【テレビ業界】番組制作会社の仕組み・仕事内容を5分で徹底解説!

2023/07/18
テレビ業界
業界の仕事内容
目次
1.
‌番組制作会社の仕事は?
2.
番組制作会社の代表的な企業は?
3.
‌番組制作会社に向いている人とは?
4.
番組制作会社に就職するには?
5.
‌番組制作会社の仕事内容とは?
6.
‌番組制作会社のやりがいとは?
7.
‌番組制作会社の将来性は?~キー局の売上減の影響を受けるの?~
8.
‌【番外編】聞いておきたい番組制作会社についてのQ&A
9.
‌番組制作会社について知れたら
10.
‌もっと深くテレビ業界について知りたい方へ

‌番組制作会社の仕事は?

‌「番組制作会社に入社したらどんな仕事をするの?」
‌「自分で作りたい番組を作ることはできるの?」‌


‌こういった質問に答えることができる方は、テレビ業界志望の学生さんでも決して多くはありません。キー局の知名度が高いにも関わらず、番組制作会社については何も知らないまま就活を終える就活生はたくさんいます。これは非常にもったいない。

この記事では、あまり知られていない番組制作会社について丁寧に説明します。総務省が行った調査結果をもとに、番組制作会社の事業や将来性について、またテレビ局との関係性も解説。

‌キー局志望の方でも、面接で「番組を作りたい」と話すと、「なぜ番組制作会社ではなくてキー局なの?」という質問を受けることがあるので、面接対策にも活用できるはずです。

‌‌そもそも番組制作会社とは?

番組制作会社とは、文字通り番組制作をメイン事業とする会社のことです。

‌自社で番組を作り、テレビ局にそれをプレゼンテーションして売り込む主体的なパターンもあれば、テレビ局から○○な番組を作りたいという依頼を受け、テレビ局とともに番組を作るという受注型の場合もあります。

‌特に番組制作会社大手になると、キー局などお金を‌持っている放送局が大株主となっていることが多く、資本関係があります。そのため、テレビ局の売上が直接的に自社の売上に影響することもしばしば。

‌特に若者のテレビ離れが謳われる近年では、業績が良いとは言えません。‌そうしたこともあり、近年ではテレビ番組の制作だけでなく、ネット番組や歌手のプロモーションビデオの制作、Webプロモーション事業など、様々な映像分野に進出し、多岐に渡って事業を行っています。テレビ業界が変革期に突入する今、同様に番組制作会社も変革を求められていると言えるでしょう。

‌制作会社とテレビ局の違いは?

制作会社とテレビ局がどのようなやりとりをするのかわかりましたね!次に、制作会社とテレビ局の業務の違いについて把握しておきましょう。

テレビ局は、主に放送事業がメインです。

番組をどの順番で放送するのか、視聴率を見てどのように番組を改善していくのか放送の全体を管理しています。番組のスポンサーを探すことも業務の一環です。前述でお伝えしたように番組制作会社に番組制作依頼をするのも重要な仕事です。

番組制作会社は、テレビ局が依頼した番組を作っていくのが業務になります。テレビ局・番組制作会社があることで私たちがよく目にするテレビ番組を見ることができます。

‌番組制作会社の歴史

番組制作会社が誕生し始めたのは1970年代前後となります。初めに、テレビ局が出資して作った番組制作会社が誕生しました。後にご紹介する共同テレビジョン(フジテレビと資本関係)などがこれにあたります。

‌他局の番組を制作することもありますが、やはり誕生してから現在に至るまで、フジテレビ系列の番組を作ることがメインの業務となっています。続いてテレビ局‌から独立した、独立系の番組制作会社が誕生しました。

‌独立系制作会社の走りと言われるのが、テレビマンユニオンという会社。TBS闘争というTBSのもめごとを機に退職した方たちが立ち上げました。出資して作られた制作会社と異なり、各局の番組を幅広く制作するのが特徴です。企業とコネクションが強い会社にせよ、独立している会社にせよ、誕生したのが遅く歴史があまりないというのが番組制作業界の特徴と言えるでしょう。‌

‌番組制作会社はテレビ局の下請けなの?

‌資本関係の有無に限らず、どうしても下請けとしてのイメージが強い番組制作会社。果たして実際にそうなのでしょうか?

‌まずは以下の図をご覧ください。この図はテレビ局と番組制作会社の契約の状況を表したものです。放送局からの企画持ち込み(いわゆる受注型)が44%あるのに対し、自社からの企画持ち込み(番組制作会社がテレビ局に番組を売り込む方式)も31%となっており、「完全な下請け」というわけではないことが分かります。

‌もちろん、テレビ局と資本関係を結んでいる会社と独立系の番組制作会社ではこの比率が変わってきますので、自分のアイデアで番組を作りたいと考える方は、事前にHPなどでチェックしておくことをおすすめ‌します。

番組制作会社 下請け出典:総務省「情報通信業基本調査結果ー平成28年度情報通信業基本調査 第3章 放送番組制作業‌ー」

番組制作会社の代表的な企業は?

