就活生が知っておくべき通信業界の仕事内容

2023/07/18
通信業界
業界の仕事内容
目次
1.
はじめに
2.
通信業界の構造はどうなっている?
3.
‌通信業界が持つビジネス上の特性とは?
4.
‌固定通信を扱う企業の種類
5.
通信業界での気になる職種・仕事内容
6.
もっと深く通信業界について知るために
7.
‌さいごに

はじめに

技術進歩によって激しく変化する通信業界。前回記事では業界の全体像を把握しました。

‌この記事では、固定通信を中心に扱う企業の収益構造、仕事内容についてご紹介します。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて通信インフラの整備や活用はより活発に行われています。

‌ぜひ記事を読んで、通信業界の企業に就職したらどのような仕事をすることになるのか、イメージできるようにしておきましょう。

通信業界の構造はどうなっている?

通信業界の仕事内容を説明する前に、サービスがいかにしてユーザーに届くのか、その商流についてお伝えします。
固定回線が通信事業者からユーザーに渡るまでの流れは以下の2パターンです。

①通信事業者 →ユーザー 

1つ目は、通信事業者が直接ユーザーと契約するパターン。
通信事業者の主な収益源は、通信事業者が自社で日本各地に敷設した回線をユーザーに貸し出すことで生じる利用料。具体的には、NTT東日本・西日本や電力会社系の通信事業者のように自社で固定回線設備を持つ通信事業者が、そのままユーザーと契約をする形になります。

②通信事業者 → 他の事業者 → ユーザー

もう1つは、通信事業者がユーザーに対して他の事業者にサービスを提供するパターン。
代表的な例が、NTT東日本・西日本が始めたの光回線の卸売り、「光コラボレーション」です。この取り組みにより、通信事業者が他の事業者に光回線を販売することができるようになりました。これによって、警備会社や携帯会社などが光回線を購入し、自社サービスの一環としてユーザーに販売できるようになったのです。

‌通信業界が持つビジネス上の特性とは?

通信業界での収益の大部分は、みなさんがご家庭で支払っている月額の通信料によって占められています。一度敷設してしまえば新たに大きな設備投資をする必要はなく、ユーザー数が増えれば増えるほど利益になるのが通信インフラの特徴。売上を求める式は以下のようになります。

売上=ユーザー数 × ユーザー1人当たりの売上

‌通信事業者が他の事業者に販売をしてもらうのは、上記の算式の「ユーザー数」を増加させるため。通信事業者にとっては自社で営業をせずに光回線の利用者が増えるため、営業利益の増加に繫がるというメリットを享受できるのです。

‌通信事業者の収益の大部分が通信料ではあるものの、それ以外にも、AIを活用したロボットを開発したり、企業が抱える問題を情報技術(ICT)の力で解決するためのシステムやサービスを生みだしたりすることで収益化を図っています。

‌固定通信を扱う企業の種類

通信業界と聞いてみなさんの頭に浮かぶであろう3強、NTTグループ・KDDIグループ、ソフトバンクグループ以外にも通信事業者は存在します。
‌1985年の通信自由化で通信事業が国営から民営化され、相次いで異業種からの新規参入が起こりました。地域ごとに電力供給を行っていた電力会社が提供する光回線は、西日本中心に現在も利用されています。

固定通信事業者の3大勢力

固定通信業界最大手は、何と言ってもNTTグループ。元国営で国内の通信事業を独占的に担っていたこともあり、現在も光回線では業界7割のシェアを占めています。
‌一方、かつて国際電話を独占的に担っていた国際電信電話公社が合併を繰り返してできたKDDIグループは、ケーブルテレビとの連携を強化しています。
大手IT企業のヤフーを擁するソフトバンクは、通信自由化の後、鉄道を利用して参入した日本テレコムが起点となって通信事業に参入。

‌これらの3企業が各々の戦略を持って収益拡大向けて事業を運営しています。

電力会社系の光回線事業者

固定通信事業を展開するのは、上記3社だけではありません。
‌電力会社系の光回線事業者は、通信事業の自由化による参入の中で、電力会社9社が設立した企業のことを指します。電力会社は既存の事業で用いていた電力業務用の光ファイバーを通信に使用できたため、新たに回線を敷かずに参入が可能でした。

