【業界研究】独立行政法人とは?公務員との違いや特徴を徹底解説

2023/11/13
独立行政法人
官公庁
目次
1.
国を支える、独立行政法人
2.
そもそも独立行政法人とは?
3.
‌独立行政法人と公務員の違い
4.
‌独立行政法人の種類
5.
独立行政法人の代表法人一覧
6.
独立行政法人に就職するには?
7.
独立行政法人の職員になるための試験とは
8.
‌Matcherでもっと深く独立行政法人を知ろう

国を支える、独立行政法人

みなさんは「独立行政法人」という言葉を聞いたとき、何をイメージしますでしょうか?

具体的な法人の名前や、業務内容をイメージできない人は少なくないでしょう。しかし、国際協力に関する事業に取り組むJICAや宇宙開発事業に取り組むJAXAは、独立行政法人。ニュースなどで耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

‌就活市場でも人気のある独立行政法人は数多く存在します。この記事では、就活生が知っておくべき独立行政法人の概要を紹介します。

民間企業とも公務員とも違う独立行政法人への理解を、ぜひ深めてください。

そもそも独立行政法人とは?

独立行政法人の職員を表す画像
そもそも独立行政法人とは、どのようなものなのでしょうか?
独立行政法人通則法(平成11年法律103号)第2条に、以下のように定義が記されています。

この法律において「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるもの(以下この条において「公共上の事務等」という。)を効果的かつ効率的に行わせるため、中期目標管理法人、国立研究開発法人又は行政執行法人として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。
出典:総務省「独立行政法人
つまり、独立行政法人は以下の2つの要素を含んだ法人ということになります。

①国が直接行っていた公共的な事務・事業の中で、民間に委ねたら実施されない恐れがある事業を国から独立したかたちで行うもの
②各省庁が直接手がけないが、ある程度国の関与が必要とされる事業を独立したかたちで行うもの

さらに簡単に言い換えると、国として直接行うほど大きな事業でもないが、採算性の観点から民間企業が手を付けない公共的な事業を行う法人のことです。

‌独立行政法人と公務員の違い

独立行政法人と公務員の違いとは?
ここでは、独立行政法人と公務員の違いをより詳しく解説します。

互いに、行政サービスの提供や国民生活を支える公的な側面を持つことが共通点です。その一方で異なる点は以下の表の通りです。
独立行政法人と公務員の違い

以下で一つずつ解説します。

業務

独立行政法人:特定の分野に特化した専門的な業務
公務員:業務の幅が広い

独立行政法人は、専門的な業務を担当する組織です。JICA(国際協力機構)であれば、国際交流の推進を行い、JAXA(宇宙航空研究開発機構)であれば宇宙の開発や利用政策を行います。

一方で公務員は、行政機関や地方自治体などで国民の暮らしを支える行政サービスを行います。業務は多岐にわたっており、政策の立案や実施、国民や市民に対するサービスの提供も含まれます。

待遇

独立行政法人:一般的に公務員より柔軟性が高い
公務員:定められた給与体系や福利厚生がある


独立行政法人は、法人ごとに給与や福利厚生が異なりますが、一般的には労働契約法に基づく労働者と同じ扱いです。そのため、雇用形態や待遇に関しては、一般の民間企業に近い形態をとっています。

一方で公務員は、公務員法に基づいた対応を受けることとなります。給与や昇進制度、退職金制度などの待遇が、法律によって定められており、それに沿った待遇を受けます。

キャリア

独立行法人:組織や業務に特化
公務員:キャリアパスが幅広い

独立行政法人のキャリアパスはその組織や職種によって大きく分けられます。一方で公務員は、基本的に公務員試験によって行われます。

‌独立行政法人の種類

独立行政法人を表す画像
独立行政法人とは何かがわかったところで、独立行政法人の種類について見ていきましょう。独立行政法人は、中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人の3種類に分かれます。

中期目標管理法人

中期目標管理法人とは、3~5年ごとの中期目標に基づいて業務を行う独立行政法人を指します。国民向けサービスなどの質の向上を目指した業務を主に行っています。

代表的な中期目標管理法人

国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)、国立病院機構など

国立研究開発法人

国立研究開発法人とは、国が定める中長期的(5~7年)な目標に基づいて業務を行う行政法人を指します。中長期的な視点に立って自主性・自律性を発揮しつつ行うことが求められる科学技術に関する試験、研究又は開発に係るものを主要な業務として行う独立行政法人です。

主務大臣が5 ~7年ごとに策定する中長期目標に基づいて、中長期計画を作成し、主務大臣の認可を得て、公表することが義務付けられています。

代表的な国立研究開発法人

宇宙航空開発研究機構(JAXA)、理化学研究所、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、国立がん研究センターなど

