【2025最新】食品メーカーランキングを紹介!動向や課題も解説

2025/05/28
食品業界
メーカー
業界の仕事内容
目次
1.
食品業界とは?
2.
食品業界の売上ランキングTOP5
3.
食品業界の純利益ランキングTOP5
4.
食品業界のホワイト企業ランキングTOP3
5.
食品業界の年収ランキングTOP5
6.
食品業界の人気企業ランキングTOP5
7.
これから伸びる食品メーカー
8.
気になる食品メーカーで働く社会人に話を聞きにいこう
9.
食品業界の市場規模
10.
食品業界の今後の動向とトレンド
11.
食品業界の現状と課題
12.
食品業界の将来性
13.
食品業界のビジネスモデル
14.
食品業界の職種
15.
食品業界についてもっと知りたい方へ
16.
食品業界の理解を深めたあとは企業研究に進もう
人々の食と健康を支える食品メーカー。味の素の「Cook Do」や日清食品の「カップヌードル」、明治の「きのこの山」など、みなさんの生活に馴染みが深い商品が多いのではないでしょうか?

この記事では、そんな食品メーカーのランキングを売上高・ホワイトさ・年収・人気などの観点からご紹介します。さらに食品業界の最新の動向や将来性、ビジネスモデルについてもわかりやすく解説しています。食品業界を目指す方にとって、ぜひ知っておきたい知識ばかりです。この記事を読んで食品業界について理解を深めましょう。

食品業界とは?

食品業界とは、食品原料などを製造し、小売店などを通じて消費者に商品を提供・販売している産業のことを言います。

例えば「きのこの山」や「たけのこの里」のように、コンビニで並ぶ商品をイメージする人は少なくないでしょう。しかし、食品業界が扱う商品はそれだけではありません。
‌「きのこの山」や「たけのこの里」を作るためには砂糖や小麦粉、植物油など様々な原料が必要です。そのため、食品業界にはそのような原料を生産する企業も含まれます。

食品業界は、身近な商品に関わることができるやりがいや安定性の高さから、多くの就活生に人気の業界です。実際に、マイナビが行った「2025年卒大学生就職意識調査」では、2022年度から3年連続で最も人気のある業界に選ばれています。


本記事では、食品業界に属する主要企業をピックアップして解説しています。どのような種類の企業が食品業界に携わっているか、代表的な企業と合わせて確認してみてください。

食品業界の売上ランキングTOP5

ここでは食品業界の売上ランキングTOP5をご紹介します。食品業界における主要企業の立ち位置をおさえて、業界研究や企業選びに役立てましょう。各社の情報は、以下のフォーマットに沿って整理しています。
食品業界の売り上げランキング。1位はサントリーホールディングス株式会社。
▼各社の紹介フォーマット
売上高  〇〇円
初任給  〇〇円(大卒)
平均年収 〇〇円
平均年齢 〇〇歳
若手から高年収がもらえる度 〇〇pt

「若手から高年収がもらえる度」について
このスコアは、政府の公開情報をもとに、当社が独自に若手から稼げる度を評価した値です。このスコアが『1pt』よりも高ければ高いほど、若いうちから多くの年収を稼ぐことができると予想できます。

ただしあくまで予測であるため、実際にOB・OG訪問を行いながら情報収集することをオススメします。

1位:サントリーホールディングス

売上高 3兆4179億4900万円
初任給 278,000円
平均年収 1,221万円
平均年齢 44.8歳
若手から高年収がもらえる度 1.86pt(+0.86pt)

サントリーは、酒類・清涼飲料の両分野で国内トップクラスのシェアを誇る企業です。「ザ・プレミアム・モルツ」や「山崎(ウイスキー)」などの酒類ブランドに加え、「伊右衛門」「BOSS」などの飲料も展開しています。若手でも挑戦できる風土があり、給与水準も高めの企業です。

2位:日本たばこ産業(JT)

