【すぐわかる】化学業界とは?大手メーカー5社の強みや特徴を解説

2023/07/18
化学業界
業界の仕事内容
メーカー
目次
1.
化学業界とは?
2.
化学メーカーの分類と特徴
3.
‌【職種別】化学業界の仕事内容
4.
化学業界の今後の動向3選
5.
化学業界の課題2選
6.
化学業界の売上高ランキング
7.
化学メーカー大手5社の強みと特徴
8.
化学業界で働く社員に話を聞いてみよう

化学業界とは?

化学業界・化学メーカーとは、化学反応を利用して製品(化学製品)を生み出す企業のことです。
ちなみに、ここでいう化学製品とは、樹脂やゴム、合成繊維を指します。

化学業界には、他産業に材料を供給する上流の事業から、最終的な製品の製造を行う下流の事業まで多様な事業があるため、事業内容は企業によって異なることが多いです。
化学業界の市場規模
化学業界の業界規模は2018年から2020年にかけて減少傾向にありましたが、2021年で、約35.1兆円で前年度と比較し増加しました。

ただ成長率は、前年比2.8%下がっています。

化学業界は近年激しく変化しているため、随時確認しておくようにしましょう。

化学メーカーの分類と特徴

‌化学業界の構造について、下記の図をご覧ください。
‌化学メーカーは以下の3つの分野に分かれています。
①総合化学メーカー
②誘導品化学メーカー
③電子材料化学メーカー
各分野の特徴について、詳しく説明していきます!

①総合化学メーカー

‌総合化学メーカーとは、基礎原料、中間材料、最終製品の各種製品まで、一貫して生産を行う企業のことです。
特徴として、上流から下流までを一貫して自社で行うことができ、技術力が非常に高いことが挙げられます。
また、事業規模が大きいことから、大量生産することが可能で、コスト面での競合優位性が高いことが強みです。

企業例

三菱ケミカルホールディングス、住友化学株式会社、旭化成株式会社

‌②誘導品化学メーカー

‌誘導品メーカーとは、基礎材料を使用して中間材料を生産している企業のことです。
中間材料とは、生産過程において他の材料が完成するまでの、中間で使用される材料のことで、最終製品を作るためには重要な役割を担っています。

それぞれの分野に特化した中間材料を製造しているため、独自性が高く、利益率が高いといえます。
製造した製品は最終製品メーカーやほかの誘導品メーカーへ販売するため、BtoBビジネスが中心です。

企業例‌

信越工業株式会社、三菱ガス化学株式会社、株式会社ダイセル

③電子材料化学メーカー

‌電子材料メーカーとは、基礎材料や誘導品を購入し、半導体やディスプレイなどの電子材料の製造を行う企業のことです。
スマートフォンやパソコンなどに電子材料メーカーが製造している製品が使用されていて、私たちの生活に身近な存在であるため、欠かせません。

製品は、主に携帯電話を作っている会社など、企業に販売することが多いため、BtoBビジネスが中心です。

企業例

富士フィルムホールディングス、日東電光株式会社、昭和電光エマテリアルズ株式会社

‌【職種別】化学業界の仕事内容

‌ここまで、化学メーカーの事業について解説してきました。

ここからは、化学メーカーの製品開発から販売までの流れに沿って、仕事内容を説明します。
化学メーカーの中にどのような業務があるのかを知り、自分が楽しめそうか考えながら読んでみてください。
‌それでは、順を追って見ていきましょう。

①研究・開発

‌研究・開発では、新商品の開発に関わる基盤技術の構築です。
先程説明した基礎化学品や誘導品の研究開発を行っています。

また、製造ラインの最適化を行う製造技術の研究や、化学プラントのエンジニアリング業務など、理系職の分野と言えるでしょう。

②企画

‌企画では、研究・開発によって得られた「素材」「製品」の機能や性能を最大限に発揮させるためのマーケティングを担当しています。

競合他社が存在する中で、自社を選んでもらえるように戦略を立てる業務です。
理系職である研究所や工場の技術者とともに、市場の開拓を行っています。

③購買・物流

‌企画で決定した「素材」「製品」を製造するための設備・原料の調達を担当。製造に必要な機械設備全般の調達等を行います。

物流では莫大な量の原料を調達するため、運搬をいかに効率化するかを考えることが求められる業務です。

④生産

生産では、調達した原料を加工し「素材」「製品」にすることを担っています。
ここでは生産計画の立案や実績管理を行うほか、製造コストの管理やコスト削減の推進などが業務の中心です。

