【完全版】本の商社?出版取次業界の動向や大手企業ランキングを紹介

2025/12/09
業界の仕事内容
出版業界
目次
1.
はじめに
2.
【比較】出版取次会社ってどんな企業がある?
3.
出版取次業界の大手企業ランキング
4.
出版取次会社って何してるの?
5.
【動向】出版取次会社の今後について
6.
‌もっと深く出版業界について知りたい方へ
7.
さいごに

はじめに

多くの学生から人気を集める出版業界。業界の中にも、出版社、書店などさまざまな役割を持った企業があります。
その中で、流通の中核を担う「出版取次会社」がどのような会社か知っていますか?

出版取次会社は、「本の商社」とも言われており、出版社と書店を仲介する役割を担っています。

‌‌今回の記事では、出版業界で【流通の中核を担う出版取次】をご紹介します。出版業界において、大きな役割を果たす出版取次。ぜひ、出版取次についても理解を深め、選択の幅を広げてみてください。
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【比較】出版取次会社ってどんな企業がある?

取次会社はどんな企業があるのでしょうか?

ここでは「大手取次会社」と「大手出版社」「大手書店」を紹介していこうと思います!

大手出版取次会社〜総合取次・専門取次〜

出版取次会社は全国に約100社ほどあると言われています。
しかしながら、「日本出版販売(日版)」と「トーハン」が2トップであり、この2社で市場の多くのシェアを占めている寡占業界です。

取次業界の中でも大きく「総合取次」「専門取次」「電子取次」に分ける事ができるため、それぞれの企業についてまとめていこうと思います。

出版取次会社の売上高ランキングについては後ほど「出版取次業界の大手企業ランキング」の章で詳しくご紹介しています。

取次会社は大きく3種類に分けることができます。

▼出版取次会社の種類
・総合取次:あらゆる分野の出版物を扱う
・専門取次:特定分野の出版物を扱う
・電子取次:電子書籍を扱う
以下で、それぞれの種類に当てはまる企業を紹介していきます。

総合取次編(一覧)

▼総合取次会社(一覧)
・日本出版販売(業界最大手)
・トーハン(業界2位の大手)(旧・東京出版販売)
・楽天ブックスネットワーク(旧・大阪屋栗田)
・中央社(トーハン+物流業務の協業社)

専門取次編(ジャンル別紹介)

▼専門取次会社(教科書・参考書)
・日教版
・共栄図書
・中央本社
▼専門取次会社(コミック・ゲーム攻略)
・文苑堂

電子取次編(一覧)

▼電子取次会社(一覧)
・メディアドゥ
・モバイルブック・ジェーピー

大手出版会社

出版会社は多くの学生が小さい頃から見たことあるような企業が多いと思います。

特に小さい頃によく読んでいたであろう「コロコロコミック」や「ちゃお」「リボン」などの背表紙などにも「〜社」「〜文庫」などと書いてありますよね!

現在でも、エッセイ本や単行本、漫画など多くの人にシェアされている業界であるため人気の業界になっています。

以下の記事で、出版会社について詳しく説明しているのでぜひ参考にしてみてください!

出版社を全国的な売り上げ順に一覧でまとめてみます。

出版社(一覧)

▼出版社の売上ランキング(一覧)
講談社
KADOKAWA
集英社
小学館
Gakken
新潮社

大手書店

取次業界において主な商売相手である「書店」。みなさんの多くが書店を利用した事があるでしょう。

地元の小さな書店から、ショッピングモールなどに店舗がある書店もありますね。

以下の記事で、書店について詳しく説明しているのでぜひ参考にしてみてください!

その書店たちの全国的な売り上げ順に一覧でまとめてみます。

書店(一覧)

▼書店の売上ランキング(一覧)
TSUTAYA(蔦屋書店)
紀伊国屋書店
ブックオフグループホールディングス
丸善ジュンク堂書店
有隣堂
未来屋書店
くまざわ書店

出版取次業界の大手企業ランキング

‌取次会社についてどの様な企業があるのかわかりましたか?

