食品商社5社を紹介!総合商社との違い・将来性・年収まで徹底解説
2023/05/31
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はじめに
経営が安定し、ホワイトな印象が強い食品専門商社(以下食品商社)は就活生から人気を集めています。
しかし食品商社がどのような事業を手掛けているのか、仕事内容などがイメージできない学生も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、商社と専門商社の違いから待遇、食品商社の今後までをまとめて解説していきます。
食品商社を目指す学生がすべきことも併せて記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
商社の役割とは何か?
幅広い事業を扱っているいるため、具体的な役割が想像しにくい商社。ここでは、そもそも商社の役割とは何なのかについて、簡単に解説します。
トレーディング
トレーディングとは、売り手と買い手の仲介を行うことを指します。商社は昔からこの仲介のプロとして事業を行っていました。そのため、豊富な販売先や情報ネットワークを持っており、売り手の販売機会の拡大、買い手のニーズを満たす調達双方を可能としていたのです。
しかし、経済のグローバル化により、商社を介さず、直接取引をする企業が増加。その結果、ビジネスモデルの変革を求められ、単にモノを横流しするトレーディングビジネス自体の形態も変化してきています。
具体的には、バリューチェンを構築することで、商社だからこそ出せる付加価値をモノにつけるようにしたのです。バリューチェーンとは、モノやサービスの流通に加え、原料の調達や加工など、別の付加価値を連鎖させたもの。商社はこれらの価値を保有することで、利益を上げるようになったのです。
しかし、経済のグローバル化により、商社を介さず、直接取引をする企業が増加。その結果、ビジネスモデルの変革を求められ、単にモノを横流しするトレーディングビジネス自体の形態も変化してきています。
具体的には、バリューチェンを構築することで、商社だからこそ出せる付加価値をモノにつけるようにしたのです。バリューチェーンとは、モノやサービスの流通に加え、原料の調達や加工など、別の付加価値を連鎖させたもの。商社はこれらの価値を保有することで、利益を上げるようになったのです。
事業投資
事業投資は、先ほど説明したバリューチェーンに関連するビジネスです。商社は元来原料調達や原料加工の機能を保有しているわけではなく、原料調達や加工をする会社に出資し、経営権を持つことによってバリューチェーンを構築します。この出資こそが、事業投資のビジネスです。
将来有望で自社の事業と親和性の高い事業を手がける企業に投資をし、経営権を獲得します。自社のビジネスと相乗効果を働かせ、出資した企業の成長にも貢献しています。出資した企業が成長すれば、配当や持ち分利益で収益を上げることができます。
より詳しい商社のビジネスについては、以下の記事を参考にしてください。
将来有望で自社の事業と親和性の高い事業を手がける企業に投資をし、経営権を獲得します。自社のビジネスと相乗効果を働かせ、出資した企業の成長にも貢献しています。出資した企業が成長すれば、配当や持ち分利益で収益を上げることができます。
より詳しい商社のビジネスについては、以下の記事を参考にしてください。
食品商社が果たす役割
ここまで商社の基本的な役割について紹介してきました。ここからが本題。食品業界で商社は実際にどのような役割を果たしているのか説明します。
商社の食料分野では元々、川上の取引(原料の仲介取引)が中心でしたが、現在は川中(原料加工)から川下(販売)まで幅広く扱っています。ここでは商社の役割を、3つの視点で分けて解説します。
川上(原料調達)
食品業界の川上で行われることは原料調達。原料調達では、海外で穀物を買い付け、日本への輸入取引を行っています。その際に重要となるのは購入先の多様性です。食料品は地域の気候条件などで供給量が大きく変化します。そのため、多くの調達ルートを構築することで安定した供給実現することが重要です。
この幅広い調達網こそがメーカーには作り上げることができない、商社の強みだと言えます。また、原料を生産する先にも事業投資を行っており、経営の指導を行っていることも安定した原料調達の要因でしょう。
この幅広い調達網こそがメーカーには作り上げることができない、商社の強みだと言えます。また、原料を生産する先にも事業投資を行っており、経営の指導を行っていることも安定した原料調達の要因でしょう。
川中(原料加工)
食品業界の川中で行われることは原料の加工。加工過程でも工場に事業投資を行い、経営指導を行うことで川下への安定した製品供給を実現しています。
川下(販売)
食品業界の川下で行われることは、小売店での販売等です。ここでも小売店先に事業投資を行い、経営を指導しています。これにより小売店の業績が向上すれば、自社のバリューチェーンに組み込まれている川中の加工会社や、川下の原料調達先の収益を上げることができます。
例)
例)
・住友商事のサミット事業
・三菱商事のローソン事業
・伊藤忠商事のファミリーマート事業
これらの商社事業については、以下の記事を参考にしてみてください。
・三菱商事のローソン事業
・伊藤忠商事のファミリーマート事業
これらの商社事業については、以下の記事を参考にしてみてください。
食品を扱う商社の種類
ここまで、食品業界における商社の役割について解説をしてきました。川上から川下まで、幅広い役割を果たしていることを理解していただけだでしょうか?
