商社とメーカーの違いを徹底解説|事業内容・働き方・年収など

2025/07/22
業界の仕事内容
商社
目次
1.
‌商社とメーカーの大きな違い
2.
【要素別】商社営業とメーカー営業の違い
3.
【年収比較】商社とメーカーの平均年収
4.
商社とメーカーがなぜ混同されるのか?
5.
【人気企業】‌商社とメーカーの大手3選
6.
事例紹介|商社とメーカーの繋がり
7.
さいごに
就活生に圧倒的な人気を誇る「商社」と「メーカー」。この2つの違いをきちんと説明できますか?「商社」と「メーカー」は事業内容はもちろん、働き方や年収などにも大きな違いがあります。

ぜひ最後まで読んで、2つの業界に対する理解を深めてください!

‌商社とメーカーの大きな違い

商社とメーカーの大きな違いとは、「自社で商品(製品)を製造しているかしていないか」です。

【メーカー】
メーカーは、商品の製造から販売まで行います。そのため、メーカーは、「製造」できることが最大の強みです。

【商社】
商社では、他社の商品・製品を取り扱い販売しています。商社の強みは、幅広い商材を扱っていることです。
商社のクライアント・注文の依頼者は、商材が幅広いことから理想に近い製品を見つけやすいです。

メーカーの事業内容

メーカーは、製品の生産から販売までを行なっています。

製造している分野によって、メーカーは分けられています。例えば、食品を扱うメーカーであれば「食品メーカー」、車を扱うメーカーでは、「自動車メーカー」などと呼ばれます。メーカーはさらに「上流・中流・下流」で分けられることが多いです。

商社にはないメーカーの機能

メーカーの最大の機能とは、お客様・市場のニーズを把握し、最高のモノ創りを行い提案・提供することです。
お客様・市場のニーズに100%応えられることがメーカーの強みと言えるでしょう。一方メーカーは、自社で製造したものしか扱えないため、他社製品の販売ができません。

以下、メーカーの4つの機能をまとめてみました。
メーカーの4つの機能

商社の事業内容

商社の事業内容は主に2つに分けられます。「トレーディング」「事業投資」です。それぞれについて解説していきます。

トレーディング

トレーディングとは、取引の仲介のことです。海外の製品・サービスの輸入や国内メーカーから仕入れたモノの輸出をはじめ、取引を円滑に進める役割を担っています。
非常に簡単にまとめると、商社はメーカーが原料を集めるところから、モノを作って販売するところまでの取引をサポートしているのです。

事業投資‌

‌事業投資とは、原料調達から加工、製造、販売、アフターサービスまで、これらの流通の過程で価値を発揮できるよう、企業に投資することです。こうすることによって、商社を介することの価値を与えることができます。

メーカーにはない商社の機能

商社は、ビジネスマッチング力が最大の機能です。また、お客様や市場ニーズがある商材や技術を世界中から探索します。

メーカーの商品や技術を世界のマーケットに展開することも可能です。そのため商社は、世界を超えて、ビジネスマッチングをするための架け橋となるような存在です。

商社の機能については、以下の写真を参考に理解を深めてみましょう!
商社の8つの主な機能

【要素別】商社営業とメーカー営業の違い

商社営業とメーカー営業はどのような部分が違うのでしょうか?
ここでは、違いを要素別に紹介していきます!
商社の営業 vs メーカーの営業

仕事内容

どちらも同様に「見積作成」から「商談」まで行いますが、「商品の案内」の段階で少し仕事内容が異なります。

商社の営業は、メーカーから商品を仕入れ、それを必要とする企業へ販売します。扱う商品の種類が多いため、多角的な知識が必要とされます。その一方で、メーカーの営業は自社で開発・製造した製品を顧客に提案し、販売するのが主な業務となっています。

扱う商品は限られていますが、その分自社の製品に対する深い知識が必要とされます。

やりがい

商社の営業では、「人と人を繋げる」「世界を舞台に活躍できる」「幅広い提案ができる」ことにやりがいを感じることができます。

商社の仕事自体、企業同士を結びつける架け橋的な存在です。出会うことがなかった企業同士が自分の手によって繋がること、双方が利益を得られるようにアシストしていくことにやりがいを感じる人は多いと言えます!