ここからは【売上高】について上位5位まで解説していきます!

出版業界と書店の間に位置する「本の商社」と称される取次会社では一体どのような順位になっているのでしょうか?

出版取次業界の売上高ランキング

▼出版取次業界の売上高ランキング
第1位 株式会社トーハン          3602億6800万円
第2位 日本出版販売株式会社        2865億円
第3位 株式会社メディアドゥ        1019億円
第4位 株式会社図書館流通センター     556億3900万円
第5位 株式会社日教販           297億円

出版取次業界の売上高ランキングはこの様な結果になりました。

ランキングをひと目見てわかるように、第1位の日本出版販売と第2位のトーハンが飛び抜けています。しかし、この二大巨頭も電子化などによる紙媒体離れ等によって売上低下を余儀なくされてしまっているのが現状です。

以下で、日本出版販売株式会社と株式会社トーハンについて詳しく解説していきます。

▼各社の紹介フォーマット
売上高  〇〇円
初任給  〇〇円(大卒)
平均年収 〇〇円
平均年齢 〇〇歳
若手から高年収がもらえる度 〇〇pt

※「若手から高年収がもらえる度」について
このスコアは、政府の公開情報をもとに、当社が独自に若手から稼げる度を評価した値です。このスコアが『1pt』よりも高ければ高いほど、若いうちから多くの年収を稼ぐことができると予想できます。

ただしあくまで予測であるため、実際にOB・OG訪問を行いながら情報収集することをオススメします。

株式会社トーハン

売上高  3602億6800万円
初任給  22万5000円
平均年収 589万円
平均年齢 44歳
若手から高年収がもらえる度 1.18pt(+0.18pt)

株式会社トーハンは業界1位の売上高を誇る企業です。

取次事業では、全国の書店・コンビニエンスストアと出版社・メーカーを繋ぎ、本のスムーズな流通を実現しています。出版マーケットの維持拡大を目的とした書店運営事業も行っており、現在では全国で200店以上を運営しているようです。

これらの運営によって得られた知見を出版業界へ生かすことで、業界全体の成長を支えています。

日本出版販売株式会社

売上高  2865億円
初任給  23万円(大卒)
平均年収 734万円
平均年齢 50.3歳
若手から高年収がもらえる度 1.29pt(+0.29pt)

日本出版販売株式会社は業界2位の売上高を誇る企業です。

主力事業である、取次事業では、全国約3,200社の出版社と約5,000店の書店を結び、書籍などの流通を支えています。

取次事業以外にもグループ経営理念である「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける。」に基づいた小売事業やエンタメ事業を手掛けています。

‌さらに、働き方の面では「ジョブローテーション」や「公募制度」などのキャリア支援が充実しており、これらの制度を利用することでさまざまな部門で経験を積むことが可能です。

また、平均残業時間は10時間程度と言われており、ワークライフバランスのとりやすい環境であることが分かります。

出版取次会社って何してるの?

書籍の主な流通ルート‌それでは、出版取次会社とは具体的にどのような役割を果たしているのでしょうか。

出版取次会社は、「本の商社」とも言われており、上記の図のように出版社と書店を仲介する役割を担っています。

では、「本の商社」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

以下で、詳しく解説していきます。

出版取次会社の2つの機能

出版社・出版取次・書店の役割
‌取次会社は大きな2つの機能を果たしています。

流通機能

出版社が発行した本を仕入れて書店へと送品するのが主な役割です。また、その際発生する代金の請求、回収を行います。

そのほかにも書店の店舗運営や出店に関する相談、出版社や書店の企画販売促進を担うなど、果たしている役割は多岐にわたります。

情報伝達機能

本の商社の名のごとく、情報を集めてそれらを出版社、書店の双方に提供します。
日本全国にある出版社、書店は膨大な数に上ります。これらが適切な情報に基づいて個別的にやり取りすることは不可能です。

