【完全版】本の商社?取次会社の業界動向や大手企業ランキングを紹介

2023/05/29
業界の仕事内容
出版業界
目次
1.
はじめに
2.
‌取次会社ってなに?
3.
【比較】取次会社ってどんな企業がある?
4.
大手書店
5.
気になる取次業界ランキング
6.
‌取次会社って何してるの?
7.
【動向】取次会社の今後について
8.
‌もっと深く出版業界について知りたい方へ
9.
‌さいごに

はじめに

多くの学生から人気を集める出版業界。業界の中にも、出版社、書店などさまざまな役割を持った企業があります。

‌‌今回の記事では、出版業界で【流通の中核を担う出版取次】をご紹介します。出版業界において、大きな役割を果たす出版取次。ぜひ、出版取次についても理解を深め、選択の幅を広げてみてください。


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‌取次会社ってなに?

みなさんは取次会社と聞いてどんなものをイメージするでしょうか?


取次会社は様々な名称があり、「取次」「出版取次」などと呼ばれる事があります。


大まかなイメージでいくと、日本の出版物は以下の様な流れで販売されています。

書籍の主な流通ルート

出版社と書店を仲介する役割を担っているため「本の商社」と言われております。

最近では「電子取次会社」なども増えてきて、時代の流れに変化していく傾向も今後多く見られるでしょう。


【比較】取次会社ってどんな企業がある?

取次会社はどんな企業があるのでしょうか?

ここでは「大手取次会社」と「大手出版社」「大手書店」を紹介していこうと思います!

大手取次会社〜総合取次・専門取次〜

出版取次業界は全国に約100社ほどあると言われています。

しかしながら、「日本出版販売(日版)」と「トーハン」が2トップであり、この2社で市場の約8割のシェアを誇っているという寡占業界です。

取次業界の中でも大きく「総合取次」「専門取次」「電子取次」に分ける事ができるため、それぞれの企業についてまとめていこうと思います。

総合取次編(一覧)

日本出版販売(業界最大手)

トーハン(業界2位の大手)(旧・東京出版販売)

楽天ブックスネットワーク(旧・大阪屋栗田)

中央社(トーハン+物流業務の協業社)


▶日本出版販売 + トーハン で市場規模の約8割を占めています。

専門取次編(ジャンル別紹介)

教科書・参考書
日教版
共栄図書
中央本社
コミック・ゲーム攻略
文苑堂

大手出版会社

出版会社は多くの学生が小さい頃から見たことあるような企業が多いと思います。

特に小さい頃によく読んでいたであろう「コロコロコミック」や「ちゃお」「リボン」などの背表紙などにも「〜社」「〜文庫」などと書いてありますよね!

現在でも、エッセイ本や単行本、漫画など多くの人にシェアされている業界であるため人気の業界になっております。

出版社(一覧)

講談社・集英社・KADOKAWA
小学館・ベネッセHD・学研HD 

大手書店

取次業界において主な商売相手である「書店」。

みなさんの多くが書店を利用した事があるでしょう。

地元の小さな書店から、ショッピングモールなどに店舗がある書店もありますね。

その書店たちの全国的な売り上げ順に一覧でまとめてみます。

書店(一覧)

TSUTAYA(蔦屋書店)
紀伊国屋書店
ブックオフグループホールディングス
丸善ジュンク堂書店
有隣堂
未来屋書店
くまざわ書店

気になる取次業界ランキング

チェックする様子
‌取次会社についてどの様な企業があるのかわかりましたか?

ここからは【売上高】について上位5位まで解説していきます!

出版業界と書店の間に位置する「本の商社」と称される取次会社では一体どのような順位になっているのでしょうか?

売上高ランキング

順位 会社名               売上高(百万円)
第1位 日本出版販売             ¥545,761
第2位 トーハン               ¥416,640
第3位 楽天ブックスネットワーク       ¥74,034
第4位 図書館物流センター          ¥45,239
第5位 日教販                ¥28,024
※楽天ブックスネットワーク=旧:大阪屋栗田


この様な結果になりました。

ランキングをひと目見てわかるように、第1位の日本出版販売と第2位のトーハンが飛び抜けています

しかし、この二大巨頭も電子化などによる紙媒体離れ等によって売上低下を余儀なくされてしまっているのが現状です。

‌取次会社って何してるの?

