語学力を生かしたい」「海外で働いてみたい」と考えている方にはぴったりの業界といえます。

様々な業務を経験できる

自動車メーカーの多くは、ジョブローテーション制度をとっています。

例えば、事務系総合職として入社した場合、経理・マーケティング・企画など様々な業種を経験できるでしょう。

また、トヨタ自動車のように規模の大きい自動車メーカーに就職した場合、キャリアの一環でグループ会社に出向する場合があります。

流通、商社、金融など、幅広い経験ができることは自動車メーカーの大きな魅力です。

クルマ愛を仕事に活かせる


文系・理系を問わず「クルマに対する思い」を製品やサービスに反映させることができます。

また、自動車メーカーで働いていなければわからない情報をたくさん知ることができるため、クルマ好きにはとても魅力的な職場といえるでしょう。

自動車の構造の図

苦労すること

自動車メーカーは魅力的な業界ですが、時には難しいと感じる場面もあるかもしれません。

ここからは働く際の苦労や、難しいと感じるタイミングを紹介します。

全国転勤・海外転勤がある

自動車メーカーは全国・全世界に拠点を持っています。

そのため、数年に1度異動があり、居住地が安定しません。

同じ場所に住み続けたい人とっては、自動車メーカーの働き方は合わないかもしれません。

海外企業のコミュニケーション

上述の通り、自動車メーカーの社員はグローバルなコミュニケーションを求められる機会が多いです。

海外の担当者とのコミュニケーションや、赴任先の暮らしになじめず退職を決意する社員も少なくありません。

自動車メーカーを志望する際は最低限の語学力を身に着けておくことをお勧めします。

すぐに成果が見えない

自動車業界のプロジェクトは大きく、数年単位で進行するものが多いです。

すぐには自分の仕事の成果が見えないため、モチベーションの維持が難しいと感じる社員の方もいるようです。

一方で、長い時間をかけたプロジェクトが成功した際のやりがいは大きいといえるでしょう。

自動車業界への理解を深めたい方へ

ここまで自動車メーカーの事業および仕事内容について解説してきました。

しかしまだ、「本当に自動車メーカーに向いているのか不安」と考えている就活生もいるでしょう。

‌そんな方におすすめしたいのが、OB・OG訪問のマッチングサービス、Matcher(マッチャー)。

Matcherでは、所属大学や学年に関係なく、社会人の方にお話を聞きに行くことができます。内定者の方にもご登録いただいているため、選考対策のサポートにも利用することができます。

‌社会人の方々の話を聞きながら自動車メーカーの事業、仕事内容を理解していってください。鉄鋼業界に勤める社会人に会いに行くために‌‌【‌社会人の所属企業一覧(一部)】
トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、スズキ、ダイハツ、三菱自動車工業、日野自動車、
デンソー、アイシン精機、豊田自動織機など

‌積極的に自動車業界の社会人の話を聞きにいって、悔いのないように就活を終えましょう。
今すぐ社会人に会いに行く



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