取次会社が情報を集約し、出版社や書店に集めた情報を送ることによってスムーズな流通や取引が可能になります。

流通機能として欠かせない2つの制度

‌出版取次は「本の商社」と言われるほど、大きな役割を果たしています。

そこで、その大きな役割を果たすために必要不可欠な2つの制度について解説していきます。

①委託販売制度

委託販売制度の説明
‌委託販売制度は少し難しい内容になっていますので、できるだけわかりやすく解説していこうと思います。
簡潔にまとめると、‌「書店は売れ残りを恐れず本を入荷することができ、出版社は1冊でも多く店頭に並べてもらうことができる」という事を可能にしている制度です。

‌〜〜書店side‌〜〜
書店は、売れるかわからない本を入荷することがお店にとってメリットになりますか?

答えは恐らくNOだと思います。

しかし、それが返品可能となった場合、読者が限定的で売れるかわからない商品も販売するハードルが格段に下がるでしょう。

‌〜〜出版社side〜〜
書店が限定的で売れるかどうかわからない商品を販売することができるようになると、出版社にとっても嬉しいことが起きます。

‌それは、書店に多くの本が並ぶことで、広告としての効果が得られることです。

また、取次会社は出版会社から仕入れる際に代金を支払う流れであるため、出版社は書店での購入を待たずして代金を回収することが可能になります。

そうすることで次の本を制作する準備に入れます。

‌〜〜売れなかった時の流れ〜〜
書店はいくらチャレンジ性のある在庫管理ができる様になるといっても、やはり売れなければ意味がありません。

①書店は、売れ残ってしまった本や、売れる見込みがない本などは「販売」という形で取次会社より代金を回収する
②取次会社は一時的に在庫として本を抱えているが、売れる見込みがない本は出版社に「返品」され、その代金を得る
③出版社は売れない分の本の代金を支払うため、「売れない本を出し続けてしまう出版社」は淘汰され消えていく

〜〜問題点〜〜
この様な素敵な制度がありますが、いくつかの問題点が存在します。

その一つが、多くのジャンルの本が生まれていく中で1つひとつの本へのマーケティングが煩雑になっているのではという点です。

売れない本は返品できるという書店側のメリットがこういった現象を起こしてしまっています。

②再販制度(再販売価格維持制度)

再販制度とは、出版社が出版物の定価を決め、その定価価格に則り書店は販売をするという制度です。

本来ならば、独占禁止法によりこの再販制度は認められないのですが、書籍や新聞、タバコなどに関しては例外として再販制度が認められています。

‌〜〜わかりやすく〜〜
出版社 ¥1,500 で販売します!
                 ↓
書店  ¥1,500 で売らなきゃ!
                    ↓
消費者 ¥1,500 で買える!!

‌〜〜再販制度がないとどうなる?〜〜
再販制度がないために起きる問題をまとめていきます。

◯地方は本の価格が高騰する
→読み手が少ないとその分単価が上がってしまいます。
◯書店に並ぶ本の種類が減る
→売れない書籍はそもそも店頭に並ぶことがなくなり、専門書などの取り扱いが大幅に減少していきます。
◯町の本屋さんの数も減少する
→取り扱いの本が減るということは、販売元の本屋さんの数自体も減少します。

‌〜〜再販制度の今後〜〜
米国では、再販制度が行われていないのと同様に、日本でも再販制度の是非が問われているという状態にあります。小売店などで書籍等も割引されていることが多々見られるのです。

また、Amazonでは電子媒体としての書籍を確立させるなど、書籍業界で大きな財源を確保することが可能になったと言えます。

そういった視点から、時代の変化と共に再販制度が廃止される可能性はあることが窺えます。

しかし、現状の日本での地域格差や地元の書店を支え続けているのはこの再販制度があるためと言えるでしょう。

具体的な社員さんの働きは?