ここまで取次会社についての大まかな概要などは触れてきましたが、
ここからは主な業務や形態について解説していきます!

取次会社はどんなもの?

初めの方で触れた取次会社ってなに?という部分をおさらいしながらまとめていきます。

簡単にいうと、出版社と書店の間に立つ「商社」的立ち位置です。
出版取次の役割‌取次会社は大きな2つの機能を果たしています。

流通機能

出版社が発行した本を仕入れて書店へと送品するのが主な役割です。また、その際発生する代金の請求、回収を行います。そのほかにも書店の店舗運営や出店に関する相談、出版社や書店の企画販売促進を担うなど、果たしている役割は多岐にわたります。

情報伝達機能

本の商社の名のごとく、情報を集めてそれらを出版社、書店の双方に提供します。
日本全国にある出版社、書店は膨大な数に上ります。これらが適切な情報に基づいて個別的にやり取りすることは不可能です。取次会社が情報を集約し、出版社や書店に集めた情報を送ることによってスムーズな流通や取引が可能になります。

流通機能として欠かせない2つの制度

調べる様子‌出版取次は「本の商社」と言われるほど、大きな役割を果たしているのです。

そこで、その大きな役割を果たすために必要不可欠な2つの制度について解説していきます。

①委託販売制度

‌委託販売制度は少し難しい内容になっていますので、できるだけわかりやすく解説していこうと思います。
出版物の販売委託制度
簡潔にまとめますと
‌「書店は売れ残りを恐れず本を入荷することができ、出版社は1冊でも多く店頭に並べてもらうことができる」
という事を可能にしている制度なのです。

‌〜〜書店side‌〜〜
書店は、売れるかわからない本を入荷することがお店にとってメリットになりますか?

答えは恐らくNOだと思います。

しかし、それが返品可能となった場合、読者が限定的で売れるかわからない商品も販売するハードルが格段に下がるでしょう。

‌〜〜出版社side〜〜
そうなると出版社にとっても嬉しいことが起きます。

それは、書店に多くの本が並ぶことで、広告としての効果が得られるのです。
また、取次会社は出版会社から仕入れる際に代金を支払う流れであるため、出版社は書店での購入を待たずして代金を回収することが可能になります。

そうすることで次の本を制作する準備に入れます。

‌〜〜売れなかった時の流れ〜〜
書店はいくらチャレンジ性のある在庫管理ができる様になるといっても、やはり売れなければ意味がありません。

①書店は、売れ残ってしまった本や、売れる見込みがない本などは「販売」という形で取次会社より代金を回収する
②取次会社は一時的に在庫として本を抱えているが、売れる見込みがない本は出版社に「返品」され、その代金を得る
出版社は売れない分の本の代金を支払うため、「売れない本を出し続けてしまう出版社」は淘汰され消えていきます。

〜〜問題点〜〜
この様な素敵な制度がありますが、いくつかの問題点が存在します。

その一つが、多くのジャンルの本が生まれていく中で1つひとつの本へのマーケティングが煩雑になっているのではという点です。

売れない本は返品できるという書店側のメリットがこういった現象を起こしてしまっているという事でしょう。

②再販制度(再販売価格維持制度)

再販制度とは、出版社が出版物の定価を決め、その定価価格に則り書店は販売をするという制度です。

本来ならば、独占禁止法によりこの再販制度は認められないのですが、書籍や新聞、タバコなどに関しては例外として再販制度が認められています

‌〜〜わかりやすく〜〜
出版社 ¥1,500 で販売します!
                 ↓
書店  ¥1,500 で売らなきゃ!
                    ↓
消費者 ¥1,500 で買える!!

