【業界研究】鉄鋼専門商社とは?|大手5社を徹底比較

2026/01/26
インフラ業界
鉄鋼業界
商社
目次
1.
鉄鋼専門商社とは?
2.
鉄鋼業界で商社が果たす役割
3.
商社の鉄鋼分野における仕事内容
4.
鉄鋼を扱う商社の種類
5.
‌鉄鋼専門商社の主要企業5選
6.
鉄鋼専門商社の将来性
7.
鉄鋼専門商社の課題
8.
鉄鋼業界についてさらに理解を深めたい方へ
9.
‌鉄鋼業界への感動動機をどう伝えるか?

鉄鋼専門商社とは?

鉄鋼専門商社のイメージ鉄鋼専門商社とは、鉄鋼製品の販売や輸出入を専門に行う商社です。

鉄鋼製品には、鉄板、鉄筋、鋼管などあり、鉄鋼専門商社はこれらの製品を鉄鋼メーカーから仕入れ、建設会社や製造会社などの需要家に販売しています。

また、鉄鋼専門商社は、鉄鋼製品の輸出入にも通っており、日本から海外への鉄鋼製品の輸出や、海外から日本への鉄鋼製品の輸入を行っています。

鉄鋼業界で商社が果たす役割

早速鉄鋼業界の中で商社が行っている役割を見ていきましょう。ここでは、商社の一般的な役割と、鉄鋼業界ならではの役割に分けて伝えます。
▼鉄鋼業界で商社が果たす役割
・売り手と買い手の仲介
・鉄鋼製品の加工
・資源採掘事業への投資

‌売り手と買い手の仲介

トレーディングとは、国内外にいる売り手と買い手の仲介を行い、取引を円滑に進めることです。
‌鉄鋼分野であれば、国内外のメーカーが製造した鉄鋼製品を自動車メーカーや建材加工会社など、様々な業界の会社に向けて販売します。
‌また、金融面でのリスク管理やメーカーへの情報提供を担うなど、鉄鋼業界の取引の広い範囲をサポートすることで利益を上げています。

鉄鋼製品の加工

近年鉄鋼メーカーと顧客が直接やりとりを行うようになり、単に流通機能を担うだけでは商社の存在意義を示せなくなりました。
そこで商社が手がけるようになったのが、鉄鋼の加工事業です。鉄鋼製品に加工を行い、付加価値をつけることで、商社の独自の役割を果たすようになりました。

資源採掘事業への投資

商社は、鉄鋼の素材になる鉄鉱石や石炭の採掘事業に投資しています。
‌これは、商社のクライアントである鉄鋼メーカーに資源を安定供給するためです。強みである資本力を生かし、鉄鋼メーカーの生産をサポートしています。

商社の鉄鋼分野における仕事内容

鉄鋼専門商社の業務のイメージ
鉄鋼商社の種類や各種商社が果たしている役割についてご理解いただけましたでしょうか?
鉄鋼商社での業務に関心を持ち始めた人もいるかもしれません。
‌商社マンと聞くと世界を舞台に華々しく活躍するイメージをお持ちの方も多いはず。‌世界的な市場がある鉄鋼ならなおさらです。
しかし、上でも述べたように商社が果たしている役割は多種多様です。

持っている機能を簡単に分類しただけでも、物流や販売をサポートする流通機能やメーカーのリスクを低減する金融機能。さらに、顧客が効率的な経営を実現するための情報提供を行う情報機能など多数挙げられます。
‌業務についても取引先との交渉などが挙げられますが、具体的にはどのようなことをしているのか。また、情報機能を果たすための情報収集はどのように行うのか。細かい業務については、WEBで探してもわからないことばかりです。
実際に発生している業務については、商社で働く社員に直接聞くことが非常に効果的です。興味に応じてOB・OG訪問を積極的に行い、詳細な事柄について質問することをおすすめします。
‌「身近に鉄鋼専門商社に勤務しているOB・OGがいない」とお悩みの方もいるかもしれません。

そんな時におすすめなのが、OB・OG訪問のマッチングサービス、Matcher(マッチャー)です。
‌Matcherでは、所属大学や学年に関係なく、社会人の方にお話を聞きに行くことができます。
‌内定者の方にもご登録いただいているため、選考対策のサポートにも利用することも可能です。

鉄鋼業界に行く社会人に会いに行くために
【‌社会人の所属企業一覧(一部)】
伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン、JFEスチール株式会社、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、阪和興業株式会社、中央官庁、他多数

鉄鋼を扱う商社の種類

鉄鋼を扱う商社にも様々な属性が存在します。以下では、鉄鋼を扱う商社を5種類に分類しました。
鉄鋼専門商社のイメージ▼鉄鋼を扱う商社の種類
‌・総合商社
‌・総合商社系専門商社
‌・独立系専門商社
‌・メーカー系専門商社
‌・二次問屋