ここからは食品を扱う商社の種類を3つお伝えします。
総合商社
総合商社は様々な事業や製品を扱う商社です。川上から川下までのバリューチェーンを構築させていることが特徴と言えます。
食品関連の事業は、三菱商事では生活産業グループ、三井物産では食料本部が取扱を担当しています。
非資源分野に強みを持つ伊藤忠商事は、Dole等のブランド等も取り扱っていることが特徴です。
食品関連の事業は、三菱商事では生活産業グループ、三井物産では食料本部が取扱を担当しています。
非資源分野に強みを持つ伊藤忠商事は、Dole等のブランド等も取り扱っていることが特徴です。
代表的な総合商社
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日、豊田通商
総合商社系専門商社
総合商社系専門商社とは、総合商社の食料品部門を母体として設立された食品の専門商社です。
丸紅の食料部門専門商社である丸紅食料株式会社は、専門商社と言えども、川上から川中までを担当しています。具体的には、コーヒー生豆の生産、買い付け、輸入から焙煎、包装等の加工まで、あらゆる段階の業務を取り扱っていることが特徴です。
一方で三井物産の子会社である物産フードサービスは、食品メーカー各社の販売促進、卸・小売各社への商品・販売企画立案・提案等を実行しています。
このように、総合商社が構築したバリューチェーンの特定の過程を担当する商社が、総合商社系専門商社です。
代表的な総合商社系専門商社
丸紅食料、住商フーズ、物産フードサービス、三菱ケミカルフーズ、伊藤忠食品
独立系専門商社
独立系専門商社とは、総合商社を母体としない商社を指し、独自のネットワークと社風を持っています。親会社からの制約がないため、風通しの良い企業が多いと言えるかもしれません。
代表的な独立系専門商社
国分グループ、加藤産業
食品専門商社と総合商社の違い3選
食品専門商社の選考を突破するには、総合商社との違いを理解しておく必要があります。
食品専門商社と総合商社の違いを3つに分けて解説しますので、エントリーシートや面接で、「志望動機を書く際」「他社との差別化を求められた際」に役立ててみてください。
①高い専門性
売り上げのうち特定分野が50%以上を占めている商社を専門商社といいます。すなわち、食品商社は総合商社と比べて、扱う分野の幅が狭いということです。その分専門商社は特定の分野の商品に特化しており、専門性が高いことが特徴です。
また、事業領域が「食」に絞られていることにより、食品商社業界の企業は社内の連携が取りやすいことも強みとなっています。
つまり、深い専門性を活かして取引先のビジネスのサポートを行えることが専門商社の特徴です。
つまり、深い専門性を活かして取引先のビジネスのサポートを行えることが専門商社の特徴です。
②業界内の強固なネットワーク
先述の通り、専門性が高いため、業界内でのネットワークは強固なものとなります。円滑な取引のためにはメーカーと小売の両方で、長く、そして密な関係性を築く必要があるためです。
➂国内売り上げが主軸である
食品商社の売上の主軸は国内です。少子高齢化に伴い、内需の縮小が進む日本において市場は年々縮小していくと考えられます。
そのため、他の総合商社や鉄鋼系の専門商社のように、海外進出を目指していくことが求められています。
▼関連記事
食品商社の動向・将来性
ここでは、食品商社の動向について解説していきます。
【食品商社】大手企業5選
ここでは、食品商社5社について紹介します。
参考として選考フローも記載しているので、参考にしてみてください。
※選考フローは年度ごとに変更される可能性があるため、必ず公式情報を確認するようにしてください。
①三菱食品株式会社
「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」ことを目指す三菱グループの食品商社です。6,500の仕入れ先、9,000社の販売先を持っており、幅広いカテゴリーの食品を扱っています。
企業ホームページ▶三菱食品株式会社
採用ホームページ▶三菱食品|採用ページ
企業ホームページ▶三菱食品株式会社
採用ホームページ▶三菱食品|採用ページ
ゼネラル職の選考フロー
エントリーシート
内容は、学生時代力を入れたことについてなど
適性検査
玉手箱
PR動画
一次面接
社員2:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:学生時代に力を入れたことや志望動機など
二次面接
社員2:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:志望動機、逆質問など
三次面接
社員2:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:組織の中での自分の立ち位置、好きな食べ物など
最終面接
社員2:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:選考状況、学生時代に力を入れたことや志望動機など
