【学習塾業界】「終わり」って本当?3分でわかる塾業界の動向

2023/07/18
業界の仕事内容
教育業界
目次
1.
多くの受験生が通う、学習塾
2.
「終わり」って本当?学習塾分野の現状
3.
‌学習塾業界の今後の動向
4.
学習塾分野に属する4つのタイプ
5.
学習塾分野の職種
6.
教育業界についてより理解を深めたい方へ
7.
‌さいごに

多くの受験生が通う、学習塾

教育業界の中で、まず学習塾の存在を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
直に生徒と関わり、勉強の側面から生徒の人生にアプローチすることのできる学習塾
‌今回は、そんな学習塾分野を深掘りしていきます。

‌教育業界に関心のある就活生は、ぜひ読んで、業界研究にお役立てください。

「終わり」って本当?学習塾分野の現状

まず、学習塾が置かれている現状は以下の通りです。

‌・過去5年で売り上げと受講生の数は増えている
・大企業が売り上げの大半を占めている
塾業界の市場と企業別売り上げランキングについて、‌詳しく見ていきましょう。
教育業界全体の現状と今後の動向については、以下の記事をご覧ください。

塾業界の市場について

‌以下のグラフは2018年から2022年の学習塾業界の売上高と受講生の数を表しています。
学習塾の売上高、受講生数の推移
塾業界の売り上げは過去5年で1000億円以上伸びていて、2022年の売上高は5549億円でした。
特に2021は前年比の売上高が最も伸びており、9.1%の伸び率でした。
次に、受講生数です。
受講生数は過去5年で150万人以上増えており、2022年の受講生数は1467万人でした。
売上高と同じく2020年から2021年にかけて大きく受講生数が増えており、前年比で9.5%の伸び率でした。
これらのデータから、塾業界では売り上げとユーザーのどちらも伸びており、業績そのものは好調だと言えます。

塾業界企業別売り上げランキング

以下の表は、教育業界の中で塾を経営する企業の売り上げランキングです。
教育業界 売上トップ5(2021-2022年)
1位のベネッセホールディングスは「東京個別指導学院」や「お茶の水ゼミナール」を経営しています。
4位のナガセは「東進ハイスクール」や「四谷大塚」の運営会社です。
1、2位の企業が売り上げの大部分を占め、中小企業は厳しい状況です。

続いて紹介する「学習塾業界の今後の動向」では、塾業界の企業が売り上げを伸ばすため導入している施策について紹介しているので、あわせてご覧ください。

‌学習塾業界の今後の動向

‌これまでお伝えしたように、塾業界の売り上げは継続的に伸びています。
しかし、教育業界は少子化の影響を大きく受けるため、学習塾分野の将来性に関してはネガティブな意見が少なくありません。
一方で、少子化により個別指導教育が増加していることや、親が子ども一人当たりにかける費用は増加しているなど、学習塾分野の将来性や今後の動向に関しては、決して暗い話ばかりではないようです。

‌その中でも、特に大きな流れをご紹介します。
少子化対策を行う塾業界のイメージ

少子化対策

売り上げを伸ばしている塾業界ですが、懸念点としてあげられるのは少子化の影響です。
少子化によって塾を利用する受講生の数が減ると、業界全体の売り上げが大きく下がります
少子化に対する打ち手として大企業が行っているのは、M&A「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」です。

ベネッセが東京個別指導学院を買収したり、Z会を擁する増進会出版社が栄光ゼミナールを買収するなど、教育業界内は買収や業務提携といった業界再編の動きが著しく、各社が先細り打開のために策を練っています。

今後、このようなM&Aなどの動きは増加していくことが考えられるため、気になる学習塾がある就活生は、こまめに業界のニュースや動向をチェックしておくと良いでしょう。

ICT教育の推進

文部科学省の定める「教育の情報化ビジョン」(平成23年)に基づいて、学習塾分野ではタブレット端末の導入が進んでいます。
‌学習塾もこの例に漏れません。

‌例えば河合塾グループに属する「株式会社河合塾マナビス」では、企業オリジナルの映像授業を塾で視聴できるサービスを提供しています。
矢野経済研究所の調査によると、2020年度の個人、法人向け国内eラーニング売り上げ高は、前年に比べて563億円増えています
2021年度についても、国内eラーニングの市場規模は前年度比13.4%増の3309億円の見込みです。

