【業界研究】損害保険会社の仕事内容-営業部門編
2023/04/05
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【損害保険業界 目次】
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学生から根強い人気を誇る損保業界
今回は損害保険会社の営業部門の仕事内容を分かりやすくまとめていきます。引用しているデータは日本損害保険業界や各社HPなどを参考にしていて、損害保険業界について全く知識がない方でも、職種やその仕事内容について理解しやすくなっています。
インターンシップや企業説明会に行きそびれてしまった、選考対策の一環として職種を知りたいという方は最後まで目を通してみてください。
損害保険業界の営業部門とは?
営業部門は、自動車営業部門、マリン営業部門、リテール営業部門、企業営業部門の4つの部門に分けることができます。一概に損害保険会社の営業部門といっても、接する営業先、取引の仕方等が大きく変わってくるのです。
どの部門にも共通する特徴といえば、基本的に私たちのような個人のお客様に直接営業に行かないということです。例えば不動産の販売をする会社であったら、内見などで個人のお客様を相手にすることがありますが、そういった個人営業はほとんどありません。
基本的にお客さん一人一人に商品の説明をして販売するのではなく、代理店を通したり直接企業に足を運んで間接的に保険を販売します。それではどういったお店に営業をかけに行く場合が多いのでしょうか?出典元:一般社団法人 日本損害保険協会 「ファクトブック2017」(一部編集を加えました。)
この図をご覧いただければお分かりの通り、損害保険に入りたいと思うお客さんが実際に契約を行うお店・場所は、大きく3つ。専業代理店、自動車関連業を営むお店、不動産業を営むお店です。
専業代理店というのは、保険代理業をメインで行うお店のことで、損害保険会社が販売している保険商品を私たち一般のお客さんにお届けする、いわば橋渡し役のようなお店のことを指します。自動車保険から火災保険、地震保険まで多くの種類の保険を扱っている代理店です。
次に全体の50%を占める、自動車関連企業。これは自動車販売店や自動車整備工場のことです。自動車事故に対応する保険商品を取り扱っています。
また不動産業とは賃貸住宅取扱会社や住宅販売会社のことです。火災保険などを扱います。自動車関連業と不動産業をまとめて簡単に説明すれば、車そのものや家そのものを購入する際にあわせて保険に入りたい人が多いだろうからその場で売ってみようというイメージです。損害保険会社からこういったお店に営業に行き、そのお店の人にお客さんにどのようにして商品の魅力を伝えればいいかなどを伝えるのがメインの仕事になっています。
以下では各部門ごとに詳しく仕事内容を見て行きましょう。
自動車営業部門
自動車や不動産という人生において一二を争うような大きな買い物をする際には多くの場合保険に入ります。車や家を買ったらそれと同時に保険も一緒に入れたら楽なのにと思う人が多いでしょう。特に自動車の場合、無保険で運転すると違反となりますので、どんな人でも保険に入ります。
自動車を買った一週間後に保険代理店に行って車種やナンバープレートなどの情報をいちいち伝えるよりも、車を買った場所で入る方がはるかに楽ですよね。
従って、損害保険会社の自動車営業部門では、自動車を販売しているお店に営業に行くことになります。
出典:日本損害保険協会「*正味収入保険料の保険種目別構成比(2016年度)」
損害保険会社の種目別売上構成比(火災保険、自動車保険、海上保険など多くの種類の保険があるなかで、どの種類の保険での売上がもっとも高いのか)を確認すると、自動車関係の保険(自動車保険+自動車損害賠償責任保険)が保険料収入の約60%を占めています。
また先ほどの図1で確認した通り、損害保険に加入する・できるお店の半分は自動車関連企業になっています。先ほどご説明した通り、自動車を購入してその場で保険も入りたいというニーズが多いからと言えるでしょう。
ディーラーと呼ばれる自動車販売店の方達に、その販売店で自社の保険を売って欲しいと新規営業に行ったり、既存の営業先に新しい保険の紹介に行くことがメインの業務となります。
マリン営業部門
この部門は文字通り船舶や貨物運送などに対する保険となります。東京湾や神戸港に行くと見たこともないようなサイズの貨物船などが止まっていることがありますが、こういった貨物船は、海難事故や海賊、テロなどのリスクがあります。
日本は島国ですので、隣国からの貿易も船もしくは飛行機を用いる必要があります。そのため貨物保険において世界首位、船舶保険において世界2位のマーケットサイズとなっており、世界的に見ても進んでいる部門であると言えます。