一方、メーカーの営業のやりがいとして、「販売した商品が世の中で役に立っている」‌「自分が企画した商品を直接手にできる」「新商品の立ち上げに参画できる」などが挙げられます。

自ら企画・開発したものが実際に使用できるまで完成したとき、そしてその商品が誰かの手に渡った時にやりがいを感じる人が多いです。

営業の存在価値

商社の営業の存在価値として、「倉庫のストックからどんどん提案できる」ことが挙げられます。商社は自社の商品に限らず、さまざまな商品を取り扱っているため、豊富なバリエーションから顧客のニーズに合ったものを柔軟に選ぶことができます。

一方で、メーカーの営業の存在価値として、「商品に関する顧客の疑問に答えることができる」ことが挙げられます。メーカーの営業は扱う商品が商社より幅が狭い分、自社の商品に深い理解があるため、顧客の専門的な質問に対しても答えることができます。

もっと商社・メーカーについて深く知るためには

ここまで商社とメーカーの違いについて解説してきました。より理解を深めるためには、実際に働いている社員さんの生の声を聞いてみるのが最も効果的です。

‌そんなときにおすすめなのが、就活相談プラットフォームのMatcher(マッチャー)です。
OBOG訪問サービスMatcherの紹介画像
‌‌M‌atcherは、所属大学や学年に関係なく、社会人に就活相談ができるサービス。商社やメーカーで働く社会人に、OB・OG訪問を依頼することができます。
‌OB・OG訪問といえば業界研究や企業研究の際に使うイメージを持っている方も多いと思いますが、実は、上手く活用することで志望企業の内定に着実に近づける<万能薬>にもなりえるんです!

▼Matcherの活用方法の例
・企業の働きやすさ実態を教えてもらう
・志望企業の決め方について相談する
・通過率を高めるためのES添削をしてもらう
・志望企業の面接の雰囲気について教えてもらう
・就活のモチベーションを上げるコツを教えてもらう
・内定ブルーを相談する
OBOG訪問サービスMatcherの紹介画像
【社会人・内定者の所属企業(商社・メーカー)】
三菱商事、伊藤忠商事、丸紅株式会社、三井物産、住友商事、伊藤忠丸紅鉄鋼、JFE商事、味の素、豊田通商など
‌ぜひ商社・メーカーの社会人に積極的に会いに行き、業界や企業について幅広く質問してみてください。MatcherでOB訪問できる相手を探してみる(無料)

【年収比較】商社とメーカーの平均年収

ここでは、商社とメーカーで勤める際には営業職に就くことが多いため、営業の年収についてご紹介していきます!
商社営業とメーカー営業は、場所や地域、企業規模、業界によって異なりますが、傾向としては、商社営業の方が年収が高いとされています。

‌以下では参考にそれぞれの平均年収をご紹介します。

‌▼平均年収
‌総合商社:472万円
‌専門商社:439万円
メーカー:481万円

それぞれの年収の違いについて詳しく解説していきます。

商社とメーカーの年収の違い

メーカーは、工場を持つことが必須になるため、工場の管理費や工場で働く人件費など社内だけではなく工場や倉庫に対してのコストがかかります。そのため、利益を人件費に分配しにくいです。

また、総合商社か専門商社か、メーカーでも何系なのか、そして大手企業かどうかによっても年収は大きく変わります。商社であれば総合商社の方が大手でも年収は高めです。5大商社の平均年収は1000万円を超えると言われています。5大商社とは三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅を指します。

また、専門商社では大手であれば800万円代〜1000万越えであることがほとんどです。

‌メーカーでも、大手5社は年収1000万円を超えているようです。ファクトリーオートメーション用のセンサーの製造を行うキーエンスや、ゲームメーカーであるスクウェア・エニックスHD、ファクトリーオートメーションや産業用ロボットの製造を行うファナックなどが大手として挙げられます。‌

商社とメーカーの働き方の違い

商社の働き方の特徴は「スピード感」です。市場は常に変化し続けるため、その動きを把握し、顧客にとって最適な提案を迅速に行う必要があります。
また、商社はグローバルに事業を展開している場合も多く、社員が海外出張や駐在を通じて現地の人々と直接コミュニケーションを取る機会も豊富です。そのため、グローバルな環境で働くチャンスが多いのも特徴です。

一方、メーカーでは商社と異なり、自社製品を販売するため、販売後も顧客との関係が継続することが多くなります。そのため、営業活動だけでなく、アフターケアや信頼関係の構築を重視した働き方が求められます。

また、取り扱う製品や業界に関する専門的な知識が前提となるため、継続的な学習が欠かせません。

商社とメーカーがなぜ混同されるのか?