‌テレビ局にキー局があるように、番組制作会社にも大手が存在します。以下の図は番組制作会社の売上トップ5。‌‌‌

‌特徴は、やはりキー局との資本関係がある会社が業界の上位を占めているということです。‌またこの売上高をテレビ業界全般と比較してみると、日本テレビホールディングスの年間売上が約4100億円となっていますので、業界全体で見てもテレビ局とはかなりの差があると言えるでしょう。‌

大手番組制作会社の売上一覧
出典:放送業界の動向とカラクリがよくわかる本[第4版]‌‌

テレビ局関連制作会社と独立制作会社の違いとは?

テレビ局関連制作会社と独立制作会社と大きく分けて2種類の番組制作会社があります。

テレビ局関連会社とは...
◇テレビ局(放送局)の資本が含まれている会社

<例>
TBSの関連会社:TBSビジョン
テレビ朝日の関連会社:テレビ朝日映像株式会社
フジテレビの関連会社:フジクリエイティブコーポレーション
テレビ東京の関連会社:テレビ東京制作
NHKの関連会社:NHKエンタープライズ、NHKプラネット

独立系の番組制作会社とは...
◇テレビ局の縛りがなく、さまざまな番組を請け負うことができる会社
→仕事の幅を広げることができる

‌【売上ランキング】番組制作会社の代表的な企業

売上が高い代表的な企業を3社紹介します!

第一位:‌東北新社

総合映像プロダクションとして、映画やCMから企業の宣伝動画まで幅広く映像を制作し、ビジネスを展開するのが東北新社。

‌特に映画に強く、徳間書店・日本テレビなどと共同制作した「千と千尋の神隠し」が有名でしょう。‌映画好きの人なら、スターチャンネルというチャンネルを聞いたこともあるかと思いますが、それを設立しているのもこの東北新社です。他の番組制作会社ではない、自社でチャンネルを保有しているという強みを活かして業界トップを走っています。

‌第二位:NHKエンタープライズ

この会社はその名の通り、NHK専門の番組制作会社です。東京駅のプロジェクションマッピングなどイベントの制作も行っていますが、なんといってもNHKの番組の制作がメインで、報告書(第28期事業報告書)には、約一年間で‌ドラマやドキュメンタリー、エンターテインメント、アニメーション、語版制作など、合わせて約12700本の番組を制作したと記されています。

‌ジャンル問わずNHKの番組制作に携わっている会社で、BSプレミアム、大河ドラマからおじゃる丸といった子供向けのアニメまで非常に幅広く番組制作が行えるのが特徴。また他の番組制作会社がテレビ広告費の伸び悩みにより、経営で悩み事が増える中、受信料収入をメインとするNHKの番組制作ということで、経営が揺らぐということはないといってよいでしょう。

‌より詳しくテレビ局の収益モデルを学びたい方は、あわせてこちらの記事もご覧ください。

‌第三位:共同テレビジョン

‌‌フジ・メディア・ホールディングスの子会社としてフジテレビ系列の番組を制作する会社です。この会社も企業宣伝動画やイベントなど幅広く行っていますが、特に番組制作で言えば、一世を風靡した「恋愛観察バラエティ あいのり」であったり、「世にも奇妙な物語」など若者に人気のあるコンテンツを配信しています。

‌人気番組を作る制作会社の代表的な企業

人気番組を制作する制作会社を3社紹介します!

①株式会社テレビマンユニオン

テレビ局の関連会社ではなく、独立番組制作会社の中で最も歴史がある会社です。1970年に開設され、新しい演出や文化を創出することをテーマにしています。そのため、多種多様なジャンルの番組の制作をしています。

【制作した番組例】
・世界ふしぎ発見(レギュラーテレビ番組)
・遠くへ行きたい(レギュラーテレビ番組)
・前科者(映画)
・彼とオオカミちゃんには騙されない(ABEMA)

②株式会社ハウスフル

株式会社テレビマンユニオンと同様に歴史のある会社です。1978年に開設し、長期レギュラー番組として人気のあるバラエティ番組などを制作しています。

【制作した番組例】
・タモリ倶楽部(レギュラーテレビ番組)
・出没!アド街ック天国(レギュラーテレビ番組)
・秘密のケンミンSHOW極(レギュラーテレビ番組)

③株式会社極東電視台

ブラックビスケッツのオーディションを担当した中村昌哉さんが1999年に開設しました。会社のビジョンとして「チームワークを大切に、会社と従業員の幸福を追求すること、人々に夢、希望、感動、喜びを提供する」ことを掲げています。

【制作した番組例】
・月曜から夜更かし(レギュラーテレビ番組)
・世界の果てまでイッテQ(レギュラーテレビ番組)
・ニンゲン観察バラエティモニタリング(レギュラーテレビ番組)

‌番組制作会社に向いている人とは?

