
【最新】商社とは?仕事内容や種類、年収・売上ランキングを解説
2025/04/12
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「商社」と聞くとどのような印象を持ちますか?「年収が高くてキラキラしている」「就活生に人気である」「海外転勤のチャンスもある」など、さまざまあると思います。
しかし一方で、「商社が何をしているのかが分からない」「今後の動向はどうなるの」などと、疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、「そもそも商社とは何なのか」皆さんが抱えているであろう、商社への疑問について解説した後、商社の業績・年収ランキング、就活生に人気な企業ランキングまでご紹介します。ぜひ、商社業界への興味を深めて、自身の就活に役立てましょう!
商社とは?
商社とは、一言で表すと「なんでも仲介業者」です。商品を販売したり、買い付けたりすることで、食料品から石油、自動車などあらゆるモノを扱い、売り手と買い手をマッチングする役割を持ちます。
商社とメーカーの違い
商社と混同されがちな業界として、メーカーが挙げられます。「有形商材」を取り扱う業界である商社とメーカーの大きな違いは、「自社で商材を製造しているか」です。
メーカーでは、商品の製造から販売までを行っています。メーカーの強みは『製造』できることです。商社は、他社の商品・製品を取り扱い、販売しています。商社の強みは『様々な商品を扱っている』ことです。
特に商社とメーカーの営業は「有形商材を売る」という点において似ています。営業職を志望して商社の就活を行う場合は、なぜメーカーではダメなのか、について理由を固めておくことがオススメです。
以下の記事ではより詳しく商社とメーカーの違いについて解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
商社の種類

商社は特定の業界や製品カテゴリに特化する企業と、多岐にわたる商品を取り扱う企業が存在しており、それぞれ、総合商社・専門商社と呼ばれます。
それぞれについて確認していきましょう!
①総合商社
学生のみなさんに大人気で選考の倍率が非常に高いのが、総合商社です。
総合商社は多種多様な事業を扱い、トレーディングと事業投資をメインにビジネスをしています。調達から、生産、加工流通、販売まで、川上から川下までのバリューチェーンの構築によって、ビジネスの付加価値を高め、より高いリターンをめざしています。
3大商社は、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事の3社で、収益や純利益でトップ争いをしている3社を表しています。 5大商社はそれに丸紅と住友商事が加わり、7大商社となると、さらに豊田通商と双日が加わります。 7大商社はいずれも取り扱っている商品やビジネスの幅が広いため総合商社と呼ばれます。
▼総合商社の代表的な企業
▼総合商社の代表的な企業
三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅、豊田通商、双日
②専門商社
専門商社とは、特定の分野の商品を専門的に扱っている商社のことです。具体的には、売上比率の50%以上が特定の商品である商社のことを言います。
「繊維商社」や「食品商社」、「鉄鋼商社」など、特定の事業分野に特化していることが特徴です。
専門商社はさらに以下の3つに分類することができます。
総合商社系専門商社
総合商社系専門商社とは、総合商社で行っていた特定の分野が独立してできた専門商社、または総合商社の事業投資により子会社化した専門商社のことです。 総合商社では大規模な案件が主流であるため、小規模な案件や商品、小口な取引は下記のような専門商社に任せています。
▼総合商社系専門商社の代表的な企業
伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン、三菱商事エネルギー
メーカー系専門商社
メーカー系専門商社とは、特定のメーカーを中核とした専門商社のことです。特定のメーカーの商品を販売することをメインの事業としています。
▼メーカー系専門商社の代表的な企業
JFE商事、花王カスタマーマーケティング、日産トレーディング
独立系専門商社
独立系専門商社とは、総合商社系専門商社とメーカー系専門商社の両方に属さない専門商社のことを言います。単独で事業を行っており、独自の歴史やコネクションを持っていることが特徴です。
▼独立系専門商社の代表的な企業
兼松、阪和興業、豊島
商社で働く先輩に相談してみよう
商社業界についての理解を深めたいという学生に試してほしいのが、OB・OG訪問です。実際に商社で働いている社会人の先輩に話を聞くことで、商社で働く自分の姿がイメージしやすくなるでしょう。そして、OB・OG訪問でぜひ活用していただきたいのがMatcher(マッチャー)です。
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【登録社会人の所属企業一覧(一部抜粋)】
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、双日、丸紅、豊田通商、伊藤忠丸紅鉄鋼、三井物産エアロスペース、三井物産ケミカル、日鉄住金物産など
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商社のビジネスモデル
