化学業界の現状・課題と今後の動向

2023/07/18
化学業界
メーカー
目次
1.
日本の産業を支える化学業界
2.
‌そもそも化学業界とは?
3.
‌化学業界の現状と課題
4.
化学業界の今後の展望
5.
‌化学業界をより深く知りたい方へ

日本の産業を支える化学業界

日本の産業を支える化学業界

「化学業界ってそもそも何?」
「化学業界にはどんな企業があるの?」

化学業界と聞いてこのようなイメージを持たれた方は多いのではないでしょうか?同じメーカーでも食品・飲料業界などとは異なり、製品が身近に感じられないため、いまいち理解できていない方は少なくないでしょう。

しかし、実は私たちの身近には化学業界の製品が多くあり、生活を支える重要な役割を果たしています。

この記事では、化学業界の構造や現状や課題、今後の動向についてわかりやすく解説します。

‌化学業界を志望する方であれば、知っておかなければならない知識ばかりです。ぜひ最後まで読み、化学業界への理解を深めてください。

‌そもそも化学業界とは?

「化学業界」と言われても、実際に何をしているかイメージできない人は多いでしょう。そこで、ここでは化学業界に属する企業(以降化学メーカー)が何をしているかについて説明します。

‌化学業界における化学メーカーの役割

化学業界に属する企業(以下化学メーカー)はそもそも何を製造しているのでしょうか?

‌日本化学工業協会は、化学メーカーが担う化学工業を以下のように言及しています。

日本の化学工業はあらゆる産業の米として、様々な機能を持つ素材の提供を通じて産業全体のイノベーションを支えています。
出典:JCIA 日本化学工業協会「グラフでみる日本の化学工業2017」(参照日:2018年3月24日)

‌この文章だけだとイメージがつかないと思うので、具体例を用いて説明をします。

‌ここでは、みなさんも一度は手にとったことがあろう旭化成の製品「サランラップ」を題材にしてみましょう。以下は旭化成プロダクツの「サランラップの豆知識」から引用したものです。

‌①石油精製と合成

石油を精製・分解してエチレンとし、更に化学変化させて塩化ビニリデンにします。

②重合

塩化ビニリデン(A)を重合して、ポリ塩化ビニリデン(B)を生成します。
これが、サランラップの原料になります。

③溶融押出し

ポリ塩化ビニリデン(B)を加熱して溶かします。ふくらませてフィルム状にし、巻き取ります。

④巻き直し・裁断

その後、巻き取られたフィルムをサイズに合わせて巻き直します

⑤箱詰め・出荷

サランラップを箱に詰め、商品として出荷します。

‌出典:旭化成ホームプロダクツ「サランラップ®の豆知識」(参照日:2018年3月24日)

‌サランラップは以上の5ステップで製造されます。このうちの①、②を担当する箇所が化学メーカーの役割です。みなさんの手に届く製品の素材・原料となる部分を化学メーカーが担当し製造すると言えます。

この例をさらに具体化させて説明をします。まず、石油を精製した際に取り出されるものがナフサ。このナフサをエチレンプラントで分解をし、できたものがエチレンであり、基礎化学品と呼ばれるものです。このエチレンを二次処理したものが②の塩化ビニリデンであり、誘導品と呼ばれます。

まとめると、原料をもとに基礎化学品を精製し、それに処理を加えることで誘導品を作ります。この誘導品が先程あげたサランラップ等の原料となり、加工をされ、みなさんの見慣れた製品の形になって届けられるのです。

このように、化学の技術によって他の産業を支える原料を提供することが化学業界における化学メーカーの役割と言えるでしょう。

化学メーカーの代表的な企業

三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー、昭和電工、カネカ、信越化学工業、ADEKA、日立化成、宇部興産

‌化学業界の現状と課題

ここまで化学業界の構造について解説してきました。ここからは化学業界の現状と課題について解説をしてきます。化学業界、特に石油化学分野について、現在どのような状況に置かれているのか客観的に把握して、キャリア選択の参考にしてください。

国内市場の停滞と海外市場の伸長

化学業界の現状
出典:METI 経済産業省「世界の石油化学製品の今後の需給動向」(参照日:2018年3月24日)

経済産業省が出したレポートから抜粋した表です。現在国内での石油化学製品の需要が低迷しており、低い成長率となっていることがわかります。対して、海外市場は緩やかにですが伸び続けていることがわかるでしょう。

海外勢の競争力向上

化学業界の課題
出典:METI 経済産業省「世界の石油化学製品の今後の需給動向」(参照日:2018年3月24日)

‌上記の表からわかるように、北米や中国の生産能力向上も日本企業にとって脅威といえるでしょう。北米のシェールや中国の石炭化学によるプラントの生産能力の増加が主な要因のようです。これにより、安価な基礎化学品が国内市場に流入。さらなる価格競争が行われることが予想され、日本企業は対策が求めらます。

化学業界の今後の展望

石油化学製品の競争激化や国内需要縮小に伴い、化学メーカーは事業ポートフォリオの見直しが求められています。実際に住友化学の中期経営計画で「将来の核となる新規事業の育成」と述べられているように、事業の変革が求められるでしょう。
‌出典:住友化学「中期経営計画」(参照日:2018年3月24日)

‌化学業界をより深く知りたい方へ

ここまで化学業界の構造。そして化学メーカーが置かれている現状や課題、今後の展望についてお伝えしてきました。みなさんが少しでもわかりづらい化学業界についての理解を深められていれば幸いです。

しかし、今回の記事では石油化学製品に焦点を当てており、まだ化学メーカーの構造を完璧に理解したとは言えないでしょう。そんなときにおすすめなのが、就活相談プラットフォームのMatcher(マッチャー)です。
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‌‌社会人の所属企業一覧(化学業界一部)
三菱ケミカルホールディングス、東レ、帝人、旭化成など

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