日本で作られた高品質の自動車や電化製品を世界に届けたいと考えている方は海運や商社を志望されている方が多いと思いますが、損害保険のマリン営業部門でも一助となることができるでしょう。
リテール営業部門
一般的にリテール営業とは、消費者向けの小売りのことを指します。ただ損害保険会社の場合は少し異なります。基本的にある地域を担当して、その地域にある保険代理店に対して新規の営業に行ったり、既存の代理店に対して経営支援や営業支援を行います。
法人営業と個人営業がある中で、どちらかと言えば個人営業のイメージになりますが、代理店に対して営業を行うことが多いので、いわゆる個人営業とは異なるでしょう。その地域の特性を理解して営業することがみそになります。
企業営業部門
この部門は、文字通り企業に対して営業に行く部門です。いわゆる法人営業のイメージです。日本には多数の従業員を抱える会社が多くあります。
例えば、ゼネコン大手の会社になると、従業員数が1万人を超えることも多々。工事中の保険はもちろんのこと、従業員が自動車を運転する際の保険、倉庫や重機などの保険、個人情報漏洩に関する保険など多種多様です。グループ会社も合わせると保険契約が100億円を超えることもあります。そういった企業に対して営業を通して様々な支援をするのが仕事になります。
その中の仕事の一つにリスクマネジメントというものがあります。損害保険会社も大企業も事故は起こしたくない、起こらないに越したことはないと考えているのは当然のこと。そもそも事故が起こらないようにするためにはどのように事業を行えば良いのか、いかに従業員を指導していればいいのかなど、事前に事故を起こさないような取り組み方を伝えます。
損保営業がきついと言われる理由
損害保険会社の営業は仕事がきついのではないかと不安に思う方もいるのではないでしょうか。ここでは、損害保険の営業がきついと言われる理由について解説していきます。
①休日出勤がある
保険代理店では、個人のお客様に向けて営業を行います。そのため、お客様がお休みの土日に営業に行く必要があり、休日出勤が多くなってしまいます。
その結果、仕事とプライベートのバランスが取りづらく、きついと感じることも多いのです。
②稼ぎにくい
保険代理店での営業は、直販と比べて商材の単価が低いという特徴があります。そのため手数料率が低く、商材を多く売ることができたとしても収入に繋がりにくいというのが実情です。
固定給も比較的低めに設定されていることが多いため、成果をあげる必要がありますが、成果をあげても高収入を得ることが難しく、きついと感じる人が多いようです。
保険会社の業務のきついところ
上記で、損害保険の営業できついのは主に代理店での営業だと述べましたが、保険会社本体の営業にも大変なところはあります。以下では、保険会社の大変さについて、「直販」と「代理店のサポート」の2つの業務に分けて説明します。
①法人営業のきついところ
冒頭でご紹介した通り、損害保険会社の営業では、主に保険代理店、自動車関連業を営むお店、不動産業を営むお店のいずれかに営業をかけ、保険商品を売ってもらいます。
しかしこれらの法人営業は競争率が高いうえ、損害保険の商品内容はどの会社も似通っており、差別化しにくいといった特徴があります。したがって、契約を取ることが難しく、営業スキルが試される仕事なのです。
また、保険に関する豊富な知識を身に着ける必要があります。勉強したり、営業スキルを磨いたりといった努力が苦手な人にとっては、きついと感じられるかもしれません。
また、保険に関する豊富な知識を身に着ける必要があります。勉強したり、営業スキルを磨いたりといった努力が苦手な人にとっては、きついと感じられるかもしれません。
②代理店サポートのきついところ
損害保険会社の営業の業務には、保険代理店をサポートする業務もあります。
代理店のサポートでは、代理店で営業をする人のフォローが主な業務です。
代理店の営業の成果によって自分たちの成果も左右されるため、代理店の営業を上手くマネジメントしなければならないという難しさがあります。
また、代理店の営業日に合わせて休日に出勤しなければならない可能性もあります。
損保営業の待遇
損害保険会社の営業の待遇は比較的良いと言えます。
例えば、2022年の有価証券報告書によると、3メガ損保と呼ばれる損害保険大手3社の平均年収は以下の通りです。
東京海上日動 約830万円
三井住友海上 約740万円
損保ジャパン 約630万円
また、dudaの統計データによると、損害保険会社の平均年収は477万円です。
全業界の平均年収は403万円、同じ保険業界の生命保険会社の平均年収は415万円であることを踏まえると、損保の年収は高いことがわかります。
とはいえ、もちろん企業によっても待遇はピンキリであるため、しっかりと調べた上で慎重に会社選びを行う必要があります。
【参考】duda平均年収ランキング
損保営業のキャリアパス
損害保険会社に営業として入社した場合、どのようなキャリアを形成することができるのでしょうか?