ここからは商社のビジネスモデルについて詳しく解説していきます。商社のビジネスモデルは主に2つあります。
▼商社のビジネスモデル
①トレーディング
②事業投資
以下で詳しく解説していきます。
ビジネスモデル①|トレーディング

商社の伝統的で基本的なビジネスモデルといえるのが、トレーディングです。
トレーディングとは、「仲介業者として、需要と供給を結びつける」ビジネスモデルです。商社が担う大きな役割の1つとなっており、仲介業者として、売り手の販売機会の拡大、そして買い手のニーズを満たす調達の双方を可能にします。
トレーディングでは、「コミッション」と「マージン」という2つの収益があります。
▼コミッションとは
「コミッション」とは、簡単にいうと仲介手数料のことです。
例えば、A社が文房具の販売をしたいと考えているとします。しかし、販売店舗数が少なく、売り上げがなかなか上がりません。そこで、販売機会を増やすため、商社に販売場所を提供してもらい、仲介手数料を払います。
A社は販売機会が拡大して利益が上がり、買い手は多くの場所で商品を購入できるようになるため、両者のニーズを満たすことができるのです。
▼マージンとは
一方で「マージン」とは、売買差益のことをいい、売上額から仕入れ額を引いた金額のことです。製品を仕入れ販売するとき、売値と買値にギャップを作り、収益としています。
▼マージンとは
一方で「マージン」とは、売買差益のことをいい、売上額から仕入れ額を引いた金額のことです。製品を仕入れ販売するとき、売値と買値にギャップを作り、収益としています。
ビジネスモデル②|事業投資

具体的には、出資先企業へ人材・資金・情報・経営ノウハウ・資材調達などの経営資源を投入し、長期的に事業経営をサポートすることで企業価値を向上させています。出資先の株式等が上がることで結果的に商社の収益を最大化できるということです。
事業投資の例として、商社によるコンビニエンスストア事業への投資について解説します。
事業投資の例として、商社によるコンビニエンスストア事業への投資について解説します。

ある総合商社は、大手コンビニエンスストアの株式総数の30%を取得し小売事業経営への参入を行なっています。
日用品や食品がコンビニエンスストアの店頭に並ぶまでには、日用品や食品を作るのに必要な原料を調達し、それらを加工する必要があります。当たり前ですが、商品以前に店舗がなければなりませんし、店舗を運営するための在庫管理のシステムも必要です。総合商社Bは、上記のようなコンビニエンスストアの運営に必要な資産を保有しています。これらの資産を事業に投入することで、コンビニエンスストアの企業価値を向上させることができます。
業績が上がることで、そこに出資している総合商社Bの価値も向上し、自社のバリューチェーンに組み込まれている食品加工会社や日用品の素材メーカーも収益を上げることができます。事業投資によって、幾重もの相乗効果を発揮することができるのです。
商社の職種・仕事内容
商社にはどのような職種があるのでしょうか。ここでは以下の5つの職種とその仕事内容について解説します。
▼商社の職種と仕事内容
・営業職
・営業事務職
・貿易事務職
・事業企画職
・技術職
以下で詳しく解説していきます。
営業職
商社の営業は、「売る先」「仕入れ先」を見つけたり、取引先との関係を持続させたりする業務を行います。また、市場のトレンドを掴み、新規の商材として扱えるモノを探すリサーチも仕事のひとつです。
商社の営業は特定の商材を持っておらず、メーカー同士の仲介や新商品の開発提案などを行います。「幅広いジャンルの知識を身につけられること」「商品に制約がなく、相手やシチュエーションによってさまざまな提案ができること」はメリットだといえるでしょう。しかし、仕事量が多く、ノルマが厳しい傾向にあるというデメリットもあります。
基本的に取引先など会社の外で仕事をすることが多く、ある程度の体力が必要な職種です。
営業事務
営業事務は、国内外の取引先との交渉や調整を行っている営業をサポ―トする立場として、電話の応対や提案資料の作成、受発注対応を行います。
デスクワークが中心で、電話やメールでのコミュニケーション能力が求められる仕事です。
貿易事務
貿易事務職は、海外の貿易業者と連携しながら手続きに必要な書類の作成や手配、輸送管理等を行います。海外との取引がある商社で重要な役割を担っている職種です。
英語等で書類を作成し、海外企業との電話やメール、Web会議等を通して、英語でコミュニケーションを取る機会が多く、ビジネスレベルでの英語力が必要となる職種です。
事業企画職
商社は扱う商材がメーカーよりも幅広いため、自社で何を扱うのかについて戦略的に考えることが必要です。
事業企画職は、どのような事業や商材に関わるか、どこと取引をするのか、どの企業に投資するのかなどについて企画を立案し、事業計画を立てる職種です。
業務の内容は、企業経営やマーケティング、コンサルティングに近い業務を行います。
技術職
商社は基本的に他社商品を扱っていますが、自社で製品を作ることもあり、このような製品開発や、顧客への商品の専門的な説明が技術職の仕事です。
採用時から、専門職としての選考が行われることが多く、特定の学部出身であることや、資格を持っていることなど、応募に条件が課されていることが多くなっています。
商社の業績ランキングと年収ランキング
商社業界をめざしている人の中には、業績がいい、年収がいいという指標で企業選びをしたいと考えている人もいるのではないでしょうか?