売上高 3兆1497億5900万円
初任給 237,700円
平均年収 951万円
平均年齢 41.3歳
若手から高年収がもらえる度 1.57pt(+0.57pt)

JTは、たばこ事業を主軸としながら、冷凍食品・加工食品などの食品事業も展開する大手企業です。「メビウス」「プルーム・テック」などのたばこブランドを持ち、世界のたばこ市場で4位の規模を誇ります。また、冷凍食品の「テーブルマーク」も傘下に抱え、食品事業の強化を進めています。

3位:アサヒグループホールディングス

売上高 2兆9394億2200万円
初任給 273,500円
平均年収 1,218万円
平均年齢 44.6歳
若手から高年収がもらえる度 1.86pt(+0.86pt)

アサヒグループは、「アサヒスーパードライ」を筆頭に、ビール業界で国内No.1のシェアを誇る企業です。また、「三ツ矢サイダー」「カルピス」などの清涼飲料も強みとしています。近年では、欧州のビールメーカーを買収し、グローバル展開を積極的に進めています。給与水準は高めで、特にビール・飲料事業に興味がある人にはおすすめの企業です。

4位:キリンホールディングス

売上高 2兆3383億8500万円
初任給 270,000円
平均年収 1,000万円
平均年齢 42.3歳
若手から高年収がもらえる度 1.61pt(+0.61pt)

キリンは、ビールや清涼飲料だけでなく、近年ではヘルスサイエンス事業にも力を入れています。「キリン一番搾り」「午後の紅茶」といった定番ブランドを持つ一方で、プラズマ乳酸菌を活用した健康食品の開発も進めています。食品と医薬の融合を目指している点が特徴で、長期的な成長が期待できる企業です。

5位味の素

売上高 1兆5305億5600万円
初任給 259,000円
平均年収 1,072万円
平均年齢 44.5歳
若手から高年収がもらえる度 1.64pt(+0.64pt)

味の素は、調味料や加工食品だけでなく、バイオ・ヘルスケア事業にも強みを持つ企業です。世界的に「うま味調味料(MSG)」市場で圧倒的なシェアを誇り、特にアジア市場での展開が進んでいます。また、冷凍食品市場では「ギョーザ」「エビピラフ」などのヒット商品があり、健康食品やバイオ事業への投資も活発に行っています。

食品業界の純利益ランキングTOP5


食品業界の純利益ランキング。1位はアサヒグループホールディングス。
食品業界の純利益ランキングTOP5は上記の通りです。食品業界の純利益ランキングTOP5は、売上ランキングと同じ企業が並んでいますが、順位には違いがあります。この違いは、各社の利益構造やコスト管理の戦略によるものです。

就職活動において、市場規模が大きく、安定したビジネス基盤のある企業で働きたいと考える学生は企業の売り上げを重視しましょう。一方で、企業の収益性や成長性を重視し、より利益を生み出しやすい事業モデルを持つ企業で働きたい学生は企業の純利益を重視するとよいでしょう

食品業界のホワイト企業ランキングTOP3

次は食品業界でホワイトと言われている企業を紹介していきます。ここでは、口コミサイトにおけるホワイト企業から、食品業界のホワイト企業を見つけられる指標を解説しています。

‌口コミサイトのホワイト度ランキングTOP3

食品業界の口コミサイトのホワイト度ランキング。1位は日本たばこ産業(JT)。‌転職・就職に役立つ口コミサイト「キャリコネ」において、入力されたホワイト度が高い順にランキングをご紹介していきます。


売上高ランキングにも入っていた日本たばこ産業、味の素に加え、キリンホールディングスの子会社であるキリンビールがランクインしています。TOP3の企業に共通していたのは「労働時間・休日数の満足度」が非常に高い点でした。やはり残業や休暇制度がホワイト度に直結していると言えるでしょう。

ホワイト企業を見つける指標

ホワイト企業と一言で言っても、その基準や指標は人によってさまざまです。ここでは、ホワイト企業を見つけられる指標をご紹介します。みなさんが何を重視するのか考えながら、企業研究をしてみてください。また、本記事ではOpenWorkの指標を参考にご紹介していますので、ぜひOpenWorkで気になる企業の口コミを探してみましょう