番組制作会社と聞くと芸能人の方々と仕事ができることや豪華なセットから華やかな業界という印象を持つ方が多いですが、要注意です。番組制作会社を問わず、印象だけで志望業界を決めるのは危険です!どの仕事にも厳しさがあるのは仕事している上では付きものです!
番組制作会社で働くのに向いているのはどのような人なのでしょうか...5つの人物像を紹介します。

クリエイティブな人/アイディアを出すのが好きな人

番組を制作する際には、常にどのように放送すれば魅力的に見えるのか日々試行錯誤しなければなりません。そのため、クリエイティブな人、アイディアを出すのが好きな人が番組制作会社に向いています!

実際に働く人の中には、日常的にどんなことに惹かれるのか仕事目線で物事を見てしまうという人がいるくらいです。

オンとオフ、仕事とプライベートを切り替えたい人には苦に感じる環境かもしれません...

地道な作業が好きな人

番組制作会社に入社直後に自分がやりたいことがすぐにできるという環境ではありません。入社直後は、まずアシスタントとして配属されるケースが多いです。また、地味な作業が多いことも特徴です。

そのため、地道にコツコツと作業するのが好きな人にはとても向いています。

倫理観をしっかりと持っている人

テレビ業界で問題として取り上げられることが多い「情報操作」に関してです。番組を作成する中で悪意ある印象付けはしてはいけないことです。そのため、倫理観をしっかり持っている人、または、正義感が強い人には向いています。

公平な目で物事を見ることができる人材を求めています。

コミュニケーションスキルを持っている人

番組制作は一人で作り上げるのではなく、様々な方々と協力して作り上げて行きます。チームワークを重視される業務が多いです。

そのためコミュニケーションスキルの高い人は番組制作会社に向いています。

体調管理能力がある人

ハードワークの日々が続くと想定されます。運動や食事に気をつけて体調管理を積極的にできる人は、テレビ業界で求められます。

番組制作会社に就職するには?

テレビ局に就職したい場合は、ある程度の学歴やスキル、経験を求められますが、番組制作会社は基本学歴・資格・経験を問わないことが多いです。テレビ局と違い学歴・資格・経験を重視されない理由は、業務において広い知識や経験よりユニークなアイディアを出せるかが重視されるからです。

番組制作会社において、重要なことは「いかに人を魅了できる番組を制作するのか」であるため、学歴・資格・経験ではなくアイディアを出せるかが重要です。

一般的に社員になるためのルート

番組制作会社の社員になるための一般的なルートについて紹介します!番組制作会社の応募条件は企業によって採用条件が若干変わってしまいますが、「高校卒業」もしくは「大学、大学院卒業」の場合が多数です。

「カメラマン」「編集」「照明スタッフ」など専門性が高い職種は、専門学校を卒業している方が多いそうです。

専門性が高くなればなるほど、「本当に映像が好きな人ではないと続かない」と言われる程ハードな業界です。‌

‌番組制作会社の仕事内容とは?

‌‌それでは番組制作会社の方が、具体的にどういった仕事をしているのか見ていきましょう。‌図を見れば一目瞭然ですが、主に企画・編集・撮影・マルチオーディオといった業務がメインとなってきます。

‌上から5番目のスタッフ派遣とは、番組制作会社からテレビ局にスタッフを派遣すること。派遣されたスタッフは、基本的にテレビ局に常駐しテレビ局員とともに番組制作をします。

番組制作会社の業務内容出典:総務省「情報通信業基本調査結果ー平成28年度情報通信業基本調査 第3章 放送番組制作業‌ー」

‌またこれも以下の図を見れば分かる通り、制作する番組は情報番組やCM、バラエティ番組などがメインとなり、海外に輸出することが多いアニメーションなどは上位には含まれていません。

番組制作会社 仕事内容出典:総務省「情報通信業基本調査結果ー平成28年度情報通信業基本調査 第3章 放送番組制作業‌ー」

‌番組制作会社のやりがいとは?