‌学習塾分野にかぎらず、教育業界は文部科学省の方針に大きな影響を受ける性質があります。
教育業界全体のコンテンツのデジタル化は、今後ますます進むでしょう

‌オンライン学習に特化した企業の職種などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

学習塾分野に属する4つのタイプ

学習塾は大きく分けて以下の4つのタイプがあります。
学習塾分野に属する4つのタイプ
受験対策指導を行うのは「進学塾」、学校の授業内容のフォローを行うのが「補習塾」、その両方を行うのは「総合塾」です。
専門塾」は目的、学びたい科目に特化した指導を行う学習塾を指しています。

さらに、それぞれのタイプを複数の生徒に向けて1人の講師が授業を行う「集団指導」と、少数の生徒に1人の講師がつく「個別指導」に分けることができ、いずれも就学年齢の子どもを対象としていることが特徴です。

学習塾分野の職種

学習塾内の仕事は、生徒に向けて行う授業をはじめ、授業準備、書類の作成、校舎の予算管理、生徒確保のための営業活動、保護者対応など多岐にわたります。
‌また、業務内容や職種は企業の規模によって様々です。

‌それでは、学習塾の代表的な職種を見ていきましょう。

講師

教育現場の最前線に立つのが学習塾の講師の仕事です。
‌授業を通して生徒の学力を伸ばすだけでなく、生徒のマネジメントや保護者との応対、校舎運営なども仕事内容に含まれます

‌いずれにしても、自分の専門知識を活かして、直に人と関わりながら働くことができる点が大きな特徴です。

営業

学習塾の規模や事業内容によって営業先は高校、大学、民間企業と様々。
‌しかしどのような顧客を対象にする場合でも、ニーズを把握し、自社の適切な教育サービスの導入を提案することが求められます

‌学習塾の規模によっては、営業先は国内のみならずインドネシアやマレーシアなどといった東南アジア地域のように、海外も対象になることがあります。

‌そのため、ヒアリングスキル(相手の要望を的確に把握し、聞き出す力)や柔軟な対応力はもちろん、企業によっては語学力も重要な素質となるでしょう。

教材開発

教材や模試、映像といった教育コンテンツや、ITによる学習支援システム・データベースの開発・運用などを担うのが開発の仕事です。

‌ITによる学習システムの開発には、エンジニアが携わります。
‌エンジニアは、ITの教育コンテンツを開発するだけでなく、ホームページの企画や制作を行う場合もあります。

マーケティング

学習塾が発行している進学情報誌や、パンフレット等の広報宣伝物の企画と制作を担当するのがマーケティング職です。

‌広告を展開する媒体の目的に合わせて、戦略の立案、媒体の選定、制作などを行います。

企業の認知を高め顧客を確保するという、大きな責任を担っている職種であり、企業の「顔」を作る非常にクリエイティブな仕事であると言えるでしょう。
塾業界のマーケティング職の画像

経営企画

人事や総務などのコーポレートスタッフ(企業全体の基盤を作り、舵取り役として機能するスタッフ)の仕事がこれにあたります。

‌学習塾全体の経営の効率化を進めるだけでなく、フランチャイズ加盟校舎の増加など経営拡大に向けた業務も行うため、大枠で物事を考える力や先を読む力が重要な素養となりそうです。

事務

生徒や教職員が働きやすい環境を整えることが事務職の仕事です。

‌清掃や書類作成、郵送、データ入力、お問い合わせの応対、情報の管理など業務内容は多岐にわたり、事務職はまさに校舎運営に欠かせない存在であると言えます。‌

教育業界についてより理解を深めたい方へ

企業それぞれの事業内容の詳細を知るためにはどうすれば良いのか。
‌おすすめなのは、実際にその企業に勤めている社会人に話を聞きに行くことです。

‌社会人の話を聞きに行くにあたっておすすめなのが、Matcher(マッチャー)
‌‌Matcherは、所属大学や学年に関係なく、気になる企業の社会人に話を聞きに行くことのできる就活サービスです。
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【社会人の所属企業(一部)】
‌ベネッセコーポレーション、学研ホールディングス、三幸グループなど

‌興味のある企業に勤める社会人から営業の仕事やその醍醐味を聞くことは、自分のキャリアを考える上で大きな糧となるはず。
‌ぜひ話を聞きに行き、みなさんの就活の糧にしてください。
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さいごに

教育業界における学習塾分野の仕事や、今後の動向について説明してきました。
‌学習塾分野への理解が深まっていれば幸いです。

‌ひとくちに「教育に携わる」といっても、その方法は様々。
自分が理想とする教育への携わり方がどの分野でできるのか、ぜひ一度考えて見てください。

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