労働時間・残業に関する情報

ホワイト企業の大きな指標の一つが、労働時間の適正管理と残業時間の少なさです。法定労働時間(1日8時間、週40時間)を遵守していることはもちろん、過度な残業を強いない企業が理想的と言えるでしょう。OpenWorkでは「残業時間(月間)」という指標があり、月の残業時間が20時間未満かどうか、が1つの基準になります。

有給休暇・休暇制度

有給休暇の取得率が高い企業は、社員のワークライフバランスを重視している傾向があります。年次有給休暇の取得率が70%以上であれば、比較的取得しやすい職場環境と言えるでしょう。こちらもOpenWorkの「有給休暇取得率」をチェックしてみてください。

福利厚生

福利厚生が充実しているかどうか、はホワイト企業を見つける上で重要な項目です。まずは企業の採用サイトでどのような制度があるかを調べたり、口コミサイトで実際はどのように利用されているかを見たりしてみましょう。また、OpenWorkの「法令遵守意識」はワークライフバランスを意味するため、こちらの指標も参考になります。

離職率

新卒就活の場合、入社3年以内の離職率が一つの目安になります。厚生労働省の「新規大卒就職者の製造業における産業分類別就職後3年以内の離職率の推移」における令和3年の3年以内離職率は、食料品製造業が32.1%、飲料・たばこ・飼料製造業が26.9%となっており、入社3年以内の離職率が30%程度であるかどうかがホワイト企業の指標と言えるでしょう。

健康経営優良法人

健康経営優良法人とは健康の保持・増進につながる取組を戦略的に実践する「健康経営」に積極的に取り組んでいる企業を認定する制度です。認定要件にワークライフバランスの推進 や職場の活性化、健康保持施策などがあり、ホワイト企業の基準を多く含んでいると言えるでしょう。食品メーカーでは、2025年に日清食品ホールディングスやキユーピーが認定されています。

食品業界の年収ランキングTOP5

食品業界の年収ランキング。1位はサントリーホールディングス株式会社。
食品業界の平均年収によるランキングです。売上高ランキングと比較して大きな変動はないですが、売上高ランキングには入っていない明治ホールディングス株式会社がランクインしています。

ここでは明治ホールディングス株式会社をご紹介します。その他の企業について、詳しくは売上ランキングをご覧ください。

4位:明治ホールディングス株式会社

売上高 1兆1540億7400万円
初任給 240,500円
平均年収 1,036万円
平均年齢 45.7歳
若手から高年収がもらえる度 1.54pt(+0.54pt)

明治ホールディングスは、乳製品、菓子、栄養食品、医薬品など、多岐にわたる製品ラインを展開している企業です。乳製品分野では、「明治おいしい牛乳」や「明治ブルガリアヨーグルト」など、日常的に親しまれている商品を取り扱っています。菓子分野では、「明治ミルクチョコレート」や「きのこの山」「たけのこの里」など、ロングセラー商品を提供しています。

食品業界の人気企業ランキングTOP5

食品業界の内定競争率ランキング。1位はカゴメ株式会社。
ここでは食品業界の人気企業ランキングTOP5をご紹介します。

1位:カゴメ株式会社

売上高 3,068億6900万円
初任給 227,500円
平均年収 799万円
平均年齢 41.8歳
若手から高年収がもらえる度 1.30pt (+0.30pt)

カゴメは、トマトを中心とした野菜飲料・食品を展開する企業です。「カゴメトマトジュース」や「野菜生活」シリーズをはじめ、近年では機能性表示食品や発酵食品の開発にも注力しています。健康志向の高まりに伴い、野菜由来の商品が人気を集めており、食品業界の中でも持続可能な成長が見込まれる企業です。