以下では、損保営業のキャリアパスについて、3つのパターンに分けて解説していきます。
パターン①営業マンとして活躍する
1つ目のパターンは、営業として働き続けるパターンです。保険業界の特徴として、給与が歩合制であることが挙げられます。
そのため、専門知識やスキルを磨きながら、営業マンとして成果を残すことで、給与額のアップを目指していく人が多いのです。
パターン②保険業界内で転職する
2つ目のパターンは、同じ保険業界内で転職するパターンです。保険業界は、ヘッドハンティングが多いことも特徴の1つです。
そのため、より給与などの待遇の良い企業や、高い商品力を持つ企業に転職するケースが多く見られます。また、損害保険会社で培った専門性を活かし、独立して代理店を開業するケースも少なくないようです。
パターン③他業界へ転職する
3つ目のパターンは、保険とは全く異なる業界に転職するパターンです。
保険業界からの主な転職先の業界としては、コンサルティング業界や不動産業界が挙げられます。
無形商材を扱うコンサルティング業界や、お客様のライフプランを長期的に支える不動産業界は、保険業界と親和性が高いため、これらの業界を志す方が多いようです。
損保営業のやりがい
損害保険は、人や企業が困難に直面したときに、そこから生活や企業活動を立て直すための手助けをする存在です。ですので、困難に直面した顧客を保険で救えることや、顧客に感謝されることが最大のやりがいです。
また、代理店営業の場合は、代理店との関係を上手く構築したり、代理店と協力して成果に繋げることができた際にやりがいを感じることができるでしょう。
損保営業に向いている人の特徴
損害保険の営業では、担当する代理店や顧客企業と信頼関係を築きながら、顧客に最適な提案をしていく必要があります。そのため、顧客と素早く打ち解けて信頼を得るコミュニケーション能力が求められます。
また、相手の話に耳を傾け、相手が求めていることを理解した上で、適切なアドバイスをする傾聴力・対応の丁寧さなども求められます。顧客に寄り添い、顧客のために働くことにやりがいを感じることができる人は、損保営業に向いていると言えるでしょう。
損害保険業界への理解をさらに深めたい方へ
ここまで読み終えた方は、損害保険業界の営業部門の仕事内容について理解できたと思います。学生のうちに接することの少ない、損害保険。ただその仕事内容を見てみると、社会的意義があることがわかります。
そこで実際に働く社員の方のモチベーション、苦労したことなどが気になったかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方におすすめしたいのが、OB・OG訪問のマッチングサービス、Matcher(マッチャー)です。
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【社会人の所属企業一覧(一部)】
三井住友海上火災保険、損保ジャパン日本興亜、ソニー損害保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険、他多数
内定者の方にもお話を聞くことができ、そういった方には面接対策や、志望動機の書き方を教わることもできます。
ぜひ、お話を聞きにいき有意義な時間を過ごしてください。
損保業界の損害サポート部門を知る
いかがでしたでしょうか?ジョブローテーション(数年ごとに部署・部門を異動させ、社員に幅広い部署や職種を経験させる制度。例えば、営業部門から人事部門、経営企画部門など幅広い異動が繰り返される)が比較的多いとされる損害保険業界では、営業といっても様々な営業を経験できます。「色々なバックグラウンドを持った多くの人と接したい」方や「顧客や取引先からの感謝や笑顔をモチベーションにして仕事をしたい」と考えている方は、ぜひ詳しく調べてみてください。
次の記事では、損害保険業界の中でも保険加入者に対して仕事をする、損害サポート部門の仕事内容について説明します。ぜひ読んでいただき、業界理解に役立ててください。
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