特に商社業界は、ほかの業界と比較して、年収の水準が高いため、就活生にも人気となっています。
ここからは、総合商社・専門商社の業績・年収ランキングをご紹介します。
総合商社の業績・年収ランキング
まずは、総合商社の業績・年収ランキングを見ていきましょう!
総合商社の業績ランキング
1位:三菱商事株式会社(19.57兆円)
2位:伊藤忠商事株式会社(14.03兆円)
3位:三井物産株式会社(13.32兆円)
4位:豊田通商株式会社(10.19兆円)
5位:丸紅株式会社(7.25兆円)
売上高に着目して、総合商社の2023年度における業績を比較しました。5大商社のうち4社がランクイン。4位には豊田通商が入っています。5大商社である住友商事は、6.91兆円で2023年度の売上高ランキングでは6位でした。
豊田通商はトヨタグループの商社であり、自動車関連事業を中心に成長してきました。近年は売上規模で住友商事を上回る年も多いです。「事業分野の多様性」「歴史と伝統的ポジション」「非資源・資源分野のバランス」「国際的な影響力と知名度」といった面から<5大商社>と一区切りにされていますが、業界における立ち位置なども十分調べた上で志望する企業を比較検討していきましょう。
総合商社の平均年収ランキング
1位:伊藤忠商事(1,580万円)
2位:三菱商事(1,559万円)
3位:住友商事(1,556万円)
4位:三井物産(1,549万円)
5位:丸紅(1,469万円)
国税庁の調査によると、2023年の日本人の平均年収は460万円です。
上述した商社の年収を平均すると1,542.6万円となり、日本人の平均年収の約3.35倍にあたります。
専門商社の業績・年収ランキング
次に、専門商社の業績・年収ランキングを見ていきましょう!
専門商社の業績ランキング
1位:株式会社メディパルホールディングス(3.56兆円)
2位:アルフレッサ ホールディングス株式会社(2.86兆円)
3位:阪和興業株式会社(2.43兆円)
4位:株式会社スズケン(2.39兆円)
5位:三菱食品株式会社(2.08兆円)
上記は、2023年度の専門商社における売上高ランキングです。
医薬品流通を担う株式会社メディパルホールディングスが首位となり、医薬品、鉄鋼、食品など各分野に特化した商社が上位を占めています。
近年、専門商社はエネルギー・素材価格の高騰や円安の追い風を受け、業績を拡大しています。
専門商社の平均年収ランキング
1位:マクニカホールディングス株式会社(1,719万円)
2位:西本Wismettacホールディングス株式会社(1,100万円)
3位:長瀬産業株式会社(1,090万円)
4位:ミツウロコグループホールディングス株式会社(1,077万円)
5位:日鉄物産株式会社(991万円)
2023年現在、専門商社で最も年収が高いマクニカホールディングス株式会社は、半導体やネットワーク関連機器を主に取り扱っています。2番手の西本Wismettacホールディングス株式会社は、アジア食材をはじめとする「食」に特化した商社です。
長瀬産業株式会社は化学品に強みを持ち、4位のミツウロコグループホールディングス株式会社はエネルギー商材を主力としています。5位の日鉄物産株式会社は鉄鋼や産業機械などを幅広く扱っています。
【参考】日鉄物産株式会社「有価証券報告書」
就活生に人気な商社企業をランキング形式でご紹介!