⑤営業

‌生産された「素材」「製品」をクライアントに販売するのが営業です。
ここでいう「クライアント」とは自動車部品、衣料品、製薬メーカー等、様々な企業が当てはまります。

直接みなさんのもとへ営業を行うのではなく、法人に対しての営業です。
‌ここでは、ただ製品を販売するのではなく、クライアントに合わせた提案を行う必要があります。
そのため、単に自分が担当する商材だけを売るのではなく、クライアントが抱える課題の解決策となる素材を提案することが求められるでしょう。

だからこそ、市場の変化に気を配り、必要となりそうな商材に目を配っている必要があるのです。
このように、ただ販売を行うのではなく、企画色の強い仕事であるといえます。

Matcherを使って仕事内容について聞いてみよう

‌詳しい仕事内容や、職種の特徴、求められるものは企業ごとに大きく異なります。
そのため、具体的な職種の仕事内容については、実際に化学業界で働いている社員に聞いてみましょう。
Matcherでは、大学・学部・学年関係なく、化学業界で働く社員や内定者にOB・OG訪問ができます。
是非就活で活用してみてください。
社会人に会いに行く(無料)

化学業界の今後の動向3選

‌化学業界は今後どのように展開していくのでしょうか。
志望している業界がある場合、その業界の今だけでなく今後について理解しておく必要があります。

特に化学業界は、社会情勢に影響されやすく、昨今大きく変化しているため、必ず見ておきましょう。

①石油化学基礎製品が好調

‌2021年から2022年にかけて、化学業界は「石油化学基礎製品」が好調でした。

「石油化学基礎製品」とは、原油由来の「ナフサ」を分解してつくられた、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどを指します。

好調であった背景は、世界的に供給不足となっていた半導体や自動車向け半導体の業績がアップしたことです。

②ベンチャー企業の出現

‌近年、革新的なデジタル技術をコアにしたベンチャー企業が注目されています。
取り組みの遅れていた素材産業においても、ベンチャー企業の育成が進むとともに、それらを積極的に活用する動きが活発化しました。

取組事例として、マイクロ波を活用した製品製造プロセスの高度化・合理化などを行うスタートアップ企業「マイクロ波化学株式会社」は、2021年6月から三菱ケミカルグループと事業化に向けた実証試験を進めています。

ベンチャー企業と大手化学メーカーが協業することによって、化学業界の可能性の幅を広げているのです。

③デジタル人材の獲得・活用・育成

化学製品・材料の開発過程におけるDX化を推進し、材料開発を加速させることを目的とし、デジタル人材の活用・獲得・育成を進めています

これまでは、経験と勘に基づく開発で地道な実験や手作業でのデータ整理が行われていました。

ただ、その開発方法だと開発速度に遅れが生じ、コストも高くつきます。

そこで、デジタル化を推進することで、単一工程の組合せを最適設計し時間の短縮、また実験にかかるコストを低くすることが可能です。

化学業界でデジタル人材(DX人材)の獲得・活用・育成が進められています。

化学業界の課題2選

‌化学業界が抱えている課題について、下記の2点について解説します。
①CO2排出量の削減
②原材料の市況に影響を受ける

詳しく解説します!

①CO2排出量の削減

‌日本国内のCO2排出のうち、35%を産業部門が占め、そのうち化学産業は15%を占めています。
年々少しずつ削減しているものの、欧州や米国を中心に動きは広まっているため、業界として無視はできません。

②原材料の市況に影響を受ける

‌原材料である原油や天然ガスなどの価格は近年値動きが激しく、収益・価格の安定という課題があります。
‌【出典】THE WORLD BANK ‌
‌価格変動に対する課題への対策として「フォーミュラ制」が浸透しています。
「フォーミュラ制」とは、原材料価格を自動的に製品の販売価格に転嫁させることです。

ただ、機能製品分野でいまだフォーミュラ制の導入があまり進んでいないため、制度の整備が課題となっています。

化学業界の売上高ランキング

‌化学業界の中で、どの会社が売上高が良いのか、下記のランキングをご覧ください。
‌【出典】業界動向サーチ「化学業界の動向やランキング、課題などを分析」
‌売上高は前年度と比較して全体的に上がっていることがわかります。

