【テレビ業界】番組制作会社の仕事内容-現状と今後の動向
2020.03.18

【テレビ業界 目次】
第1章第2章
第3章
第4章
第6章
番組制作会社の仕事は?
「番組制作会社に入社したらどんな仕事をするの?」「自分で作りたい番組を作ることはできるの?」
こういった質問に答えることができる方は、テレビ業界志望の学生さんでも決して多くはありません。キー局の知名度が高いにも関わらず、番組制作会社については何も知らないまま就活を終える就活生はたくさんいます。これは非常にもったいない。
この記事では、あまり知られていない番組制作会社について丁寧に説明します。総務省が行った調査結果をもとに、番組制作会社の事業や将来性について、またテレビ局との関係性も解説。
キー局志望の方でも、面接で「番組を作りたい」と話すと、「なぜ番組制作会社ではなくてキー局なの?」という質問を受けることがあるので、面接対策にも活用できるはずです。
そもそも番組制作会社とは?
番組制作会社とは、文字通り番組制作をメイン事業とする会社のことです。
自社で番組を作り、テレビ局にそれをプレゼンテーションして売り込む主体的なパターンもあれば、テレビ局から○○な番組を作りたいという依頼を受け、テレビ局とともに番組を作るという受注型の場合もあります。
特に番組制作会社大手になると、キー局などお金を持っている放送局が大株主となっていることが多く、資本関係があります。そのため、テレビ局の売上が直接的に自社の売上に影響することもしばしば。
特に若者のテレビ離れが謳われる近年では、業績が良いとは言えません。そうしたこともあり、近年ではテレビ番組の制作だけでなく、ネット番組や歌手のプロモーションビデオの制作、Webプロモーション事業など、様々な映像分野に進出し、多岐に渡って事業を行っています。テレビ業界が変革期に突入する今、同様に番組制作会社も変革を求められていると言えるでしょう。
番組制作会社の歴史
番組制作会社が誕生し始めたのは1970年代前後となります。初めに、テレビ局が出資して作った番組制作会社が誕生しました。後にご紹介する共同テレビジョン(フジテレビと資本関係)などがこれにあたります。
他局の番組を制作することもありますが、やはり誕生してから現在に至るまで、フジテレビ系列の番組を作ることがメインの業務となっています。続いてテレビ局から独立した、独立系の番組制作会社が誕生しました。
独立系制作会社の走りと言われるのが、テレビマンユニオンという会社。TBS闘争というTBSのもめごとを機に退職した方たちが立ち上げました。出資して作られた制作会社と異なり、各局の番組を幅広く制作するのが特徴です。企業とコネクションが強い会社にせよ、独立している会社にせよ、誕生したのが遅く歴史があまりないというのが番組制作業界の特徴と言えるでしょう。
番組制作会社はテレビ局の下請けなの?
資本関係の有無に限らず、どうしても下請けとしてのイメージが強い番組制作会社。果たして実際にそうなのでしょうか?
まずは以下の図をご覧ください。この図はテレビ局と番組制作会社の契約の状況を表したものです。放送局からの企画持ち込み(いわゆる受注型)が44%あるのに対し、自社からの企画持ち込み(番組制作会社がテレビ局に番組を売り込む方式)も31%となっており、「完全な下請け」というわけではないことが分かります。
もちろん、テレビ局と資本関係を結んでいる会社と独立系の番組制作会社ではこの比率が変わってきますので、自分のアイデアで番組を作りたいと考える方は、事前にHPなどでチェックしておくことをおすすめします。

番組制作会社の代表的な企業は?
テレビ局にキー局があるように、番組制作会社にも大手が存在します。以下の図は番組制作会社の売上トップ5。
特徴は、やはりキー局との資本関係がある会社が業界の上位を占めているということです。またこの売上高をテレビ業界全般と比較してみると、日本テレビホールディングスの年間売上が約4100億円となっていますので、業界全体で見てもテレビ局とはかなりの差があると言えるでしょう。