今の就活生に人気な企業を独自のランキングでご紹介いたします!
就活生の志望企業調査を参考に、独自にランキングを作成しました。それぞれ3つの調査でTOP15の会社をピックアップし、高い順にポイントをつけ、会社ごとの総合得点を比較します。
人気な企業TOP10
ここでは就活生に人気な商社企業のランキングと、各社の特徴をご紹介していきます。
▼各社特徴の紹介形式
会社の概要 総合商社or専門商社(事業領域)
初任給 〇〇円(大卒)
定着率 〇〇%(公開されている直近3年間の平均値)
平均年収 〇〇円
平均年齢 〇〇歳
若手からの高年収度(※1) ◯pt
※1
本記事では、政府の情報をもとに「若手からの高い年収度」を独自にスコアリングしています。このスコアが『1pt』よりも高ければ高いほど、若くして多くの年収を稼ぐことができると予想できますが、あくまで予測であるため、実際にOB・OGを行いながら情報収集することをオススメします。
1位 伊藤忠商事株式会社
会社の概要 総合商社(金属・機械・エネルギー/化学品・住生活)
初任給 305,000円
定着率 98.86%
平均年収 約1730万円
平均年齢 42.4歳
若手からの高年収度 1.47pt (+0.47)
伊藤忠商事株式会社は、今回参考にした3つの人気ランキングで、堂々一位を獲得しました!非源分野を中心とした、安定的な収益基盤に強みをもっています。
【参考】伊藤忠商事株式会社
2位 三菱商事株式会社
会社の概要 総合商社(地球環境エネルギー・金属・インフラ食品・電力)
初任給 305,000円
定着率 不明(平均勤続年数18.5年)
平均年収 約1939万円
平均年齢 42.9歳
若手からの高年収度 1.63pt (+0.63)
三菱商事株式会社は、前述した通り、年収ランキング第1位の会社です。さまざまな事業を行っており、その総合力に強みを持っています。
【参考】三菱商事
3位 丸紅株式会社
会社の概要 総合商社(食料品・金属・化学・エネルギー・インフラ・金融)
初任給 305,000円
定着率 96.96%
平均年収 約1593万円
平均年齢 42.3歳
若手からの高年収度 1.36pt (+0.36)
米国での競争力が強く、70年以上のビジネス実績をを持っています。
【参考】丸紅株式会社
4位 住友商事株式会社
会社の概要 総合商社(鉄鋼・自動車・化学・農業・メディア)
初任給 305,000円
定着率 97.74%
平均年収 約1605万円
平均年齢 43.2歳
若手からの高年収度 1.34pt (+0.34)
住友商事株式会社の強みは、メディア事業です。先端技術へいち早く適応し、DXやAI技術を取り入れたデジタルソリューション事業で、イノベーションの推進に貢献しています。
【参考】住友商事株式会社
5位 三井物産株式会社
会社の概要 総合商社(金属・エネルギー・機械・鉄鋼・生活産業・流通・金融)
初任給 310,000円~320,000円
定着率 95.49%
平均年収 約1783万円
平均年齢 42.3歳
若手からの高年収度 1.52pt (+0.52)
三井物産株式会社は、資源分野で広く事業を展開していましたが、価格変動のリスクが高いため、医療・ヘルスケアなどの生活産業分野に積極的に参入しています。
【参考】三井物産株式会社
6位 双日株式会社
会社の概要 総合商社(航空・社会インフラ・エネルギー・金属・化学)
初任給 305,000円
定着率 95.83%
平均年収 約1208万円
平均年齢 41.7歳
若手からの高年収度 1.04pt (+0.04)
双日株式会社は航空産業が強みです。国内民間航空機代理店として1位のシェアを誇っており、関連したほかの事業に柔軟に参入するなど、将来の需要を予測した、柔軟なフットワークを持っています。
【参考】双日株式会社
7位 豊田通商株式会社
会社の概要 総合商社(金属・環境資源・モビリティ・エネルギー・デジタルソリューション)
初任給 285,000円
定着率 不明(平均勤続年数17.2年)
平均年収 約1180万円
平均年齢 43.1歳
若手からの高年収度 0.99pt (▲0.01)
豊田通商株式会社は、トヨタグループカンパニーであり、自動車関連事業が商社でNo.1です。また、アフリカでの事業にも力を入れており、自動車・ヘルスケア・生活産業・テクノロジーの面でアフリカの発展に貢献しています。
【参考】豊田通商株式会社
8位 株式会社日本アクセス
会社の概要 専門商社(食品)
初任給 243,600円
定着率 不明
平均年収 不明
平均年齢 不明
若手からの高年収度 不明