また、総合化学メーカーは幅広く化学製品を開発できる点から、売上高とシェア共に、高い傾向です。

化学メーカー大手5社の強みと特徴

‌化学業界の売上高ランキング上位5社の強みと特徴について解説します。

是非、企業研究の参考にしてみてください。

①株式会社三菱ケミカルホールディングス

‌株式会社三菱ケミカルホールディングスは、国内最大手の化学系企業グループです。
主要事業は多岐に渡り、食品や医療品のためのラベルやフィルム、自動車や航空機に用いる高機能ポリマーなど、機能商品が有名で、売上高の4分の1は機能商品が占めています

三菱ケミカルは、三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの合併により、経営資源を最大限に活用してるのです。
そのため、素材を生み出す開発力や技術力の高さは、競合他社と比較をしても圧倒的と言えるでしょう。

三菱ケミカルHDの傘下には、日本合成化学工業や日本ポリケム、ITソリューション企業のアルファテック・ソリューションなどがあります。

②住友化学株式会社

‌住友化学は、幅広い技術基盤を活かした開発力を強みとし、石油化学からエネルギー・機能材料を始め、健康・農業、医薬品と様々な分野で活躍しています。

エネルギーや電子に留まらず、バイオサイエンスの分野でも有名で、国内外でも広く活躍している点が特徴です。
幅広い分野で活躍しているため、研究職が活躍できるフィールドが、多彩に用意されています。

今後もソリューション技術を活かした開発力で、新しい素材や製品が作られることは期待できるでしょう。

③信越化学工業株式会社

‌信越化学工業は、社会基盤を支える塩化ビニール樹脂やシリコーン樹脂、電子材料の分野が有名です

あらゆる分野で広く利用される塩ビやシリコンなどの汎用素材と、半導体など先端技術分野で使用されるシリコンウエハーなどを主要事業とし、時代の変化に強い経営基盤が強みとしてあります。

また、2022年の時価総額と営業利益は化学メーカーとして国内最大です。
今後、企業として大きくなっていくことが期待されています。

④三井化学株式会社

‌三井化学の強みは機能性材料に力を入れていて、自動車向けのバンパー材料や眼鏡レンズ材料、衛生材料用不繊布など、私たちの生活に身近な素材・製品が有名です。

国内外でも活躍していて、世界で見たシェアランキングでは、メガネレンズ材料が世界1位、自動車材PPコンパウンドは世界2位、衛生材料用不繊布はアジア2位を誇っています。

現在もグローバルな事業展開に積極的であることも特徴です。
15カ国・地域に拠点を置いており、三井化学発足当時の1997年には17%であった海外売上高比率も、2021年度には48%と拡大しています。

⑤旭化成株式会社

旭化成は幅広い分野で活躍する中で、特にマテリアル領域に強みを持ち、主要分野であることが特徴です。
マテリアル領域のなかで、基盤マテリアル事業・パフォーマンスプロダクツ事業・スペシャリティソリューション事業・エレクトロニクス事業に分けられています。

ケミカル・テクノロジーがベースとなり、独自に発展させた技術を融合させコア・テクノロジーを確立してきました。
今後も独自の研究開発で、新しい素材・製品開発が期待できます。

化学業界で働く社員に話を聞いてみよう

‌化学業界について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
近年化学業界は、中国が進出しシェア率を伸ばすなど、競争が激化しているため、各メーカーは新しい素材・製品・技術の開発に急いでいます。

そのような状況のなかで、どのような分野に力を入れていくのか、どのような人材が必要かは各メーカーで異なるため、自分が志望する企業で働く社員に聞いてみることがおすすめです。

是非Matcherを使って、志望する化学メーカーの社員・内定者に話を聞いてみてください。

Matcherとは

Matcherは大学・学部・学年関係なく、志望する業界や企業の社員・内定者にOB・OG訪問ができるサービスです。
業界や企業の情報だけでなく、志望動機の添削や面接の対策を依頼することもできます。

Matcherを使って効率的に就活を進めてみてください。

【‌社会人の所属企業一覧(化学メーカー一部)】
三菱ケミカルホールディングス、旭化成、東レ、帝人、三井化学、住友化学、クボタなど
社会人に会いに行く(無料)



記事一覧