【業界研究】出版業界の現状・課題と今後の動向

2024/03/06
業界の仕事内容
出版業界
目次
1.
出版業界の現状を知ろう
2.
出版業界はこれからどうなる?-今後の動向
3.
‌出版業界はどのように成り立っているか-業界構造
4.
‌出版業界の今後-電子書籍の登場
5.
‌もっと深く出版業界について知ろう
6.
業界の花形、出版社について知ろう

出版業界の現状を知ろう

多くの学生が目指す出版業界。企業によっては倍率が非常に高くなることもしばしばです。しかし、出版業界と聞いて多くの人がイメージするのは出版社の仕事。実際には様々な企業が関わりながら、読者のもとに本が届いているのです。

‌この記事では出版業界の構造を分かりやすく説明します。読者の手元にどのようにして本が届くのか。届くまでの過程にどのような仕事が存在するのか。正しく把握しましょう。

出版業界はこれからどうなる?-今後の動向

1996年をピークに紙媒体の出版物の売り上げは減少傾向にあります。特に近年は雑誌売上の落ち込みが顕著で、市場規模の縮小により、出版社や書店の数も減少しています。

‌その背景にあるのがインターネットの普及などによって進む活字離れ。既存出版物の売上減少は続くというのが今後の見通しであり、出版業界は岐路に立たされているといえるでしょう。

‌こうした流れを受け、出版業界各社は紙媒体だけではなく、電子書籍の分野やインターネットとの連動性を高めたコンテンツの制作に力を入れ始めています。企業の統廃合など業界の再編も進んでおり、今後出版業界の構造にも変化があるかもしれません。

‌出版業界はどのように成り立っているか-業界構造

出版業界の構造を示す図です。
‌上の図は紙の本がどのような形で読者の手に届いているのか、簡略化して示したものです。出版業界というと、直接作家などとやり取りをしたり書籍の企画を立てたりする出版社の仕事が連想されますが、それだけではありません。流通の大まかな流れから正しく理解していきましょう。

①出版社

出版業界と聞いて、多くの人がイメージするのはこの出版社。書籍や雑誌を製作したり、コンテンツを企画するのが主な業務です。
‌出版社の分類としては書籍、雑誌などジャンルを問わず様々なコンテンツ扱う総合出版社と、文芸書、学習参考書、経済書などジャンルごとに強みを持つ出版社に分けられます。

‌また、出版社の中では、本の制作から発行までを管理する編集者や誤字や脱字、また表現の部分で問題がないか確認する校閲者。そして本の販売を促進する営業などの役割を担っている人たちが働いています。ただし、出版社という同じ括りであっても会社によって事業が大きく異なるため、業務内容にも違いがある場合が多いです。

出版社の代表的な企業

小学館、集英社、講談社、カドカワ、文芸春秋、新潮社、学研HD、日経BP、ゼンリン、昭文社、福音館書店

②出版取次

出版社が制作した書籍を全国の書店に送り届ける役割を果たすのが、出版取次です。本の商社ともいうべき存在で、本の流通における様々な機能を担っています。流通機能のほかにも情報伝達の機能を果たしており、取次会社が情報を集約し、出版社や書店に集めた情報を送ることによってスムーズな流通や取引が可能になるのです。

‌また、既存の枠組みではカバーできない電子書籍を扱う、電子書籍取次も出現してきています。出版社から提供されるデータを基に書店に送る電子書籍データを作成するなど、電子書籍に合わせた業務を行っています。

‌出版取次内での仕事としては、図書の仕入れや流通機能の管理、書店への営業などが挙げられます。書店への営業では、書店での販売促進を支援する一環でリノベーションを手掛けた例があるなど、様々な手段で商品の売上アップを目指していきます。

出版取次の代表的な企業

日本出版販売、トーハン、大阪屋栗田、

③書店

本を直接読者のもとに届けるのが書店の役割です。最近では店頭のみならず、インターネット上での販売も盛んに行われています。また電子書籍の流通に伴い、電子書籍を扱う会社も現れました。

‌書店内での仕事には店頭での販売、また規模の大きい書店では大学や公共図書館への図書館図書や学術用データベースの販売などがあります。店頭販売においては書店員の工夫1つで売上が大きく変わることもあり、書店員の働きが非常に重要になってくるといえるでしょう。

書店の代表的な企業

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)、丸善CHIホールディングス、紀伊国屋書店、パピレス、インフォコム、楽天、Amazon

‌出版業界の今後-電子書籍の登場

電子書籍の業界構造を示す図です。‌先ほどから述べているように、紙媒体での市場規模は縮小しています。そのような中で市場規模が世界的なレベルで拡大しているのが電子書籍です。電子書籍の利点としては店頭にわざわざ赴かなくても本を読むことができることや簡単に持ち運びできること。そして印刷代や輸送のコストがない分、紙媒体の書籍よりも価格を安く抑えられることも挙げられます。

‌しかし、電子書籍を読むための媒体が決して安くはないことや使用感の問題などから市場規模はまだまだ小さく、売り上げの7割がコミックで占められているなど分野に偏りがあるのも現状です。

‌今後、電子書籍がどのような形で展開されていくのか。出版業界における大きなトピックと言えるでしょう。
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‌もっと深く出版業界について知ろう

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業界の花形、出版社について知ろう

ここまで出版業界について概説してきました。出版業界では出版社だけではなく、出版取次、書店も大きな役割を果たしていること。そこでは様々な職種の人たちが働いていること。そして、電子書籍という新たな潮流が大きくなっていること。現状と課題、そして今後の動向も含めてご理解いただけたと思います。

‌次回記事では出版業界の花形、出版社について紹介していきます。直接、本づくりに関わることができる出版社。ぜひ記事を読んで、出版社への理解を深めてください。

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