‌〜〜再販制度がないとどうなる?〜〜
再販制度がないために起きる問題をまとめます

◯地方は本の価格が高騰する
→読み手が少ないとその分単価が上がってしまう
◯書店に並ぶ本の種類が減る
→売れない書籍はそもそも店頭に並ぶことがなくなります。つまり、専門書などの取り扱いが大幅に減少していきます。
◯町の本屋さんの数も減少する
→取り扱いの本が減るということは、販売元の本屋さんの数自体も減少します

‌〜〜再販制度の今後〜〜
米国では、再販制度が行われていないのと同様に、日本でも再販制度の是非が問われているという状態にあります。小売店などで書籍等も割引されていることが多々見られるのです。

また、Amazonでは電子媒体としての書籍を確立させるなど、書籍業界で大きな財源を確保することが可能になったと言えます。

そういった視点から、時代の変化と共に再販制度が廃止される可能性はあることが窺えます。

しかし、現状の日本での地域格差や地元の書店を支え続けているのはこの再販制度があるためと言えるでしょう。

具体的な社員さんの働きは?

働く社員の様子‌「本の力」を生かした販売戦略と「社員のマーケティングスキル」で売る販売戦略があります。

「本を生かした販売戦略」とは、新刊や映画化、賞の受賞を通して本の力だけで販売する力を有しているという販売戦略です。
‌戦略というまでもないほどに販売能力が高いことは、消費者であるみなさんならわかるでしょう。

しかし、すでに流行が過ぎてしまった本や、発刊から時間が経過してしまい、読者の目につきにくい本の方が多いのです。
そういった本は、本の力だけで売る事が困難な場合が多いですよね。

そうした際に、書店での陳列の仕方や宣伝の仕方などといったマーケティングスキルが必要になってくるのです。

実際の働きとしては、営業や人事など、基本的な会社にある部署が存在しています。

営業では、書店に足を運び、市場調査や品揃えのチェック、本の仕入れの交渉などを行っていきます。
逆に書店が欲しいと考える本を出版会社に営業するケースもあります。

お店の売り上げを管理し、改善していく方法を提案していくというコンサルティング的な一面も感じることがあるでしょう。
取次会社であるトーハンの社員さんのお話が書いてある記事です!併せて読んでみてください!

【動向】取次会社の今後について

電子書籍‌学生の皆さんが気になる取次会社の今後の動向についてまとめていきます!

電子書籍の普及

スマートフォンを筆頭に電子機器の普及により、電子書籍という新たなジャンルが生まれていきました。

電子書籍は、紙媒体の書籍と比べて、持ち運びは便利だし、多くの本を読むことができるのです。

毎月多くの本を読む方からしたら、サブスクとしてのサービスを用いる事でお得に多くの本を読むことができるような環境が整備されてきています。

そうなることで紙媒体としての本の価値が低下してきているのです。

紙媒体としての本の需要が低下することで、書店の売り上げが低下していき、Amazonといった電子書籍を扱う業界が伸びていきます

そういった循環が生まれてしまうことで、電子書籍業界は勢いづき新たなサービスを作ることができる事と同時に、書店の勢いは衰退していってしまう一方になってしまうのです。

そうなると、書店の数は減少し、出版社の出した本を並べるための書店が減少するという事は、取次会社のクライアント先が減少していくということになります。
日販の売上推移‌実際に、取次業界トップの売り上げを誇る「日本出版販売」も売り上げの低下を余儀なくされているのです。
人手不足による問題が業績の低下に拍車をかけているのです。

人手不足で地方などへの配送が困難になっているという問題に直面します。

そうなると取次会社だけが被害を被り、本の流通機能が負担になってしまうと業界としてまずいのです。

その被害を業界全体としてサポートすべく、取次業界は出版業界に対して、「運賃協力金」を引き上げてもらうように申請をし、多くの前向きの回答をいただくことができているようです。

今後新たなサービスや収入の手段をしていかなければ業界として衰退の一途を辿ることになる可能性は大いにあると感じます。

‌もっと深く出版業界について知りたい方へ

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【‌社会人の所属企業一覧(一部)】
集英社、光文社、扶桑社、講談社、小学館、文藝春秋、株式会社KADOKAWA、キノブックス、他多数

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‌さいごに

ここまで出版取次について説明してきました。出版業界のなかで取次が果たしている役割をご理解いただけたと思います。

‌次回記事では、本を読者の手元に届ける書店の役割を解説します。出版業界の会社の中で、最も読者と近い距離にあるのが書店です。その一方で、私たちが知らない範囲でも大きな役割を果たしているのです。書店についてより理解を深め、キャリア選択の参考にしてみてください。

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