【5分で読める】証券業界の特徴や強みとは?大手5社を徹底比較

2023/07/18
証券業界
業界の仕事内容
金融業界
目次
1.
そもそも「証券」とは?
2.
株式投資と銀行預金の違いは?
3.
‌証券会社の種類と強み
4.
証券投資は国の経済発展にとっても重要なこと
5.
‌証券業界の仕事と仕組み
6.
‌証券業界の業界構造
7.
‌証券業界の関連業界
8.
証券業界のやりがいとは?
9.
証券業界の大手5社の年収・強みを徹底比較
10.
Matcherに登録して証券業界を知ろう

そもそも「証券」とは?

‌そもそも「証券」とは何のことなのでしょうか?

証券は一般的には有価証券のことを指します。
‌簡単に言えば、紙幣ではないけれども、基本的には紙幣と同等の価値を持つものことという捉え方で問題ないでしょう。

‌例えば、国債・社債(国や株式会社の借金のこと)や株式、投資信託のことを言います。この中でも証券会社がメインで扱うのは株式になりますので、この記事では「証券=株式」と理解して読み進めてください。

株式投資と銀行預金の違いは?

上では、証券は「紙幣と同等の価値を持つもの」と説明しました。それでは、証券とお金、もっと言えば「株式投資」と「銀行預金」にはどのような違いがあるのでしょうか?

‌ここでは、所持金10000円の2人がいることを想定して、株式投資する場合と、銀行預金する場合を見比べてみましょう。
株式投資と銀行預金の違い


‌‌①株式投資の場合

‌所持金の10000円を使ってA社の株式を100株購入しました。これを株式投資と言います。購入当時は1株100円。株を購入してから1年が経ち株を売却したと仮定しましょう。

‌証券の最大の特徴は、証券そのものの価値が変動するということ。今回の例で言えば、1株100円で買った株の値段が1年後に120円になる場合もありますし、1株80円になる場合もあるのです。

先ほど、証券とは「紙幣ではないけれども、基本的には紙幣と同等の価値をもつもののこと」と定義しました。たしかにお金と同様に、それだけで価値のあるものですが、上記のように価値が変わるものだということを押さえておきましょう。

‌②銀行預金の場合

‌こちらは、所持金の10000円をそのまま銀行の口座に入金しました。これを銀行預金と言います。家の中のタンスや貯金箱にいれておく「タンス預金」と違って利子がつきますが、利子率は年0,001%程度(2018年3月15日現在)ですので、利子で多く収入を得るということは現実的ではありません。

‌証券のの場合は数日・数時間という単位で価値が変動しますが、銀行預金の場合は、基本的には価値が一定です。

株式投資した方が良いか、はたまた銀行預金した方が良いかは一概には言えません。ただ所持金を増やしたいと考える人にとっては、株式投資を行うことで実現できる可能性が発生することを押さえておきましょう。証券会社で働く場合は、株式投資をすることで資産を増やすことができるという立場を取ることになるはずです。

‌証券会社の種類と強み

‌証券会社は、全国で約268社(2019年)もあり、数がとても多いです。
数が多い分、種類も多く、大手から銀行系、準大手と様々あります。

それぞれどんな特徴があるのかを理解しておきましょう。

大手独立系

大手独立系の証券会社とは、他社と資本関係を結ばない、国内最大手規模の証券会社のことです。
個人投資家を対象とするリテール業務をはじめ、海外を拠点とした業務など、様々な業務を取り扱います。
【企業例】野村証券、大和証券

大手独立系の強み

独立系証券会社の強みは、親会社からの出向がないという点です。
銀行系の証券会社は、親会社である銀行から各役職員が配置される可能性がありますが、独立系は実力次第での早期的な出世を見込めます。

そのため、出世願望が強かったり、仕事を通して挑戦を求めてたりする就活生にとってはメリットになっています。

銀行系

銀行系証券会社とは、メガバンクのフィナンシャルグループに属する証券会社のことです。
銀行系の証券会社は、銀行との連携を強めることで、大手独立系に次ぐ大規模な事業を展開していることが特徴です。
【企業例】みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン

銀行系の強み

銀行系証券は、銀行から顧客紹介を受けることが多いです。
例えば、銀行顧客(個人・法人)が試算運用ニーズを持っていた場合、銀行支店から証券会社支店に繋いでもらえます。

そのため強みは、顧客基盤が安定しており、特にメガバンクの場合、顧客に大手企業が多いため大きな案件に関わることができる点です。

準大手

国内証券会社のうち、国内大手独立系、銀行系に次ぐ規模で事業を展開するのが準大手の証券会社です。

地域の顧客基盤を活かし、地域密着型のリテール業務に力を注ぐ会社が多い点が特徴と言えるでしょう。
【企業例】藍澤證券、いちよし証券、岩井コスモ証券

準大手の強み

大手と同じく顧客基盤が安定しており、規模は小さいものの地域密着型であるため、地域発展に貢献することができます。

外資系

外資系証券会社とは、外国法人または外国人が一定以上の割合で出資を行っている証券会社のことです。
外資系証券会社の中には、大企業や機関投資家、公共機関などの顧客を対象としたホールセール業務など、収益性の高い業務に力を注ぐ会社もあります。

【企業例】BNPパリバ証券、BofA証券、JPモルガン証券

外資系の強み

海外の企業の案件を任せてもらえることが多く、また様々な人種の人と働くことができます。
給与水準も高く、実力主義で年功序列の要素はないので、若いうちから活躍したいという方には向いているでしょう。

ネット証券会社

対面式の営業は設置せず、インターネット上で金融商品の仲介を行うのが、ネット証券会社です。
一般的にネット証券会社では、営業職ではなく、カスタマーサポートやIT系の職種をメインに採用活動が行われます。

また、楽天証券やSBI証券のような、グループ会社はグループ全体で採用活動が行われる可能性があり、必ず証券会社に配属されるとは限らないので、注意です。

【企業例】楽天証券、SBI証券、LINE証券

ネット証券会社の強み

インターネット取引を行っている会員数や取引口座数は、毎年増加傾向にあり、今後も成長していく見込みです。


また、ネット証券は利用者のほとんどが一般の人であることから、アプリ・サービス開発などに力を入れています。

証券投資は国の経済発展にとっても重要なこと

いきなりですが、みなさんは、「お金とは国家の血液である」という言葉を聞いたことがありますか?

‌この言葉を読み解くと、証券会社の社会的な意義がわかってきます。

理科の授業で習いますが、人間は生きていく上で血液循環が必要不可欠です。血液は心臓という力強いポンプがあるおかげで循環していきます。これは国家にとっても同じこと。お金という血液を循環させていかなければ、国家は衰退していきます。そのお金を循環させる役割を担っているのが金融機関、その中でも特に証券会社になるでしょう。

まずは以下の図をご覧ください。
日本の証券業界が抱える構造的な問題出典:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」をもとに作成

‌この図はアメリカとヨーロッパ、日本において個人資産がどのように使われているのかの割合を表したもの。アメリカは証券に52%も割かれているのに対し、日本はわずか17%。血液の流れが良いアメリカと流れが悪い日本という構図がわかるでしょう。

ドロドロな血液とサラサラな血液。本当にこの血液の差は経済的にみて影響があるのでしょうか?ここで全世界の時価総額ランキング(会社の価値を金額で評価した指標のこと)をチェックしてみましょう。
世界の時価総額ランキング記載されている、1~6位の企業はどれもアメリカ発の企業。加えて設立間もない企業であるということもわかります。一方、日本は歴史のあるトヨタ自動車が38位にランクイン。

‌もちろん技術者の質、技術革新が生まれやすい風土など様々な要因は考えられます。ただ資産を保有している人が、お金を欲しているベンチャー企業に投資していく風潮があることも事実。アメリカの企業が加速度的に発展していくことに、証券会社は貢献しているわけです。