‌総合商社

1つは総合商社。総合商社とは、あらゆる製品やサービスでトレーディングを手がける企業です。総合商社の中には、鉄鋼を扱っている会社があります。
‌しかし、多くの総合商社は鉄鋼部門を切り離し、別会社を設立している場合が少なくありません。現在、本体に鉄鋼部門を有している総合商社は三井物産、住友商事、豊田通商の3社。住友商事は一部事業を残す形で切り離しを進めています。
また、上述した資源採掘事業への投資を行うのも総合商社。資源採掘事業への投資は、上で言及した3社だけでなく、三菱商事や伊藤忠商事も手がけています。
‌総合商社は鉄鋼だけを扱っているわけではないので、入社した際に必ずしも鉄鋼分野に携われるわけではありません。配属のリスクを踏まえた上で、企業選びをするようにしましょう。

総合商社の例

三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日、豊田通商

総合商社系専門商社

総合商社系専門商社とは、総合商社の鉄鋼部門を母体として設立された鉄鋼の専門商社を指します。総合商社の鉄鋼事業部同士が合併している場合が多く、三菱商事と双日が設立したメタルワン、伊藤忠商事と丸紅が設立した伊藤忠丸紅鉄鋼がこれにあたります。

住友商事も規模の大きい鋼管事業を残して、子会社の住商グローバルメタルズに鉄鋼事業を移管する予定です。

‌総合商社系専門商社の特徴は、母体となっている総合商社から引き継いだ幅広いネットワーク。海外展開を積極的に行っており、伊藤忠丸紅鉄鋼では海外における売上が全体の約70%を占めます。

また社員の約30%が駐在員か研修生として、海外で働いており、若手は全員が海外で研修を行うなど、世界を舞台として働ける環境があるのが特徴です。

‌総合商社系専門商社の例

メタルワン、伊藤忠丸紅鉄鋼、住商グローバルメタルズ

独立系専門商社

独立系専門社とは総合商社を母体としない商社を向き、独自のネットワークと社風を持っています。 独立系専門社は、総合商社系専門商社とは異なり、国内事業の売上が大きいのが特徴です。

上記の通り、総合商社系の専門会社の中には売上の約70%が海外で上げられている企業もありますが、代表的な独立系専門会社である阪和興業は国内事業の収益が、全体の75%を占めております。

独立系専門商社の例

阪和興業、岡谷鋼機

メーカー系専門商社

メーカー系専門商社は鉄鋼メーカーを母体とした専門商社です。 基本的には母体となっている鉄鋼メーカーの製品を扱いますが、場合によっては競合の製品を取り扱う場合もあります。

流通、金融、情報提供会社といった商社の基本的な事業を展開しているほか、鉄鋼の専門商社が通常行わない資源採掘事業への投資も行っているのが特徴です。母体のメーカーと連携しながら資源の安定供給を助けています。

メーカー系専門商社の例

鉄住金物産(日本製鐵系)、JFE商事(JFEスチール)

二次問屋

口の顧客に対すし製品を直接提供するのが、鉄鋼メーカーの特約店などの二次問屋の役割です。 ここまで説明してきた総合商社や専門商社は一次問屋と呼ばれ、鉄鋼メーカーから鉄鋼製品を直接仕入れて市場に流通させます

一次商社の取引先は各種大手メーカーなどの大口の需要家で、鉄鋼製品の仕様も需要家の意向が汲まれたものが少なくありません。

それに対して二次問屋は商社など一次問屋から仕入れを行い、より小口の必要家に対して製品を販売します。加工会社が商社機能を持ち、二次問屋としての役割を果たしている場合もあります

‌鉄鋼専門商社の主要企業5選

日本には、多くの鉄鋼専門商社が存在しています。
代表的な鉄鋼専門商社として

・ 伊藤忠丸紅鉄鋼
・阪和興業
・メタルワン
・日鉄物産
・JFE商事

の5社あります。

ここからはそれぞれの特徴について解説していきます。

働き方比較

主要5社の働き方を比較した表を作成しましたので参考にしてください。

鉄鋼専門商社主要企業5社の特徴比較表

①伊藤忠丸紅鉄鋼

売上高:2兆3057億円
営業利益:897億
親会社: 伊藤忠商事・丸紅

伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社(いとうちゅうまるべにてっこう)は、鉄鋼製品の輸出入、販売、加工等を行う総合商社です。
 2001年10月1日、総合商社の伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼製品部門が分社、統合して設立されました。

伊藤忠丸紅鉄鋼は、鉄鋼の専門商社ではなく、総合商社の鉄鋼部門という考え方から、鉄鋼総合商社という呼び方をする場合もあります。

総合商社の組織力や顧客基盤を考慮し、52カ国88拠点からグローバルに事業を展開しています。

【参考】東洋経済新報社『就職四季報』

②阪和興業

売上高:2兆5545億円
営業利益:615億
親会社:なし

阪和興業株式会社(はんわこうぎょう)は、大阪府大阪市中央区に本社を構える独立系の大手商社です。

鉄鋼事業の他に、非鉄・金属原料、食品、石油・化成品、木材、機械事業など幅広い事業を行っております。

特定のグループや企業に属さない「独立系」の専門商社であるため、独自性のある経営ができることが特徴です。


企業のイメージ

③メタルワン

売上高: 2兆1,894億円
営業利益:458億
親会社:三菱商事、双日

メタルワンは、三菱商事と双日の共通の居場所によって設立された専門商社です。

第一営業本部、第二営業本部、第三営業本部、線材特殊鋼・ステンレス本部という4つの営業部署を設置しており、自動車や船舶、インフラ業などに向けた鉄鋼製品を取り扱う営業力が強みです。