2位:ハウス食品株式会社

売上高 2,996億円
初任給 227,900円
平均年収 804万円
平均年齢 42.3歳
若手から高年収がもらえる度 1.29pt (+0.29pt)

ハウス食品は、「バーモントカレー」「ジャワカレー」などの家庭用カレー製品を中心に、レトルト食品や調味料など幅広い商品を展開する企業です。また、健康食品や機能性食品の開発にも力を入れており、食品業界の中でもヘルスケア領域への進出が目立っています。さらに、海外展開も進んでおり、特にアジア圏での成長が期待されています。

3位:ダイドードリンコ株式会社

売上高 2,133億7000万円
初任給 230,000円
平均年収 735万円
平均年齢 39.1歳
若手から高年収がもらえる度 1.28pt(+0.28pt)

ダイドードリンコは、自動販売機市場で強い存在感を持つ飲料メーカーです。「ダイドーブレンドコーヒー」や「miu(ミウ)」などのブランドを展開し、特に自販機チャネルを活用した販売戦略が特徴的です。飲料業界はコンビニやスーパーでの競争が激化する中、自販機ビジネスを軸に安定した売上を確保できる点が強みです。

4位:サッポロビール株式会社

売上高 5,308億円
初任給 230,000円
平均年収 952万円
平均年齢 45.7歳
若手から高年収がもらえる度 1.42pt(+0.42pt)

サッポロビールは、日本国内でのビール市場では4位のシェアを持つものの、独自のブランド戦略で根強い人気を誇る企業です。「サッポロ黒ラベル」「エビスビール」といった高級志向の商品に強みがあり、プレミアムビール市場でのポジションを確立しています。また、ワインやスピリッツなどの分野にも進出し、多角的な展開を進めています。

5位:アサヒグループ食品株式会社

売上高 1,258億円
初任給 232,000円
平均年収 585万円
平均年齢 41.4歳
若手から高年収がもらえる度 0.96pt(▲0.04pt)

アサヒグループ食品は、売り上げランキングの3位にランクインしたアサヒグループホールディングスの子会社です。詳しくは売上ランキングをご覧ください!


これから伸びる食品メーカー

ここまでさまざまな企業がランクインしていましたが、「これから伸びる食品メーカーってどこ?」と気になる就活生も多いと思います。そこでここでは、これから伸びると注目されている食品メーカーをピックアップしました。

キッコーマン

醤油で一度は聞いたことがある食品メーカーのキッコーマン。実は海外での売上を大幅に伸ばしているのは知っていましたか?

2025年度3月期には海外の事業売上が90%を超えており、海外売上の上昇とともに純利益も70%増加しています。現在は北米・欧州・アジアを中心に展開しており、醤油を現地の料理にも活用できる、グローバルスタンダードの調味料として定着させることを目指しています。

ベースフード

ベースフード商品一覧。
写真の商品をコンビニでみたことがあるという就活生も多いのではないでしょうか?ベースフードは完全栄養食の先駆けとなった企業で、パンやクッキー、まぜそばなど手軽に食べられる完全栄養食を展開しています。近年のトレンドに加え、コンビニなどで気軽に買うことができる点から売上を伸ばしています。

健康志向のトレンドによる完全栄養食市場はまだ拡大傾向にあり、定期購入や海外進出など伸びしろを残していることから、まだまだ成長すると注目の企業です。

気になる食品メーカーで働く社会人に話を聞きにいこう

ここまで食品メーカーのさまざまなランキングを紹介してきましたが、気になる食品業界の企業はありましたか?気になる企業について調べる際は、HPやSNSだけでなく、実際に企業で働く社会人に直接話を聞き、リアルな情報を集めてみましょう

Matcher(マッチャー)とは

OBOG訪問サービスMatcherの紹介画像‌Matcherとは、所属大学や住んでいる地域に関係なくOB・OG訪問ができるアプリです。

就職活動において、「食品メーカーに勤めている先輩がいない」「OB・OGの人にメールや電話をする勇気がない」「キャリアセンターに行くのが面倒だ」などの悩みはありませんか?