正式には電力会社のグループ会社が光回線を利用してインターネットの接続サービスを提供しています。電力会社が地域ごとに分かれているため、電力会社系の光回線事業者も、決まった地域内での提供となります。

電力会社系の光回線事業者の中の代表的な企業

‌ケイ・オプティコム、中部テレコミュニケーション、九州通信ネットワーク、STNet

通信業界での気になる職種・仕事内容

ここまで通信業界、特に固定通信を主とする企業の収益構造について解説してきました。ここからは、通信事業者のなかでどのような職種があるのか。各々の仕事内容についてお伝えします。

‌通信事業者で必要不可欠な職種を大きく文系・理系に分けて見ていきましょう。

【文系】 事務系総合職

文系出身の方が担当する仕事の多くは以下の通りです。

営業職

どこの業界でも営業職は存在します。通信業界での営業は大きく、①法人や地方自治体向け②個人ユーザー向けに分けられます。

①法人向け
企業や地方自治体が抱える問題を情報技術(ICT)の力で解決するためのコンサルティング営業になります。新たな技術を用いたソリューションを提案したり、既存のサービスや技術を組み合わせたりして、法人のお客様のニーズに応えていきます。
②個人ユーザー向け
みなさんが、家庭で使用している回線がこれに当たります。一般的に通信事業者との直接の回線契約、もしくは他の携帯電話などのサービスに付随する形で回線契約をすることが多いです。代理販売を行う事業者との交渉や販売活動を促進するためのアドバイスなども、営業の仕事の一環になります。

商品・サービス企画職

通信料以外の収益を生み出すための施策を練るのが企画職。異業種とのアライアンスや情報技術を利用した新商品の企画を担当し、自社の可能性を広げていくために重要な役割を果たします。

カスタマーサービス

ユーザーの満足度向上のために、電話やメール、SNSなどの窓口を通してユーザーをサポートする部隊です。情報技術の進歩で私たち生活は便利になる一方で、通信障害などのトラブルや、機械の操作方法が分からないといった問題はつきもの。ユーザーが困った時にいち早く悩みを聞いてくれるのがカスタマーサービスです。

【理系】技術系総合職

理系出身の場合は通信インフラの開発や整備といった現場での仕事や、実際の運用がメインになります。代表的な職種は以下の通りです。

システムエンジニア

主に企業が抱える問題を解決するための情報システムを構築する際、より深い要望を聞き、システムの構築から運用・保守までの過程を担います。プロジェクトごと担当するため、幅広い知識とコミュニケーション能力が大切です。文系出身者でもシステムエンジニアになれる場合がりあます。

研究開発職

ユーザーにより快適な通信環境を提供するために、日々通信技術の研究開発を行う仕事です。技術のみならず、企画部門からの提案を受けて、お客様のニーズに沿ったサービスや商品、情報システムの開発も担います。

設備建設

実用化されたネットワークインフラの設置や、新しい通信規格になった際の新規格への更新作業を担います。建物内や道端で、企業名の書いた服を着た方が回線を工事いている姿を見かけたことはありませんか。設備建設は「ネットワーク構築をしたい」というニーズに応え、全国各地に回線を敷設または撤去する、なくてはならない存在です。

システムの保守・運用

システムの保守・運用とは実際にユーザーのもとに届いたシステムや、全国に敷設された固定回線の保守・運用のことです。通信障害などの問題発生時には即時に対応できるよう、24時間体制で管理を行っています。

もっと深く通信業界について知るために

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さいごに

時代背景ととも大きく変化する通信業界。この記事では、通信業界の構造や、職種について詳しく説明してきました。複雑であるが故に、通信業界で何がでるのか不明瞭ない人は多かったのではないかと思います。

‌この記事で書かれたことを元に現場の人にお話を伺い、より通信業界への理解を深めてください。



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