行政執行法人

行政執行法人とは、国が事業年度ごとに定める計画に基づいて業務を行う行政法人を指します。国の行政事務と密接に関連して行われる業務を主に行っています。
主務大臣が年度ごとに策定する年度目標に基づいて、事業計画を作成し、主務大臣の認可を受け、公表することが義務付けられています。また、行政執行法人は数が非常に少なく、8つしかないということも大きな特徴です。

‌さらに特筆すべきポイントが2点あるので、確認しておきましょう。

①特定独立行政法人が2015年4月に名称変更したものが行政執行法人である
②行政執行法人のみ、役員や職員が国家公務員である

この2点です。行政執行法人以外の独立行政法人は公務員ではないので、注意しておきましょう。
参照:e-Gov「平成十一年法律第百三号 独立行政法人通則法」(2018年3月5日参照)

代表的な行政執行法人

国立公文書館、国立印刷局、造幣局など

‌以下記事では、先ほど種類分けした3つの独立行政法人(中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人)について、よりわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

独立行政法人の代表法人一覧

独立行政法人を表す画像
独立行政法人は、合計で87法人あります。

それぞれ内閣府所管、消費者庁所管、総務省所管、外務省所管、財務省所管、文部科学省所管、厚生労働省所管、農林水産省所管、経済産業省所管、国土交通省所管、環境省所管、防衛省所管のものに分けられています。

以下は、それぞれの省庁に属する代表的な法人を示したものです。

内閣府
・国立公文書館

消費者庁
・国民生活センター

総務省
・情報通信研究機構
・統計センター

法務省
・日本司法支援センター

外務省
・国際協力機構
・国際交流基金

財務省
・造幣局
・国立印刷局

文部科学省
・日本原子力研究開発機構
・日本スポーツ振興センター
・宇宙航空研究開発機構

厚生労働省
・福祉医療機構
・国立がん研究センター

農林水産省
・農林水産消費安全技術センター

経済産業省
・製品評価技術基盤機構
・日本貿易振興機構

国土交通省
・住宅金融支援機構
・都市再生機構

環境省
・環境保全機構

防衛省
・駐留軍等労働者労務管理機構


なお、独立行政法人は省庁からは独立した立場ではありますが、業務運営に関しては所轄省庁の大臣が評価・見直しなどを図ることとされています

独立行政法人に就職するには?

独立行政法人に採用されるためには?

「公務員」や公共性・公益性が高い事業を行っている民間企業の職員「みなし公務員」であれば、公務員法が適用され、待遇や規律に従わなければなりません。また、公務員試験や準公務員試験を受けて合格しなければ、採用とはなりません。

しかし、独立行政法人は一般的に、公務員にもみなし公務員にも当たりません。

‌ただし、行政執行法人のみ注意が必要です。行政執行法人のみ、職員が国家公務員であるため、基本的に国家公務員試験を受ける必要があります。そのため、希望する法人が行政執行法人の場合は、別途対策が必要です。

独立行政法人の職員になるための試験とは

独立行政法人の試験を受けている画像

独立行政法人の職員になるためには、準公務員試験を受ける必要があることを説明してきました。ここでは、準公務員試験の具体例をお伝えします。
準公務員試験は、基本的に筆記試験面接試験で構成されています。また、国家公務員試験のように、1度の申し込みで同じ日に一斉に受験をするシステムではありません。

‌志望する法人ごとに申し込み、各法人ごとに異なる試験日程で受験をする仕組みなので、受験する独立行政法人ごとに必ずチェックするようにしましょう。

ここでは、準公務員試験の具体例として文部科学省文教団体職員採用試験国立大学法人等職員採用試験を取り上げます。ぜひ、他にも気になる法人の試験を調べてみてください。

文部科学省文教団体職員採用試験

文部科学省文教団体職員採用試験は、独立行政法人と公益財団法人を含む「文部科学省文教9団体」の一般業務に従事する職員の合同採用試験です。

出願時に1団体に対してのみしか出願が出来ないことが特徴で、法人ごとに受験資格も異なります。
試験内容は一次試験が教養試験と作文試験、二次試験が面接考査等です。
出典:日本学術振興会「平成29年度文部科学省文教団体職員採用試験 試験要項」(2018年3月8日参照)

国立大学法人等職員採用試験

国立大学法人等職員採用試験は、国立大学法人や放送大学学園などの職員を採用するため試験です。第一次試験は全国同一試験日であるため、他地区との併願はできませんが、一次試験合格後に複数の採用先の面接を受けることができることが特徴となっています。
試験内容は一次試験が教養試験、二次試験が面接考査等です。
出典:関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験「関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験」(2018年3月8日参照)

‌また、独立行政法人では正社員の職員の定期採用を実施していない場合もあります。
国立公文書館を例に挙げてみましょう。国立公文書館では、職員の定期採用は実施しておらず、欠員が出たときなどに不定期で募集するかたちをとっています。また、非常勤職員の募集が多いことも特徴です。

このように、独立行政法人では法人によって採用形態が異なります。気になる独立行政法人の求人情報は、必ず個別に確認するようにしましょう。

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