そういった人は、ぜひMatcherを活用してみてください。

▼社会人の所属企業一覧(食品業界一部)
日本たばこ産業(JT)、サントリーHD、味の素、ニチレイフーズ、エスビー食品、日清食品HD、森永乳業、雪印、明治、ネスレ日本、日本ハム、亀田製菓、ハウス食品、など

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食品業界の市場規模

食品産業の国内生産額及び全経済活動に占める割合。令和5年のおける全経済活動に占める割合は9.1%。

上の表は食品産業の国内生産額及び全経済活動に占める割合です。食品産業は令和4年まで一度落ち込んだものの、令和5年からは全経済活動に占める割合が9.1%と持ち直しています。コロナ禍で打撃を受けましたが、今後は市場規模を緩やかに拡大し、全経済活動に占める割合が10%前後に回復すると考えられます。

食品業界の今後の動向とトレンド

食品業界は、消費者の価値観の変化、テクノロジーの進化、環境への配慮など、さまざまな要因が複合的に影響し、業界の動向とトレンドを形作っています。ここでは食品業界の今後について解説していきます

1.海外市場の需要取り込みへ

2025年現在、食品業界は国内市場の縮小に伴い、海外展開や新規事業への注力が顕著です。例えば海外事業の拡大を図るため、株式会社極洋は2023年に平均年収を約2割引き上げ、800万円とする施策を発表しました。また新入社員の初任給も約3割増の27万円台とし、優秀な人材の確保を目指しています。

同様に、マルハニチロやニッスイといった水産大手も、国内市場の人口減少を受け、海外事業の強化や、クロマグロの完全養殖、冷凍食品の開発・製造など「つくる産業」へのシフトを進めています。このように、食品業界各社は国内外での事業拡大や新たな分野への挑戦を通じて、持続的な成長を目指しています。

2.ビール業界の多角化・国際化

日本のビール業界は主にアサヒ、キリン、サントリー、サッポロの4大企業によって寡占されています。ビール業界は近年、国内市場の縮小や若者の消費行動の変化に対応するため、新たな戦略を模索しています。それが、多角化と国際化です。

例えば、各社はビール以外の事業にも力を入れており、ノンアルコール飲料や健康食品などへの進出によって多角化を図っています。また、海外市場での買収や製造・販売拠点の拡大も積極的に行うことで国際化を進めているのです。このように、日本のビール業界は伝統的な市場環境に挑戦しつつも、多様な事業展開と国際化にチャレンジしています。

3.健康食品・高付加価値商品への取り組み

機能性表示食品、特定保健用食品の国内市場規模。2024年度は2023年度と比較して約25%ほど増大する見込み。
近年では高齢化や健康志向の増大に伴い、機能性表示食品、特定保健用食品の国内市場が拡大傾向にあります。2024年度は2023年度と比較して約25%ほど増大する見込みです。

例えば、減塩タイプの「ハッピーターン」や明治の高カカオポリフェノール「チョコレート効果」など健康を意識した食品の製品開発が進められてきました。最近では日清食品の「完全メシ」など完全栄養食の選択肢も増え、ますます市場は拡大すると考えられています。

4.手軽さの需要が拡大

近年食品に手軽さを求める傾向が高まっています。一人暮らしや共働き世代の間で「時短で食べられる」「調理の手間がかからない」といったニーズが高まっており、そこにマッチする食品の市場が拡大中です。

その代表格として挙げられるのが冷凍食品。最近では電子レンジで加熱するだけで1食分が用意できるワンプレート型の冷凍食品も登場しています。また、リモートワークの普及などから場所をとらない「スペパ(スペースパフォーマンス)」重視の製品がトレンドです。

5.SDGsへの取り組み

食品業界は、食品ロス削減やエネルギーの効率化などによってコストを削減し、環境保全や社会貢献をしています。SDGsは消費者にとっても注目度の高いテーマであり、SDGsに取り組むことでブランドイメージを向上させる狙いもあり、多くの企業がSDGsに取り組んでいます