株式会社日本アクセスは、伊藤忠商事株式会社のグループ会社です。総合食品卸売業として、さまざまな食のフィールドで活躍しています。
【参考】株式会社日本アクセス
9位 キヤノンマーケティングジャパン株式会社
会社の概要 専門商社(技術)
初任給 24万5,000円
定着率 98.34%
平均年収 約835万円
平均年齢 48.8歳
若手からの高年収度 0.61pt (▲0.39)
キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、キヤノンブランドの各種製品に加え、先進的なITソリューションや国内外の優れた製品・サービスのマーケティング活動を行っています。
10位 阪和興業株式会社
会社の概要 総合商社(鉄鋼・リサイクル・エネルギー)
初任給 30万円(総合職の場合)
定着率 不明(平均勤続年数12.6年)
平均年収 約885万円
平均年齢 38.2歳
若手からの高年収度 0.83pt (▲0.17)
阪和興業株式会社は特定の企業やグループに属さない独立系の商社です。創業当時は鉄鋼の専門商社でしたが、徐々に事業領域を広げ、現在は総合商社としてリサイクル・プライマリーメタル事業や食品事業にも参入しています。
【参考】阪和興業株式会社
【2025年版】商社の現状・これからの動向
商社への就職活動を行う際に知っておきたい業界の現状とこれからの動向についてご紹介しています。
商社の現状
商社の現状として重要なトピックは、以下の通りです。
▼商社の現状
①非資源事業の収益構造強化
②M&Aの推進
③ECサイトの成長による商社の取引機会の減少
それぞれのポイントについて、具体的な数値についても言及しながら詳しく解説していきます。
①非資源事業の収益構造強化
商社はかつて「資源頼み」でしたが、今では「資源の瞬発力+非資源の安定力」を組み合わせたハイブリッド型ビジネスへと変貌しています。
資源事業は、世界情勢による価格変動が起こりやすく、不安定であることが課題です。例えば、2015年の中国経済低迷による原油や鉄鉱石の下落や、2023年以降のウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰などがありました。資源事業への依存による損失を出さないために、近年では非資源への経営資源シフトが加速しています。
以下のグラフは、各社の有価証券報告書から5大商社の資源・非資源分野の割合を算出したものです。

【参考】各社の2023年度有価証券報告書より事業セグメント別収益比を算出
伊藤忠商事は、2010年度に約42%だった非資源分野を、2023年度には約75%まで成長させました。商社の多くが非資源利益比率を伸ばすことを中長期目標に掲げており、コンビニ・食品・医療・ITインフラなどへの投資拡大や、デジタル領域やスタートアップ投資を行っています。
とはいえ、資源分野は世界的な景気回復や需給バランスの変化によって、大きな利益を生み出す可能性を持つ分野でもあります。今後の商社業界にとっては、資源と非資源の両分野をバランス良く組み合わせて、安定した収益基盤を築くことが重要になるでしょう。
②M&Aの推進
商社業界ではM&A(企業の合併・買収)が増加しています。商社がM&Aを行う目的には、主に事業拡大、バリューチェーンの強化、そして事業運営への参入が挙げられます。
1. 事業拡大を目指すM&A
商社は自社で製品を作らないため、他の会社と組んで事業を広げようとすることが多いです。たとえば、大手商社に参加したり、小規模な商社同士や異業種と協力することで、新しい市場に進出しようとします。
2. バリューチェーンの強化を目的としたM&A
商社は、商品ができるまでの流れ(サプライチェーン)を強化するために、原材料の調達から製品の販売までを一貫して手がける企業との提携を進めています。これにより、より効率的に事業を運営できるようになります。
3. 事業運営への参入を目的としたM&A
商社は、買収した企業の運営を直接行うことも増えています。例えば、伊藤忠商事がファミリーマートを買収したり、三菱商事とKDDIがローソンに50%ずつ出資し、共同経営しています。こうした事業運営への参入によって、業績改善やリスクの分散を狙うことが可能です。
このように、商社はM&Aを使って、新しいビジネスのチャンスを広げ、成長を目指しています。
③ECサイトの成長による商社の取引機会の減少
Amazonや楽天などのESサイトの普及によって、業界におけるトレーディング業務の需要が減少しています。