大体商社とメーカーの違いについては理解できたでしょうか。ここでは、商社とメーカーが混同されやすい理由を説明します。

①商社がグループ会社などの他社工場に依頼するから

商社は、前述でも紹介したように「自社で製造を行わないこと」が特徴として挙げられます。

しかし、商社のグループ会社に含まれる他社が製造を担う場合があります。内部を知らない私たちからすると、ほぼ自社で製造しているのと変わらないように見えますよね!

その結果、メーカーと変わりなく見えてしまうことが、混同してしまう理由に繋がっているのでしょう。

②メーカーでも商社と同じ機能をもつ会社があるから

2つ目の理由として、メーカーでも商社と同じ機能を持つ会社があることが挙げられます。

先ほどから、紹介してる通り、近年メーカーは、商社の機能をもつ企業が増加しているのが現状です。
就活をする上で、商社とメーカーが混同してしまうことは多いですが、どんなことをしているのか事業をしっかり把握することで適切な志望動機、ESを書くことができます!

【人気企業】‌商社とメーカーの大手3選

商社とメーカーそれぞれ人気企業3選をご紹介します。

【商社】2025年人気企業3選

ここでは、2025年度の商社人気企業3選をご紹介します。

①伊藤忠商事

伊藤忠商事は、14.7兆円と三菱商事に続いて高い売り上げを維持しています。伊藤忠商事は、コンビニ事業やアパレル事業、食品事業などを展開しています。

伊藤忠商事は、傘下としてファミリーマートを抱えています。2021年の総利益は、三菱商事を超えて伊藤忠商事がNo.1となりました。

②三井物産

三井物産は、14.6兆円の売り上げを立てています。主力事業は、金属資源分野です。金属資源分野の中でも、機械、インフラ、化学品などをメインに扱っています。

金属資源分野では、景気によって会社の利益が左右される場合があるので、就職を希望する場合は、景気などの変動にも着目することがおすすめです!

③三菱商事

三菱商事は、18.6兆円という売り上げを叩きだし、売り上げランキングでも堂々の1位です。三菱商事では、鉄鉱石、食品などを事業として扱っています。

鉄鉱石などの資源系事業と食品などの非資源系事業の双方の事業投資を行うことでバランスの良い経営バランスをとっています。

総合商社1位の座を常に保持しています。

【メーカー】2025年人気企業3選

次にメーカーで人気企業3選をご紹介します。

①【水産・農林業】マルハニチロ

マルハニチロは、水産物・食品事業を中心に、世界を舞台に事業を展開する大手食品企業です。

水産事業では、漁業から加工・販売まで一貫して行っています。また、食品事業では、冷凍食品やレトルト食品など、幅広い食品を開発・提供しています。

②【食品業】味の素

味の素株式会社は、うま味調味料「味の素」で知られる日本の大手食品会社です。また、売上高は1.5兆を超えています。

アミノ酸の研究や食品事業を中心に、ヘルスケアなど幅広い事業を展開しています。

③【繊維】東レ

東レ株式会社は、繊維や樹脂などを手がける日本の大手メーカーです。特に、航空機やスポーツ用品に使われる炭素繊維複合材料では世界トップクラスのシェアを誇ります。

環境などの成長分野にも注力しており、素材を通じて社会課題の解決に貢献する企業として注目されています。

商社・メーカーの社員に話を聞いてみよう

ここまで、商社やメーカーの企業を紹介してきました。興味のある企業は見つかりましたか?

先ほどご紹介した企業や他の商社・メーカーについての理解を深めるのにおすすめなのが就活相談プラットフォームのMatcher(マッチャ−)です。
OBOG訪問サービスMatcherの紹介画像
‌‌M‌atcherは、所属大学や学年に関係なく、社会人に就活相談ができるサービス。商社やメーカーで働く社会人に、OB・OG訪問を依頼することができます。
‌OB・OG訪問といえば業界研究や企業研究の際に使うイメージを持っている方も多いと思いますが、実は、上手く活用することで志望企業の内定に着実に近づける<万能薬>にもなりえるんです!