‌そのため、証券会社に入社して、証券投資の必要性を国民に訴えることで、‌国家の経済発展に寄与するというやりがいは他の業界には変えられないところがあるでしょう。

‌証券業界の仕事と仕組み

証券業界・会社ではどのような仕事を行っているのか、どのような構成で運営しているのかご存じでしょうか。
証券業界には主に、以下のような業務があります。

①ブローカー業務
②ディーラー業務
③アンダーライター業務
④セリング業務
⑤投資銀行業務
ちなみに、①〜④の業務全部を行っている証券会社を「総合証券会社」といいます。

各業務について、詳しく解説していきます!

①ブローカー業務

ブローカー業務は、株式を買いたい・売りたいという人々の注文を広く受け付け、それを証券取引所に伝えるという、いわば人々の代わりに取引を成立させる仕事です。

証券会社の本業ともいえます。
仲介したときに人々から受け取る手数料は、証券会社の大きな収入源です。

②ディーラー業務

ディーラー業務は、証券会社自身のお金で株式を売ったり買ったりする仕事のことです。
この業務は株式などを売買することで収益を得たり、証券会社自身が取引に参加したりすることで、売買が成立しやすくなるようにしています。

③アンダーライティング業務

アンダーライティング業務は、株式を発行した企業から、株式を買い取って、それを広く人々に売る仕事のことです。

証券会社は、会社が株式を発行してお金を集めるのを手助けすることも重要な仕事です。
株式を発行した会社が買ってくれる人を自分で探すのは手間や時間がかかるため、株式の専門家である証券会社が株式を買ってくれる人を探します。

④セリング業務

セリング業務は、新たに発行された株式を一時的に預かって、買ってくれる人を探して売る仕事のことです。

⑤投資銀行業務

M&Aの仲介や助言、企業の資金調達に対する支援、財務面での助言、金融技術の開発などを通じ、金融・業務の幅広い局面で顧客企業を支える業務のことです。

‌証券業界の業界構造

個人においても、国家的な規模においても証券投資が必要な理由を理解していただけたと思います。それでは次に、証券業界の業界構造について理解を深めていきましょう。証券会社が活躍するフィールドは大きく分けて以下の2つ。

‌①株式を発行する際の発行市場
‌②すでに発行されている株式の取引を行う流通市場

‌両方の市場における証券会社の立ち位置を図で確認していきましょう。

‌①発行市場

証券会社の業界構造株式会社は資金調達(ビジネスを行なっていく中でお金が必要になり、その資金を獲得すること)をしたいと考えたときに、株式を発行し投資家の方に買ってもらことでお金に変えようとします。

‌もちろん、「成長しそうな会社の株(先ほどの例で言えば、1株120円になりそうな株)を買いたい」というニーズはありますので、この取引は成立。
‌証券会社はこの取引の間に入り、売り買いのサポートをすることで、主に手数料で収益をあげていきます。

‌②流通市場



証券会社の業界構造流通市場とは、すでに株式が発行され、現在は流通している市場ということです。
‌投資家の収益は、こういった株の売買によるもの。安い時に株を買って高い時に売れば収益を得られるでしょう。

‌証券会社は、投資家と証券取引所の間に入り、株式売買の委託業務を行なっていき手数料を稼いでいきます。

‌発行市場、流通市場とも、株式発行や株式売買のサポートをすることで収益を得ていることが多々。もちろんこのほかにM&A(企業の買収・合併を行うこと)業務等もありますが、その部分は インベストメント・バンキング、リサーチ部門の仕事内容の記事で解説します。‌

‌証券業界の関連業界

証券業界とつながりのある業界について、ご紹介します。

都市銀行

銀行と証券会社が協業する「銀証連携」が進んでいます。
ちなみに、都市銀行のグループに属する証券会社も多いです。

生命保険・損害保険

証券会社の中には、年金保険や終身保険といった商品を手がけるところがあります。
一方で、投資信託を扱う生命保険会社もあり、競合が激化している状況です。

不動産

証券会社が扱う不動産投資信託は、日本や海外の不動産への投資によって得た収益を関節的に投資家に分配するものです。
少額からでも始めることができ、通常の投資信託同様、個人投資家にも人気があります。

IT

ネット証券など、証券業界でもインターネットを活用したサービスの充実が求められており、今後IT系企業と協力する機会は増えるでしょう。
楽天証券やLINE証券のように、大手IT企業が証券を始めています。

証券業界のやりがいとは?