従来、商社は製品の仕入れから販売、物流までを一貫して担当し、仲介者としての役割を果たしていました。しかし、ECサイトの拡大により、消費者や企業は直接オンラインで製品を購入できるようになり、商社が従来担っていたトレーディング業務の一部が削減されつつあります。
特に、消費者向け商品や小規模な商材については、ECプラットフォームを通じて直接取引が行われるため、商社が仲介する機会が減少しています。この流れは、特に低価格帯の商品や取引規模の小さい商品で顕著です。商社が従来提供していた市場調査、物流手配、信頼性の保証といったサービスの重要性が相対的に低下し、企業間での直接取引が進んでいます。
一方で、商社は依然として高額な商品や複雑な取引、海外市場での取り引きにおいて重要な役割を果たしていますが、ECサイトの普及が進むことで、商社のトレーディング業務の需要が一部減少しているのは確かです。商社は、これに対応するために新たな付加価値サービス(例:デジタルトランスフォーメーション、データ解析、特殊商品取引など)を提供する方向へとシフトしていく必要があります。
商社の今後
商社の今後の動向として重要なトピックは、以下の通りです。
▼商社のこれからの動向
①エネルギー転換(脱炭素)への対応
②デジタルシフトへの対応
③地政学リスクとサプライチェーン再編
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
①エネルギー転換(脱炭素)への対応
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。このエネルギー転換への対応には、「ESG投資」が大きく関わっています。ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つを考慮した持続可能性の高い分野に投資を行う手法のことです。社会が抱える問題に対処するビジネスを行うことは、中長期的なリターンに繋がるという考えがもとになっています。
脱炭素化もESG投資の対象のひとつであり、いかに「石炭・石油」偏重のビジネスモデルから転換できるかが、商社の今後において重要になってきています。
一方で、現トランプ政権による短期的なリターンを優先する反ESG政策も、現在注視すべき流れになっています。アメリカの公有地に眠る石炭・ガス開発を促進する「ドリル・ベイビー・ドリル」政策に聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。この影響で、2021年に過去最高の約10兆円の資金流入となったESGファンド市場が、2024年には流入よりも流出が3兆円を上回りました。
こうした「ESG離れ」が進む中で、各商社が今まで掲げていたカーボンニュートラルへの対応にも影響があるかもしれません。動向を追っていく必要があるでしょう。
②デジタルシフトへの対応
近年、商社業界ではデジタルシフトが急速に進んでおり、従来の仲介型ビジネスから、データやテクノロジーを活用した高付加価値なサービス提供へと進化しています。特に、取引や物流の効率化、予測分析などにデジタル技術が用いられています。
以下は、5大商社の各社が取り組むDX化についてまとめたものです。
三菱商事:
小売分野での在庫最適化や食品ロス削減のため、AIを活用した食品需要予測を実用化
三井物産:
船舶運行最適化、医療データプラットフォームの開発、森林DXなど広範囲におけるDX化を推進
住友商事:
IT子会社と連携した基幹業務システムの刷新やスマートシティ事業に注力
伊藤忠商事:
独自の生成AIを同僚化する「I-Colleague」など、生産性向上と業務高度化のためのDX化を実施
丸紅:
開発に特化したDigital Experts社を設立し、商社内で外注せずに社内や既存領域のDX化を推進
こうしたDX化を推進するなかで、商社業界におけるデジタル人材の需要も高まっています。例えば三井物産では、2025年度にDXの知識を持ち業務に活用した実績のある人材を現在の約4倍である1000人まで増やすという計画を出しています。
新卒の就活においても、デジタル分野に強みを持つ学生は重宝されるでしょう。
【参考】三菱商事『三菱商事が目指すDX』
【参考】三井物産『三井物産のDX』
【参考】伊藤忠商事『伊藤忠のDX』
③地政学リスクとサプライチェーン再編
これまで商社は「チャイナ・プラス・ワン」戦略を通じて、中国に依存した生産や調達体制を分散させてきました。中国は長年「世界の工場」として機能してきましたが、近年は人件費の高騰や地政学リスクの高まりから、ベトナム、タイ、インドなどの新興国にも生産拠点を展開し、リスクを分散する動きが強まっていました。伊藤忠商事や三菱商事などの大手商社も、こうした地域に物流・製造・インフラなどのネットワークを構築し、サプライチェーンの多様化を進めています。