今回は売上が100億を超える上位3社を簡単にご説明します。
東北新社
総合映像プロダクションとして、映画やCMから企業の宣伝動画まで幅広く映像を制作し、ビジネスを展開するのが東北新社。
特に映画に強く、徳間書店・日本テレビなどと共同制作した「千と千尋の神隠し」が有名でしょう。映画好きの人なら、スターチャンネルというチャンネルを聞いたこともあるかと思いますが、それを設立しているのもこの東北新社です。他の番組制作会社ではない、自社でチャンネルを保有しているという強みを活かして業界トップを走っています。
NHKエンタープライズ
この会社はその名の通り、NHK専門の番組制作会社です。東京駅のプロジェクションマッピングなどイベントの制作も行っていますが、なんといってもNHKの番組の制作がメインで、報告書(第28期事業報告書)には、約一年間でドラマやドキュメンタリー、エンターテインメント、アニメーション、語版制作など、合わせて約12700本の番組を制作したと記されています。
ジャンル問わずNHKの番組制作に携わっている会社で、BSプレミアム、大河ドラマからおじゃる丸といった子供向けのアニメまで非常に幅広く番組制作が行えるのが特徴。また他の番組制作会社がテレビ広告費の伸び悩みにより、経営で悩み事が増える中、受信料収入をメインとするNHKの番組制作ということで、経営が揺らぐということはないといってよいでしょう。
より詳しくテレビ局の収益モデルを学びたい方は、あわせてこちらの記事もご覧ください。
共同テレビジョン
フジ・メディア・ホールディングスの子会社としてフジテレビ系列の番組を制作する会社です。この会社も企業宣伝動画やイベントなど幅広く行っていますが、特に番組制作で言えば、一世を風靡した「恋愛観察バラエティ あいのり」であったり、「世にも奇妙な物語」など若者に人気のあるコンテンツを配信しています。
番組制作会社の仕事内容とは?
それでは番組制作会社の方が、具体的にどういった仕事をしているのか見ていきましょう。図を見れば一目瞭然ですが、主に企画・編集・撮影・マルチオーディオといった業務がメインとなってきます。
上から5番目のスタッフ派遣とは、番組制作会社からテレビ局にスタッフを派遣すること。派遣されたスタッフは、基本的にテレビ局に常駐しテレビ局員とともに番組制作をします。

またこれも以下の図を見れば分かる通り、制作する番組は情報番組やCM、バラエティ番組などがメインとなり、海外に輸出することが多いアニメーションなどは上位には含まれていません。

番組制作会社の将来性は?~キー局の売上減の影響を受けるの?~
一言で言えば、番組制作会社の将来は決して明るいとは言えません。
実際に、総務省が放送番組制作業を営んでいる372社を調査したところ、平成27年度の業界全体の売上は3070億円となっており、平成25年度の3901億円、26年度の4255億円と比較して約20%の売上減となっています。

これはテレビ局がコストカットの方向性を打ち出していることが原因と言えるでしょう。そもそもテレビ局はスマホ市場の拡大などにより、以前と比べて売上があまり良くありません。
そのため利益を保つために番組制作費などのコストカットを進めていきます。この影響を受け手、番組制作会社は直接的にダメージを受けています。
要するに、以前は、番組制作会社のお客さんは、番組制作を行うキー局や準キー局のみとなっていましたが、現在はネット配信動画を運営する会社など、お客さんが増えつつあります。
実際にIVS(International Vision System)という「ネプリーグ」や「THE鉄腕DASH」など有名番組を手掛ける番組制作会社でも、インターネット動画配信サービスのAbema TVの番組を制作していたり、番組を基にDVDを制作し販売したりと様々です。
またTBSビジョンという制作会社ではあるカフェのオープンにあたって、物件契約から店舗デザイン、運営まで一貫してプロデュースしたという例もあります。
ですので、以前と比べてキー局に対する依存度も下がっていると言えるでしょう。また以下の図を確認していただければ、放送番組制作業以外の業務でどのようなことをしているのかが分かります。

番組制作会社について知れたら
今回見ていただいたように、決してそのようなことはありません。特にどうしてもテレビ番組の映像制作に携わりたいと考えるのであれば、民放キー局の営業職よりも、ローカル局でアナウンサーになるよりも番組制作会社でディレクターとして働くことにこだわってみるのも良いでしょう。
また専門性が高い業界であるため、実際に働いている方に業務内容を聞くなど、事前に準備すると理解度が高まり自分にあった進路に進むことができるはずです。
もっと深くテレビ業界について知りたい方へ

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