例えば、セブン&アイ・ホールディングスでは、酸素を窒素と二酸化炭素に置き換えて、商品の劣化原因となる酸素を減らすトップシールを発明しました。これによって商品の賞味期限を延長させ、食品ロスの削減につなげています。

6.購入手段の多様化

消費者の購入手段は多様化しています。オンラインで情報収集してから実店舗で購入したり、実店舗で商品を確認した後にオンラインでより安く購入したりと、近年の消費者の購入手段は複雑です。

このような消費者の行動に対応するため、企業はECサイトやSNSなどに力を入れてきました。実際に食品業界のEC化率は、2019年のときには2.89%でしたが2024年には4.29%と上昇しており、今後も着実にEC化が進んでいくでしょう

7.業界再編とM&A

食品業界では、競争の激化や原料価格高騰などの影響により、業界再編とM&Aが活発になっています。例えば、2024年度にはキリンホールディングスがファンケルを買収しており、化粧品や健康食品の海外展開を進めようとしています。

食品業界の現状と課題

1.食品業界全体の景気は下降予想

食品産業の景況。やや下降気味である。
日本政策金融公庫の「食品産業動向調査(令和6年7月調査)」によると、食品業界全体の景気は今後悪化する見込みです。2024年の報告によると、食品業界全体における景気DI(※)は前年度のものから大きくポイントを下げています。

DI(Diddusion Index、業況判断指数)とは…
「日銀短観」で発表される景気の判断指数のことです。景気が「上向き」か「下向き」かという方向性を判断するために用いられています。
業種別食品産業の景況。

業種別に見てみると、特に卸売業と飲食業の低下が顕著です

このような景気悪化の理由に、度重なる食品の値上げによって消費者が購入を控えたことが考えられるでしょう。事実、帝国データバンクの「食品主要195社 価格改定動向調査」によると、2024年の飲食料品値上げは累計で1万2520品目で、値上げ率の平均は17%でした

2025年4月までにパンやビール、冷凍食品などの6121品の値上げが決定しており、物流費の高騰も依然として続いています。これにどう対応するかが各社の競争力や市場シェアに影響を与えるでしょう。

2.人口減少による国内市場の変化

従来の食品業界では、家族に向けて大容量でお買い得な商品を作ることが求められていました。
しかし近年では国内市場が大きく変化しています。

▼近年の国内市場の変化‌
・少子高齢化の影響で人口が年々減少
・単身家族の割合が増加
・一人当たりの食料消費支出が、2人以上で暮らしている人より、単身者のほうが高い
食品業界はこうした変化に対応し、単身者や高齢者に向けた商品の開発を進めています

3.日本の食品メーカーの利益率の低さ

日本の食品メーカーは、海外の食品メーカーと比較して利益率が低いことが課題です

例えば、飲料事業で国内リード企業のサントリーの2024年度の営業利益率は10.3%、キリンは2024年度に5.4%でした。それに対し「コカ・コーラ」で有名なCoca-Cola COの営業利益率は21.2%と大きく差が開いています。またチョコレートなどで知られる明治は2024年度の営業利益率は7.3%であるのに対し、「キットカット」を生み出したネスレは2024年度に17.2%となっています。

このように利益率が海外と比較して低い理由として、
‌①原料メーカーからの直接仕入れではなく、卸売など中間業者が入る複雑な構造となっている
‌②サービスコストが他国と比較し高いこと
‌があげられます。

4.環境変動リスク

食品メーカーは製造コストが大きく変動することがあり、収益が不安定な傾向があります。原因は為替や相場などに影響されるからです。そのため、経費を低減させることや、商品の容量や価格などを状況に合わせて変更させることが求められています。

5.人権、環境問題、健康志向などへの適応

‌外国人技能実習生制度をめぐる強制労働問題をはじめ、食品産業は、国外だけではなく、国内においても人権侵害のリスクを持っています。また畜産業による温室効果ガスの排出や森林破壊は、気候変動などの環境問題に大きく加担しているといわれています。