そこに追い打ちをかけるように、2025年、アメリカが中国からの輸入品に対して関税を引き上げたことで、米中貿易摩擦が再燃しました。これにより、中国経由の製品の価格競争力が下がることが予想されます。
一方で、カンボジアやベトナム、タイなどの東南アジア諸国に対しても関税の大幅な引き上げが実施されました。これにより、今後商社はサプライチェーンの再設計や、危機対応チームの強化が求められるでしょう。
商社で働くメリット・やりがい5選
続いては、商社で働くメリット・やりがいを5つご紹介します。
▼商社で働くメリット・やりがい5選
①人と関わる機会が多い
②若手から活躍できる
③グローバルな部隊で働ける
④大規模な取引に携われるチャンスが多い
⑤多彩なスキルが身につく
以下で詳しく解説していきます。
①人と関わる機会が多い
商社の仕事は、多くの人と関わる機会があるので、コミュニケーション力も身に付きます。企業同士の仲介役として人と人とを結び付けることに、大きなやりがいを感じるでしょう。
2つの企業の間に入ることで、双方が利益を得られるという点は、商社ならではのおもしろさですよね。
②若手から活躍できる
若い頃から、裁量権の大きなプロジェクトを任せてもらえることができるのは商社の仕事の特徴の1つです。
総合商社は、数多くの事業を持っているため、若くして海外に行けるチャンスもあります。そのため、チャレンジできる環境で働きたいと考えている人はおすすめです。
③グローバルな舞台で働ける
商社は海外の取引先が多いため、海外赴任や海外駐在のチャンスが多くあることも商社で働くメリットの1つです。
海外で働くときは、現地の外国人だけではなく、他の国から同じ立場で派遣されてきた社員の方と顔を合わせることもあります。海外の舞台で活躍する競合他社との関わりがあり、国内問わず人脈が広がる可能性があるのは、商社ならではの魅力ですね。
④大規模な取引に携われるチャンスが多い
商社への就職で大きな取引に携わることができるチャンスが生まれます。
大規模な事業に関わり、日本の産業や暮らしに貢献でき、それを自分の目で見る機会があることは、商社で働く上で大きなやりがいとなるでしょう。その分責任も大きくなりますが、成し遂げた時には達成感や手ごたえを感じられるでしょう。
⑤多彩なスキルが身につく
商社で働く人は様々な業務をこなしています。お客様とのコミュニケーションや商談時のプレゼン、企画提案のためのアイデア発案等、様々な能力が必要となります。
商社企業で働いていく中でこのようなスキルが必然的に身につくでしょう。
商社でのやりがいを知りたい人へ
商社で働くやりがいを知り、働く自分の姿を明確にしてみませんか?実際に商社で働いている社会人の先輩に話を聞くことで、会社説明会や座談会では知ることのできなかったよりリアルな情報を知ることができます。そして、OB・OG訪問でぜひ活用していただきたいのがMatcher(マッチャー)です。
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【登録社会人の所属企業一覧(一部抜粋)】
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、双日、丸紅、豊田通商、伊藤忠丸紅鉄鋼、三井物産エアロスペース、三井物産ケミカル、日鉄住金物産など
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商社業界が就活生に人気な4つの理由
商社業界は、毎年多くの就活生からの人気を集めています。「なんとなくキラキラしている」「海外勤務ができる」など、なんとなくイメージしている学生も多いのではないでしょうか。
なぜ商社業界はこんなにも人気なのでしょうか。ここでは、以下の4つの理由を紹介します。
▼商社業界が人気な理由
①給料
②ネームバリュー
③安定性
④海外勤務
それぞれ詳しくみていきましょう。
①給料
「給料が高い」というのが、就活生の人気を集める大きな理由でしょう。
上記「商社の平均年収ランキング」で紹介したとおり、総合商社では年収が1000万円を越えることは珍しくありません。
2022年度の有価証券報告書によると、三菱商事の年間平均給与は約1939万円です。日本人の平均年収が458万円であるため、総合商社の給料は非常に高いと言えます。
②ネームバリュー
「ネームバリューがある」というのも人気の理由の1つでしょう。