内定
加藤産業株式会社は、加工食品を中心とした自社製品を取り扱い、約2千社の小売業店に卸売りをする「食品の総合卸売企業」です。
そのノウハウを生かした情報提供やコンサルティングなどを手がけていることも特徴の1つです。独立系専門商社であり、若手のうちから活躍したり、幅広い業務に携わりたい学生におすすめの企業です。
企業ホームページ▶加藤産業株式会社
企業ホームページ▶加藤産業株式会社
採用ホームページ▶加藤産業|採用フロー
総合職の選考フロー
エントリーシート
内容は、学生時代力を入れたことなど
適性検査
TG-WEB
グループディスカッション
社員2:学生5
所要時間:1時間(発表あり)
一次面接
社員1:学生1(個人面接)
所要時間:25分程度
面接内容:ESの内容を中心に、学生時代力を入れたことなど
二次面接
社員1:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:業界・企業の志望理由、将来やりたいことなど
最終面接
社員2:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:自己PR、他社の選考状況、独立系商社の志望理由など
内定
【参考】23年卒 総合職 選考フロー
③三井食品株式会社
採用ホームページ▶三井食品株式会社|採用ページ
総合職の選考フロー
エントリーシート
学生時代力を入れたことについてなど
適性検査
企業オリジナルテスト
一次面接
社員3(うち進行役が1名):学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:学生時代力を入れたこと、志望動機など
最終面接
社員4(うち進行役1名):学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:志望動機、10年後なっていたい社会人像など
内定
親会社に伊藤忠商事を持っているため、そのグループネットワークが大きな強みとなっている会社です。得意先数は1700社、取引メーカー数は10,000社、取り扱い商品数は20万アイテムと、日本の食を支えています。
企業ホームページ▶日本アクセス
企業ホームページ▶日本アクセス
採用ホームページ▶日本アクセス|採用ページ
総合職の選考フロー
エントリーシート
学生時代に力を入れたことについてなど
動画
適性検査
SPI
一次面接
社員2:学生3(集団面接)
所要時間:30分程度
面接内容:自己PR、イレギュラーな質問あり(どんな祝日を作りたいかなど、手を上げて発表していく)
二次面接
社員2:学生1(個人面接)
所要時間:20分程度
面接内容:志望動機、他社の選考状況など
最終面接
社員2:学生1(個人面接)
所要時間:15分程度
面接内容:志望動機、他社の選考状況など
内定
【参考】23年卒 総合職 選考フロー
⑤国分グループ
採用ホームページ▶国分グループ|採用ページ
グループキャリア採用(日本全国、海外でのキャリア形成)の選考フロー
エントリーシート
学生時代に力を入れたことについてなど
適性検査
SPI
一次面接
社員1:学生1(個人面接)
所要時間:15分程度
面接内容:ESの内容中心に自己紹介など
二次面接
社員1:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:学生時代に力を入れたこと、志望動機、将来やりたいことなど
三次面接
社員1:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:他社の選考状況、業界・企業の志望理由、将来やりたいことなど
最終面接
社員1:学生1(個人面接)
所要時間:30分程度
面接内容:人物面のエピソード気になったことを質問される
食品商社業界の気になるアレコレ
ここでは、食品商社を志望する皆さんが気になるであろう事柄について、徹底解説します。
食品商社が激務ってホント?
食品商社に限らず、「商社」というと激務のイメージを持つ方もいるのではないのでしょうか。
食品商社各社のOpen Workの口コミを見てみると・・・
・トラブルがあれば休日でも電話がかかってきて、すぐに対応しなければならない。
・部署によっては、休日出勤がある。
・終業後や休日も社用携帯を持ち歩くことが推奨されている。
・長時間労働の禁止によって、家に持ち帰って資料作成をすることもある。
・在宅勤務やフレックスが導入されている
こういった意見が目立ちました。
近年では働き方改革によって、「激務」のイメージは少しずつ変わってきているようです。しかし、得意先との信頼関係のもとに成り立つ商社であるため、出勤時間でなくても電話対応やトラブル対応を求められるようです。
ただ、これらはあくまでも口コミの内容なので、あまり鵜呑みにせず、気になることは直接働いている社員の方に聞いてみましょう!そこでおすすめなのは、Matcherです。
Matcherとは?