▼Matcherの活用方法の例
・企業の働きやすさ実態を教えてもらう
・志望企業の決め方について相談する
・通過率を高めるためのES添削をしてもらう
・志望企業の面接の雰囲気について教えてもらう
・就活のモチベーションを上げるコツを教えてもらう
・内定ブルーを相談する
OBOG訪問サービスMatcherの紹介画像
‌【社会人・内定者の所属企業(商社・メーカー)】
三菱商事、伊藤忠商事、丸紅株式会社、三井物産、住友商事、伊藤忠丸紅鉄鋼、JFE商事、味の素、豊田通商など
‌ぜひ商社・メーカーの社会人に積極的に会いに行き、業界や企業について幅広く質問してみてください。MatcherでOB訪問できる相手を探してみる(無料)

事例紹介|商社とメーカーの繋がり

商社が手がける2つの事業について説明してきました。上述の説明からもおわかりいただけるかもしれませんが、商社はメーカーが材料を仕入れてから販売するために必要な機能を提供しています。
‌ここでは、商社とメーカーの繋がりをイメージしてもらえるよう、2つの事例をピックアップしました。メーカーがトレーディングと事業投資によってどのようなサービスを享受しているのか意識しながら読んでみてください。

①商社とコーヒーメーカー

まずは、商社とコーヒーメーカーの例から。コーヒー豆は熱帯付近の発展途上国において生産され、先進国に輸出されます。そして先進国で焙煎加工を施され消費されています。発展途上国から先進国へといった構図になっているのがコーヒー事業の特徴です。
【商社のトレーディング】
商社はコーヒー豆の農家からコーヒー豆を購入し、消費国である日本へ輸入します。輸入したコーヒー豆をコーヒーメーカーに販売。そして加工を施したものを小売店に販売する取引でも役割を果たします。

【商社の事業投資】
コーヒー産業は熱帯の発展途上国において貴重な外貨獲得の産業でありますが、コーヒー豆の多くは貧しい小規模農家で栽培されています。小規模農家は設備も悪く安定した栽培をすることが難しいため、農家を廃業し海外へ出稼ぎをすることも珍しくありません。
‌このような農家が多数出てしまうと、その国のコーヒー産業は低下し、経済衰退に繋がってしまいます。また、コーヒーの栽培自体も標高1000m以上の山岳斜面地帯であり、機械の導入は環境的に難しいため、ほとんどが手作業で行われていることも事実です。
そこで、商社はそのような農家へ事業投資をすることによって栽培の持続を可能にし買い手へ安定した供給を手伝います。また、供給の安定だけでなく品質の向上も促しています。具体的には農家の技術向上、設備の支援やインフラの整備などを行なっています。

このように農家の自立と品質向上、国の発展にも貢献できるのが商社の魅力の1つといえるでしょう。

②鉄鋼商社と鉄鋼メーカー

つぎに専門商社と鉄鋼メーカーの関わりについて説明します。

‌鉄鋼メーカーと言うと、新日鉄住金やJFEスチールなどの企業が挙げられますが、鉄鋼を扱う商社では伊藤忠丸紅鉄鋼などがあります。どちらも鉄鋼を扱っていますが、両者はどのようにかかわってくるのでしょうか?
【商社のトレーディング】
鉄鋼を製造するのが鉄鋼メーカーの役割で、その製造された鉄鋼製品はメーカーから商社に卸されます。そして卸された鉄鋼製品を他メーカーや加工業社へ流通させることが商社の役割となっています。
また、鉄鋼製品は海外への輸出が盛んに行われている製品です。そこで商社の強みである海外へのネットワークを生かし、鉄鋼メーカーの貿易を代行することができます。
【商社の事業投資】
上述した通り、鉄鋼を使うメーカーは鉄鋼メーカーから直接買ったほうが、商社に払う手数料がかからず安く仕入れることができます。それにも関わらず、なぜメーカーは商社に仲介に入ってもらえるように依頼するのでしょうか?
鉄鋼メーカーは鉄をたくさん製造してたくさん売りたいというニーズがありますが、一方鉄鋼を使用するメーカーは、必要なタイミングで必要な量を仕入れたいというニーズがあります。
この両者のギャップを埋めるのが商社の事業投資です。まず鉄鋼メーカーに出資することで経営権を獲得する。そして生産量をコントロールすることにより、必要な量を効率よく生産することができます。

さらには、鉄鋼の加工業社に出資することで、ユーザーに必要な形の鉄鋼製品を提供することも可能になり、商社が仲介することによる付加価値を与えることができるのです。

さいごに

ここまで、商社とメーカーの違いについて解説してきました。この記事を元に、商社とメーカーの違いを理解し、就活準備を進めていきましょう!

記事一覧