本を販売するにあたっては、「本の力」を生かした販売戦略「社員のマーケティングスキル」で売る販売戦略があります。

「本の力」を生かした販売戦略とは、新刊や映画化、賞の受賞を通して本の力だけで販売する力を有しているという販売戦略です。
‌戦略を用いるまでもないほどに販売能力が高いことは、消費者であるみなさんならわかるでしょう。

しかし、すでに流行が過ぎてしまった本や、発刊から時間が経過してしまい、読者の目につきにくい本の方が多いのです。そういった本は、本の力だけで売る事が困難な場合が多いですよね。

そうした際に、「社員のマーケティングスキル」で売る販売戦略が必要になってきます。

実際の働きとしては、営業や人事など、基本的な会社にある部署が存在しています。

営業では、書店に足を運び、市場調査や品揃えのチェック、本の仕入れの交渉などを行っていきます。
逆に書店が欲しいと考える本を出版会社に営業するケースもあります。

お店の売り上げを管理し、改善していく方法を提案していくというコンサルティング的な一面も感じることがあるでしょう。
取次会社であるトーハンの社員さんのお話が書いてある記事です!併せて読んでみてください!

【動向】出版取次会社の今後について

電子書籍‌学生の皆さんが気になる取次会社の今後の動向についてまとめていきます!

電子書籍の普及

スマートフォンを筆頭に電子機器の普及により、電子書籍という新たなジャンルが生まれました。電子書籍は、紙媒体の書籍と比べて、持ち運びは便利だし、多くの本を読むことができるのです。

毎月多くの本を読む方からしたら、サブスクとしてのサービスを用いる事でお得に多くの本を読むことができるような環境が整備されてきています。

そうなることで紙媒体としての本の価値が低下してきているのです。

紙媒体としての本の需要が低下することで、書店の売り上げが低下していき、Amazonといった電子書籍を扱う業界が伸びていきます。

そういった循環が生まれてしまうことで、電子書籍業界は勢いづき新たなサービスを作ることができる事と同時に、書店の勢いは衰退していってしまう一方になってしまうのです。

そうなると、書店の数は減少し、出版社の出した本を並べるための書店が減少するという事は、取次会社のクライアント先が減少していくということになります。
‌実際に、取次業界トップの売り上げを誇る「日本出版販売」も売り上げの低下を余儀なくされているのです。

物流コストの上昇

現在、出版取次業界は物流コストの上昇によって厳しい状況にあります。実際に、2024年度のトーハンの決算では取次事業が15億円の赤字となっており、原因を物流コストの上昇にあるとしています。

物流コスト上昇の背景として業量減、燃料費増、ドライバー等の人件費増が挙げられ、これらによって出版配送の運賃単価は11年度から2.2倍にも膨れ上がっています。

一方で、出版物の平均単価は11年度から1.29倍となっており、この上昇率の差が取次業界の業績を圧迫している状況です。

Amazonによる直接取引

今まで、書籍は出版取次会社を介して、書店に並び消費者が手に取るという流れが普通でした。しかし、「直接取引」によってそれは変わりつつあります。

「直接取引」とは取次会社を介さない形式のことです。この方法は、書店が出版社から直接取り寄せるため、日数の短縮も期待できます。

2021年には、ネット通販のAmazonと出版大手の講談社が「直接取引」の開始を発表しており、この流れは拡大していく可能性があります。

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‌‌【‌社会人の所属企業一覧(一部)】
小学館、ダイヤモンド社、KADOKAWA、光文社、凸版印刷、日本出版販売、岩波書店、大日本印刷、集英社、他多数
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さいごに

ここまで出版取次について説明してきました。出版業界のなかで取次が果たしている役割をご理解いただけたと思います。

ぜひ、本記事を参考にして、就活を進めてみましょう!

記事一覧