番組制作会社の社員のやりがいに多くある場面は、感動する番組・面白い番組を仲間たちと作り上げたときと答える方が多いようです。

また、生放送など失敗が許されない緊張感がある中で、無事に放送が終了した際は、仲間との一体感が感じられます。それと同時に深い達成感も味わうことができます。‌

‌番組制作会社の将来性は?~キー局の売上減の影響を受けるの?~

一言で言えば、番組制作会社の将来は決して明るいとは言えません。

‌実際に、総務省が放送番組制作業を営んでいる372社を調査したところ、平成27年度の業界全体の売上は3070億円となっており、平成25年度の3901億円、26年度の4255億円と比較して約20%の売上減となっています。
番組制作会社の売上高推移出典:総務省「情報通信業基本調査結果ー平成27,28年度情報通信業基本調査 第3章 放送番組制作業‌ー」(一部編集を加えました)

これはテレビ局がコストカットの方向性を打ち出していることが原因と言えるでしょう。そもそもテレビ局はスマホ市場の拡大などにより、以前と比べて売上があまり良くありません。‌

‌そのため利益を保つために番組制作費などのコストカットを進めていきます。この影響を受け手、番組制作会社は直接的にダメージを受けています。‌
‌ただ、番組制作会社には明るい未来も待ち受けています。以前はテレビを通してではないと番組を視聴者に届けることができなかったのですが、現在はスマートフォンやDVDなど映像を視聴する場が多様化しています。

‌要するに、以前は、番組制作会社のお客さんは、番組制作を行うキー局や準キー局のみとなっていましたが、現在はネット配信動画を運営する会社など、お客さんが増えつつあります。‌

‌実際にIVS(International Vision System)という「ネプリーグ」や「THE鉄腕DASH」など有名番組を手掛ける番組制作会社でも、インターネット動画配信サービスのAbema TVの番組を制作していたり、番組を基にDVDを制作し販売したりと様々です。

‌またTBSビジョンという制作会社ではあるカフェのオープンにあたって、物件契約から店舗デザイン、運営まで一貫してプロデュースしたという例もあります。

‌ですので、以前と比べてキー局に対する依存度も下がっていると言えるでしょう。‌また以下の図を確認していただければ、放送番組制作業以外の業務でどのようなことをしているのかが分かります。
テレビ番組制作会社 仕事内容
       出典:総務省「情報通信業基本調査結果ー平成28年度情報通信業基本調査 第3章 放送番組制作業‌ー」

‌【番外編】聞いておきたい番組制作会社についてのQ&A

番組制作会社について知っておきたい情報をまとめました!ぜひ参考にしてみてください!

Q.番組制作会社の平均年収とテレビ局の平均年収は?

A.番組制作会社とテレビ局の入社1~3年目の平均年収は以下のようになっています

【入社1~3年目の平均年収】
・テレビ局→400~500万円
・制作会社→250~350万円

Q.【制作会社の違い】アニメ制作会社と番組制作会社の違いは?

A.アニメ制作会社と番組制作会社には似た職種があります。
・プロデューサー
・CGクリエーター

などが挙げられます。

アニメ制作に向いている人は、根気強い人や絵やアニメーションが好きな人です。番組制作会社より専門的な分野になるので、本当にアニメが好きな人にはアニメ制作会社をおすすめします。

Q.【制作会社の違い】映画制作会社と番組制作会社の違いは?

A.番組と映画を作るのは構成から全く違う業務になります。

ただ、テレビ局に就職することで映画を制作する機会に携わることができます。

映画館でいくつかの企業名が並び、「〜フィルムパートナーズ」と書かれているエンドロールを目にしたことがある人はいませんか?

これは、映画制作する手法の一つで「制作委員会方式」と呼ばれています。「制作委員会方式」は、テレビ局が中心になって映画制作をすることが多く、テレビ局で働きながら映画を作ることができます。

人気ドラマを映画化することもあり、テレビ局と映画業界のつながりは深く、テレビ局にて映画に携わる仕事をできる可能性があります。

‌番組制作会社について知れたら

いかがでしたでしょうか?一般的なイメージでは、テレビ局の下請けとして番組を作らされているというイメージがある番組制作会社。

‌今回見ていただいたように、決してそのようなことはありません。‌特にどうしてもテレビ番組の映像制作に携わりたいと考えるのであれば、民放キー局の営業職よりも、ローカル局でアナウンサーになるよりも番組制作会社でディレクターとして働くことにこだわってみるのも良いでしょう。

‌また専門性が高い業界であるため、実際に働いている方に業務内容を聞くなど、事前に準備すると理解度が高まり自分にあった進路に進むことができるはずです。

‌もっと深くテレビ業界について知りたい方へ

‌‌番組制作会社の実態を知り、社会人の方に話を聞きたいと思った方も多いのではないでしょうか?そんな方におすすめなのが、OB・OG訪問のマッチングサービス、Matcher(マッチャー)です。

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