学生が普段生活の中で、証券業界と直接的に関わる機会はなかなかないため、仕事のやりがいや達成感についてあまりイメージできないという方も多いのではないでしょうか。

証券業界で働くやりがいや達成感には以下のようなものがあります。
・顧客に感謝されたとき
・優秀な成果を出すことができたとき
・お金に関する知識が広がったとき

ただ、やりがいを感じる瞬間は、人や会社ごとに異なるため、志望している証券会社で働く人に聞いてみるといいです。
OB訪問などで、仕事のやりがいや達成感について是非聞いてみて下さい。

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証券業界の大手5社の年収・強みを徹底比較

証券業界を志望している学生の中には、年収の高さに魅力を感じている方も多いのではないでしょうか。
証券業界は比較的、高水準の年収といって問題ありません。
‌以下の表は、証券業界の平均年収ランキングです。
‌【参考】業界動向サーチ「証券業界 平均年収ランキング2021-2022」
‌また年収のランキングとは別に、就活生に人気の大手証券会社5社の強みについて、紹介します。
①野村HD
②大和証券
③SMBC日興証券
④みずほ証券
⑤三菱UFJモルガン・スタンレー証券

①野村HD

野村證券は営業に強みを持っています。
営業収益は、大手競合と比較をしても圧倒的に高く、2位のSBIホールディングスが7,636億円に対し、野村ホールディングスは1兆5000億超えです。

ネット証券の人気が高まっている中で、大手IT企業LINEと共同出資でLINE証券を立ち上げました。

DXへの取り組みにも積極的で、マネーフォワードとともに制作した資産管理アプリ「One Stock」や野村證券の独自リサーチを含めた幅広いコンテンツを発信している投資情報アプリ「FiTOS!」などの開発もしています。

②大和証券

大和証券の強みは、組織力にあります。

大和証券には、組織とその構成員を尊重する文化があり、大きな案件をプロジェクトメンバー総勢で取り掛かる姿勢が根付いています。

国内での営業に力を入れているということもあり、国内の営業基盤があることも強みです。

③SMBC日興証券

三井住友銀行のグループということもあり、銀行との連携力が強く、三井住友銀行の顧客を取り入れているなど、安定した顧客基盤があることが強みです。
また、ホールセール部門は、国内屈指のプレゼンスを誇っています。

④みずほ証券

みずほフィナンシャルグループ一体で戦略を推進するなど、みずほグループの各社が積極的に連携していることから、サービスの幅の拡大や様々な顧客の要望に応じやすいという強みがあります。

また、みずほ証券は大きな案件のみならず小さな案件でも積極的に取り組んでいることも特徴です。

⑤三菱UFJモルガン・スタンレー証券

国内最大手の三菱UFJ銀行がグループにいることから、安定した顧客基盤と、大手企業や大きな案件を任せてもらえるといった強みがあります。

また、海外のネットワークも広く、世界で40か国以上の繋がりがあることも特徴です。
M&A部門に強く、アドバイザーの取引金額は4.5兆円で、この金額は国内1位となっています。

Matcherに登録して証券業界を知ろう

証券業界について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
証券業界は、時代の流れに伴って変化していくため、常に動向を探る必要があります。

そのため、証券業界を志望している学生は証券業界で働いている社員に業務内容や求められるスキルなどを聞いておくことが重要です。

Matcherでは、証券業界で働いている社員や内定者にOB・OG訪問することができます。
是非Matcherを使って、企業研究など就活を進めてみてください。

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