実際に、毎年多くの就活生が志望する企業に入ることができたら、多くの人に賞賛を受けるかもしれません。そのため「商社マン=優秀」というイメージを持って、商社業界を志望する人も多いです。
③安定性
「事業・待遇の面で安定性がある」ことも、多くの就活生が望むものです。
「カップラーメンからロケットまで」という有名なキャッチコピーにもある通り、総合商社は多くの事業を抱えています。長い歴史の中で培ってきたノウハウを活かした事業投資も活発です。
また、勤続年数が長くなるにつれて給料を始め待遇面も次第に良くなります。そのため「商社=安定」という印象を持って入社する人も少なくないでしょう。
④海外勤務
「海外勤務ができる」という理由で商社を志望する人もいるでしょう。
商社は、海外拠点や資本提携をしている関係会社が多くあり、海外へ出向する人も多いです。そのため、他の業界と比べても海外勤務ができる可能性が高いと言えます。
商社に必要なスキル
商社の選考を受ける前に、企業がどのような人材を求めているのかを知っておくことが重要です。商社で働く際に求められるスキルについて3つ紹介していきます。
▼商社に必要なスキル
①体力・精神力
②語学力
③コミュニケーションスキル
以下で詳しく解説していきます。
①体力・精神力
特に商社の営業職で求められることは体力があるかどうかです。
多くの取引先を訪問をして、断られたり、クレームをつけられたりすることもあります。
営業先に足を運ぶ体力と落ち込まない精神力が必要です。
②語学力
総合商社は海外で働く機会が多いため、語学力や海外への理解は必要です。英語力を鍛えておいた方が、活躍できる幅が広がるでしょう。英語力を証明するために、TOEICなどの資格を取ることもおすすめです。
スコアを持っている人は、選考時に積極的にアピールしてみましょう。
③コミュニケーションスキル
どの業界でも必要になるコミュニケーションスキルですが、商社には原則マニュアルのようなものはありません。
商社は特に取り扱っている商材が多いため、取引先に合わせて独自の営業スタイルで勝負することが求められます。そのため、臨機応変に対応できる力やコミュニケーションスキルが大切です。
いかがでしたでしょうか。
選考では、上記で挙げた3つのスキルに合わせて自己PRを考えてみると、面接官は好印象を持つでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
商社内定に必要!商社勤務の社会人に話を聞こう
商社の選考では、「弊社社員の中で印象に残っている人はいますか?」「弊社社員と話をしてみて、どのようなことを理解できましたか?」などの質問がされることがあります。しかし、商社の社会人にアクセスできるつてがないと、その質問に回答するのは厳しいです。商社で働く社会人に話を聞きたくても、OB・OG訪問先を探すことそのものに苦労している人は少なくないでしょう。
そんなときは、オンライン上のOB・OG訪問サービスMatcherを活用してみてはいかがでしょうか?
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所属大学や住んでいる地域に関係なくOB・OG訪問ができるアプリです。
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そういった人は、ぜひMatcherを活用してみてください。
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【社会人の所属企業一覧(一部)】
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、双日、丸紅、豊田通商、伊藤忠丸紅鉄鋼、三井物産エアロスペース、三井物産ケミカル、日鉄住金物産など
【利用者の声(一部)】
本日は、〇〇商事のES対策を行っていただきました。〇〇さんご自身の就活経験から、志望動機で指摘されるであろう点を挙げてくださいました。また、〇〇商事のリアルな仕事内容と、競合他社との社風の違いを知ることができた、とっても濃い1時間でした。
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商社の事業内容を知ることができたら
商社とは何なのか、商社の事業内容や、さまざまなランキングを用いて説明してきました。漠然とした商社のイメージがクリアになっていたら幸いです。
ただなんとなくのイメージで商社を目指すのでは、商社の厳しい選考を突破することはできません。事業についての理解を深め、商社で何をしたいのかクリアにイメージできるようにしておきましょう。