このような人権・環境問題に取り組むことはESG投資(※)の対象となるため、結果的に市場における企業価値を高めることが可能です。フェアトレード商品を扱う取り組みや、環境負荷の少ない植物性由来のたんぱく質を使った代替肉商品の開発・販売などで、人権や環境問題に対する配慮が増えているのはこのことが理由です。

また健康志向の高まりによってオーガニック商品の需要が高まるなど、食品のニーズが変化しているため、消費者の求める商品を開発していくことが求められています。ここでは、積極的にSDGsに取り組む企業を紹介します。

ESG投資とは…
ESG投資とは、企業を評価する際に「環境(Environmental)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3つの要素を重視する投資方法のことです。従来の投資が利益や財務データだけを基準にするのに対し、ESG投資では「社会的に価値のある活動をしている企業かどうか」も判断基準に加えるのが特徴です。

森永乳業株式会社

‌「ビヒタスヨーグルト」や「リプトン」の生みの親、森永乳業株式会社。生乳生産に伴う環境負荷低減と、酪農から排出される温室効果ガスをおさえる生乳生産の基盤強化を目指しています。

‌酪農から排出される温室効果ガスには、メタンが含まれています。メタンは、二酸化炭素の次に温暖化の影響が大きいため、酪農業界の課題の1つです。また、牧場の規模拡大に際して問題になっているのが、糞尿の処理です。メタンと糞尿の課題に対して、森永乳業グループは、バイオマス発電施設と排水処理施設を兼ね備えた酪農・畜産におけるふん尿処理システム「MO-ラグーンfor Dairy」を導入しました。

環境に配慮した取り組みといわず、たい肥の散布や人手不足に悩む酪農家の課題解決にもつながり、サステナブルな酪農乳業界を目指す事例の1つです。

株式会社不二家

「カントリーマアム」ブランド3品の外装サイズ縮小。

株式会社不二家は、省資源や廃棄時の環境負荷低減を目的としたプラスチック削減に力を入れています。1951年発売のロングセラー「ミルキー」の外袋は、2020年から、プラスチックではなく、紙包装に変更されました。また、イラストの通り、代表的なお菓子「カントリーマアム」「チョコまみれ」の外装を縮小し、プラスチックの使用量の削減に成功しました

6.ネット通販での食料消費支出額の増加

インターネットによる通信販売での食料消費支出額。年々上昇傾向にある。
新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけとなり、インターネット通販による食料消費支出額が大きく変化しました。特に出前の支出額の上昇が顕著であり、2020年1月時点で一人当たり73円だったのが、2022年1月には3.9倍の216円となっています。上記のグラフを見て分かる通り、食料品や飲料に関してもインターネットによる通信販売での食料支出額は現在もなお上昇傾向で推移しています。

今後の食品業界では、以前よりも販売経路が多様化し、インターネットでの販売にも対応していくことが必要です。

食品業界の将来性

人口の減少と高齢化に伴い、食品を購入する層の規模や一人あたりの消費量が縮小しており、食品業界全体の国内市場は先細りしつつあります。人口減少による市場の縮小は食品業界に限った話ではなく、全体として適切な対応が求められています。

このことから、海外市場への展開がより増えていくと考えられるでしょう。世界人口は2080年までは増え続けると予想されており、海外に食品市場の顧客基盤を作ることができます。また、農林水産政策研究所は2030年までに世界の飲食料市場規模が1,360兆円まで拡大すると予測しています。

食品業界を目指す就活生の方は、今まで以上に英語力が求められると言えるでしょう。

食品業界のビジネスモデル

食品業界のビジネスモデル。商社・第一次産業→食品メーカー→小売店→消費者という流れ。
ここでは、食品業界に属する企業が、どのように収益を上げているのかを解説します。