Matcher(マッチャー)は、所属関係なく気になる業界の気になる社会人に、気軽に訪問依頼を送信し、就活相談ができるサービスです。ぜひ、活用して企業の実態を理解しましょう。
【参考】業界動向サーチ
食品商社ランキング~売上編~
企業選びにその企業の売上を重視する方も多いでしょう。ここでは食品専門商社の売上TOP5をご紹介します。
【参考】業界動向サーチ
食品商社ランキング~年収編~
優良企業が多い食品商社ですが、その中で特に年収の高い企業3社をピックアップしてみました。本選考を応募する際に参考にしてみてください。
【参考】業界動向サーチ
食品商社の選考対策法2選
ここまで食品専門商社について解説してきました。では、実際に入社するためにはどのような準備が必要なのでしょうか?すぐに取り組める選考準備の方法を紹介します。
①食品業界の業界分析を徹底する
食品商社の面接では、ESや面接の際に「なぜメーカーでなく商社なのか」ということを問われる可能性が高いです。それに対応するために商社だけでなく、食品業界全般の企業理解が必要です。
理解を深めてから選考に臨めば、説得力のある動機を話せるため他の志望者に差をつけることができます。
業界研究や企業研究についてお悩みの方は下記の記事をチェックしてみてください!
②食品商社のインターンシップに参加する
調べてみても「食品商社の仕事内容がわからない!」「自分の働いている姿を想像できない」という壁にぶつかる就活生は少なくないでしょう。
そんな時には食品商社のインターンシップに参加するのがおすすめです。インターンシップ中のワークを通じて業務内容を肌で感じられます。
そのうえインターンには座談会などが企画されている場合が多く、社員の方のお話を聞くこともできます。もし食品商社に興味があれば、インターンに参加して、業界理解を深めてみるのもいいでしょう。
インターンについての記事は以下のものを参考にしてみてください。
食品商社の志望動機例
最後に、商社の志望動機の一例を紹介します。
食に関する社会問題へビジネスを通して取り組み、持続可能な食文化を支えたいという想いで食品商社を志望します。
祖父が農業を営んでおり、幼い頃から、生産者の立場で食に触れる機会が多くありました。農家の高齢化や後継者不足などの問題を間近に感じ、生産者の想いを近くで見てきた経験から、日本の食の未来に貢献したいという想いがあります。食の社会問題を根本から解決するには、持続性のあるビジネスとして、新たな仕組みづくりが必要であると考えています。食品商社であれば、卸売り業として、メーカーと小売業者の双方と連携をとり、様々な視点から食に関わることで、フードロスや食に関する多くの問題に影響力をもって取り組むことができると考えています。中でも、ECやウェルネスなどの成長市場へ力を入れている貴社で、時代のニーズに応えながら、目の前の課題に対し、関わる人の想いに沿った提案をすることで、よりよい食文化を将来に繋ぐことに貢献していきたいです。
【参考】食品メーカーの志望動機例
私は「食の重要性を感じ、食品の魅力を多くの人に体感してもらいたい」という想いのもと、食品メーカーを志望しています。そのため貴社では「食を通じて家族や人々がつながり、多様なライフスタイルを実現できる社会づくりに貢献する」という価値創造に関わりたいと考えています。貴社が培ってきた財産にデジタルを掛け合わせ、新たな価値に変えていくことに挑戦したいです。特に大学での研究から、◯◯の関連とその重要性を伝えていくことに貢献したいです。
おわりに
食品商社の基本情報から企業紹介まで網羅的にまとめました。この記事を通じて食品商社の業界理解が深まれっていれば幸いです。
今回の記事を通して気になった企業について気になった方は、ぜひ深く調べてみてください。
食品業界についてもっと知りたい方へ
さらに食品商社の仕事や事業について知りたいという方も多いはず。そんな時におすすめなのが就活相談プラットフォームのMatcher(マッチャー)です。
Matcher(マッチャー)は、所属関係なく気になる業界の気になる社会人に、気軽に訪問依頼を送信でき、就活相談ができるサービスです。ぜひ、活用して就職活動に役立ててください。
【社会人の所属企業一覧(食品業界一部)】
味の素、ニチレイフーズ、住商フーズ、日清食品HD、明治、ネスレ日本、オイシックスドット大地、日本ハム、敷島製パン、亀田製菓、ハウス食品、など