伊藤忠丸紅鉄鋼と同様に、親会社の三菱商事、双日との結びつきが強く、安定感のある経営を実現しています。

【参考】メタルワン
‌【参考】東洋経済新報社『就職四季報』

④日鉄物産
売上高: 2兆1342億円
営業利益:476億
親会社:日本製鉄

日鉄物産は、「鉄鋼」「産機・インフラ」「食糧」「繊維」の4つの事業を行っています。

日鉄物産は専門商社ではなく「複合専業商社」です。

複合専業商社とは「異なる事業を複合的に、それぞれ専業として業界内で確固たる地位を築いて商売(トレード)を行い、時に有機的に交わり新たな価値、ビジネスを生み出す」商社のあり方です。(日鉄物産公式HPより一部抜粋)

「鉄鋼」「産機・インフラ」「食糧」「繊維」それぞれの事業それぞれに長い歴史を持ち、業界内でトップの評価を受けています。

【参考】東洋経済新報社『就職四季報』

⑤JFE商事

売上高: 1兆4385億円
営業利益:479億
親会社:JFEHD

JFE商事は「鉄鋼」「食品事業」「半導体事業」「ファクトリーオートメーション」事業を行っている、JFEグループの企業です。

原材料の供給から、鉄鋼製品の加工・販売・流通までを一気通貫で実行できることが強みといえます。

鉄鋼専門商社の将来性

性のイメージ将来
鉄鋼専門商社の将来性はやや明るいと考えられています。

その理由は、世界的な鉄鋼需要の増加です。

世界鉄鋼協会によれば、2024年の世界の鉄鋼需要量は17.5億トン、2025年は17.7億トンと予想されており、長期的には鉄鋼需要は拡大中だと考えられます。

中国やインドなどの新興国の経済成長によって、インフラや住宅などの建設需要が増大したためです。

国際競争に勝ち抜くことができれば、鉄鋼専門商社の将来性は明るいと考えられるでしょう。

鉄鋼専門商社の課題

一方で、鉄鋼専門商社には様々な課題も存在します。
‌ここからは特に重要度の高い課題を3点紹介します。

課題のイメージ
▼鉄鋼専門商社の課題
①原料価格の高騰
②環境規制の強化
③中国の鉄鋼産業の台頭

‌①原料価格の高騰

原料価格の高騰により、資源の調達費用が増加してます。

高騰した材料費を価格に転嫁させることも可能ですが、国際的な価格競争が行われている中で値上がりした費用をすべて回収することは難しい状況です。

原料価格の高騰は、鉄鋼専門商社の経営環境に影響を与えるでしょう。

②環境規制の強化

鉄鋼業は昨今厳しい環境規制にさらされています。

環境規制に適合できない鉄鋼専門商社は市場からは淘汰されてしまうでしょう。

かし、環境規制に適合するためには、鉄鋼メーカーは設備投資や人件費などのコストを増やす必要があります。

一方で、環境規制の強化は、鉄鋼専門商社にとって大きな課題ですが、これらの課題を克服することで、鉄鋼専門商社は環境に配慮した企業として成長することができます。

環境規制に対してどのように向き合っていくかが、鉄鋼専門商社の成長性の鍵といえるかもしれません。

③中国の鉄鋼産業の台頭

中国の鉄鋼メーカーは、安価な原料と労働力により、世界で最も安価な鉄鋼を大量生産し、シェアを拡大​​しています。

日本は、中国と競合し、シェアを少しずつ失っています。

価格以外の面での付加価値を出すために、国内の鉄鋼専門商社は、中国メーカーには無い付加価値を付ける必要があるでしょう。
以上の課題を解決するために以下の3つの実施が必要だと考えられます。
▼付加価値を出すために行うべきこと
・原料価格の変動リスクを軽減するためのリスクヘッジ
・環境規制に対応した製品の開発
・中国の鉄鋼メーカーとの差別化戦略の構築

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伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン、JFEスチール株式会社、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、阪和興業株式会社、中央官庁、他多数

‌鉄鋼業界への感動動機をどう伝えるか?

ここまで鉄鋼商社の役割やその種類について解説してきました。 鉄鋼を扱う様々な商社が流通の過程で多様な役割を当面をご理解いただければと思います
‌次回記事では鉄鋼業界各社の中から入社する会社をどう選ぶか。そのポイントについて解説します。志望動機を練るためのコツも紹介しているので、ぜひ読んでみてください。


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