‌①第一次産業

第一次産業は、農業や漁業などを通じて食品の原料を生産・供給する役割を担っています。例えば、農業では米や小麦の生産が行われており、これらはパンや麺類、菓子類などの加工食品の原料になります。
自然環境の中で仕事をすることにやりがいを感じる人や、食料生産を通じて社会に貢献したい人におすすめです。

‌②食品メーカー

食品メーカーは、第一次産業で調達した原料を加工して消費者が使いやすい製品に仕上げ、小売業を通じて消費者に届ける役割です。味の素や明治などの大企業から中小企業まで幅広い規模のメーカーが存在しています。
商品開発やブランディングに興味がある人や、食品を通じて健康や社会課題の解決に貢献したい人におすすめです。

‌③小売業

小売業は、スーパーやコンビニ、飲食店を通じて食品を直接消費者に届ける役割を果たしています。具体的には、売り場での商品陳列や接客を通じて顧客満足を高め、販売促進のためのキャンペーンやイベントを企画することなどが挙げられます。

消費者のニーズを直接感じ取り、それに応える形で商品を提供していきたい人におすすめです。

④商社

商社は自ら食品を製造することはなく、「第1次産業と食品メーカー」と「食品メーカーと小売業」の間の橋渡しをする役割を担います。具体的には、第1次産業で生産された原材料を食品メーカーに卸し、食品メーカーが原材料から生産した食品を小売業に卸すことを担当します。

複雑な利害関係を調整したり、広い分野で知識や経験を積んだりしたい人におすすめです。

食品業界の職種

ここまで紹介してきたように、‌食品業界にはいろいろなフェーズで活躍している会社があります。そのため、職種も多岐にわたっていることが多いです。
ここでは、「研究開発」「営業」「企画開発・マーケティング」「品質管理」「事務職」の5つの職種についてご紹介します。

①研究・開発

研究・開発職は、食品の製造効率を上げるための機器の研究や、新商品・リニューアルに向けた開発を行います。また、工場内で大量生産ができるようにレシピを設計したり、実際に工場を稼働させた後の不具合の修正を行うのも、研究開発職の仕事です。

② 営業職

営業職は、お客様に商品を提案し、契約につなげる仕事です。具体的には、商社や卸売業者に向けて、原料の仕入れに関する提案営業を行います。また、スーパーマーケットやコンビニでは、店舗の売り場を広げるために店長や担当者と信頼関係を築きながら、陳列方法や棚づくりの提案をすることも重要な役割です。

③ 企画開発・マーケティング職

企画開発・マーケティング職は、消費者のニーズに合った新商品を企画したり、既存商品のリニューアルを行う仕事です。市場調査をもとにマーケットを分析し、どのような商品が求められているのかを考え、開発部門と協力しながら、商品化を目指します。

④ 品質管理職

品質管理職は、商品の品質や安全性を守り、お客様に安心して食べてもらうために欠かせない仕事です。具体的には、原料や製造後の商品を調査・分析し、安全性や品質を確認します。商品ラベルの成分表示に誤りがないかをチェックしたり、消費者からの問い合わせに対応したりすることも大切な業務です。

⑤ 事務職(管理部門)

事務職は、人事・広報・経理・総務などの管理部門で、それぞれの業務を担当します。食品業界では、商品を販売するために 商標登録 や お客様相談センターでの問い合わせ対応 などが必要になります。こうした業務を通じて、食品が安全に流通して消費者に届けられるようサポートするのが管理部門の役割です。

食品業界についてもっと知りたい方へ

食品業界や食品メーカーについて、一通り理解できたでしょうか?食品業界に関する基本的な知識を身につけた後は、実際に食品メーカーで働く人に話を聞き、より理解を深めていきましょう。

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▼社会人の所属企業一覧(食品業界一部)
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食品業界の理解を深めたあとは企業研究に進もう

ここまで、さまざまな食品業界のランキングをご紹介してきました。みなさんが気になる食品メーカーの企業は見つかりましたか?ぜひ食品業界に興味を持った就活生の方は、気になる企業についてより深く調べてみましょう。

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