国家公務員の職種(仕事内容)とは?試験対策についても解説
2023/07/25
目次
1.
国家公務員とは?
国家公務員とは、国の機関に所属する公務員のことです。
人事院によると国家公務員の仕事は
・生活を守り豊かにするニーズの探索
・粘り強く着実な政策の形成・実現
・公正・確実な政策の実施
の大きく3つです。
円滑な国家運営や将来の政策の策定など国家公務員は重大な役割を担っています。
下図の通り、国家公務員は総理大臣から一般職まで様々な職種がありますが、この記事においては国家公務員総合職・一般職・専門職にフォーカスして解説しています。
【参考】人事院 国家公務員試験 採用情報NAVI『国家公務員の紹介』国家公務員の職種、仕事内容は?
国家公務員には大きく、総合職、一般職、専門職の3つが存在します。
ここではそれぞれの職種の存在意義、役割を解説します。
なお、各省庁によって具体的な業務内容は大きく異なるため、必ず各省のパンフレットや説明会を参考にするようにしてください。
国家公務員総合職
国家公務員総合職は、政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする係員と定義されています。
いわゆる「キャリア官僚」は国家公務員総合職のことです。
国会に提出される法案や予算編成の素案を作成したり、国会の答弁の対応を行うなど、業務の内容は広範かつ高い専門性があります。
基本的に2年単位で部署異動があり、ジェネラリスト(スペシャリストの対義語、職種や部署の移動を多く行い、広く全般的な知識や技能を身につける人のこと)としてのキャリアを積むことが期待されているのです。
国家公務員一般職
政策の実行やフィードバックなどに関する事務をその職務とする係員と定義されており、政策の運用や事務作業など、総合職のサポート業務を担います。
職場は中央省庁(本府省)と地方機関(出先機関)とに分かれており、本府省採用かブロック採用課によって勤務地が変わります。
原則府省・地域を超えた移動はありません。
特定のポストのスペシャリストとしての成長を期待されます。
国家公務員専門職
国家公務員専門職は、特定の行政分野に係る専門的な知識を必要とする事務をその職務とする職員と定義されています。
国家公務員専門職の主な職種として「国税専門官」「財務専門官」「労働基準監督官」「皇宮護衛官」「外務省専門職」などがあります。
国税専門官
日本の財政基盤を支えるべく、納税者の納税義務の履行を促します。
税務のスペシャリストとして税務調査や、滞納処分などを担います。
国税専門官として23年間働くと、税理士試験での税法の全科目が免除になることも特徴です。
財務専門官
財務局において、財政に関する業務や、金融に関わる業務に従事しています。
また、地域経済情勢の調査・分析、財務省・金融庁の施策の広報といった業務を担う場合もあるようです。
労働基準監督官
国内の企業に労働基準法、労働安全衛生法などを順守してもらい、労働条件の改善や労働者の安全確保を果たします。
勤務地は各地の労働局や労働基準監督署です。
労働基準法などの法律違反の罪について、特別司法警察職員の職務を行うことも特徴です。
(特別司法警察職員とは、警察官ではないが特定の法律違反について捜査する権限を持つ公務員・民間人のこと)
外務省専門職員
外務省専門職員の活躍するフィールドは海外と本省の2つあります。
海外においては、相手国政府との交渉や、通訳に従事。
本省では語学力を生かして政策の立案に携わることになります。
その他の専門職については人事院のサイトを参考にしてみてください。
【参考】専門職試験(大卒程度・高卒程度)
国家公務員の働き方|給与、福利厚生など
ここからは国家公務員の働き方や待遇について解説します。
労働状況
国家公務員の勤務形態・時間については各種法律によって厳格に定義されています。
勤務時間
勤務時間
1日7時間45分(週38時間45分)
休暇
土曜日、日曜日及び祝日等の休日
※勤務形態・職種・申請によって変動あり
これに加えワークライフバランス担保のため、育児休暇、介護休暇等が認められているようです。
給与
国家公務員の給与は、基本給(俸給)と諸手当から構成されています。
出典:令和3年給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント
給料は年に1度改訂され、基本的に年功序列に応じての昇給です。
給料は年に1度改訂され、基本的に年功序列に応じての昇給です。
【参考】国家公務員の給与(令和4年版)
福利厚生
住居手当
借家・借間に居住する職員および単身赴任手当受給者であって、配偶者等が借家・借間に居住する職員対象で、最高28000円支給。
地域手当
民間の給与が高い地域に勤務する職員に支給。
扶養手当
扶養親族のある職員に支給。配偶者6,500円、子10,000円、父母等6,500円。
通勤手当
民間の通勤手当とほぼ同様の形式で支給。
単身赴任手当
単身赴任をする職員を対象に月額30,000円から100,000円を支給
広域異動手当
官署間の距離等が60km以上の広域的な異動等を行なった職員に対し、官署間の距離に応じて異動等の日から3年間支給。
国家公務員のキャリアパス
国家公務員のキャリアパスは入口によって大きく変わります。
総合職で入省した場合は、5年目以降から係長に昇進し、事務方のトップの事務次官のキャリアまで本人の努力次第で昇進できます。
一方で一般職は総合職に比較して昇進は緩やかであり、課長よりの上位のポストに届く人はごくわずかです。
【総合職編】国家公務員の選考ルート
まず国家公務員総合職の内定までの順序を説明します。
第1次試験
第1次試験は公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)を問う基礎能力試験、各試験の区分に応じて必要な専門的知識を問う専門試験が課せられます。
試験区分は院卒者試験と大卒者試験に分かれます。それぞれ、春季に第1次試験が行われる区分は以下の通りです。
【院卒者試験】
試験区分は院卒者試験と大卒者試験に分かれます。それぞれ、春季に第1次試験が行われる区分は以下の通りです。
【院卒者試験】
行政/人間科学/工学/数理科学・物理・地球科学/化学・生物・薬学/農業科学・水産/農業農村工学/森林・自然環境
【大卒程度試験】
政治・国際・人文区分/経済/人間科学/工学/数理科学・物理・地球科学/化学・生物・薬学/農業科学・水産/農業農村工学/森林・自然環境
このほか、秋季に第1次次試験が実施される区分として、院卒者試験の法務区分と大卒程度試験の教養区分があります。
法務区分は司法試験の合格者が対象となっており、教養区分は大学3年生から受験ができる制度であることが特徴です。
法務区分は司法試験の合格者が対象となっており、教養区分は大学3年生から受験ができる制度であることが特徴です。
第2次試験(筆記・政策討議・人物)
第2次試験では、記述式の専門試験や、政策討議試験、人物面での審査を行います。
この試験を通過すると最終合格になり、官庁訪問を実施できるようになるのです。
また、国家総合職試験では、TOEFL(iBT),TOEIC,IELTS,英検の一定基準以上のスコアを取得している場合、15~25点の加算が行われます。国家総合職試験の本番までに時間がある方は、ぜひ資格試験の受験をすると良いでしょう。
官庁訪問
官庁訪問とは、受験者が志望する省庁を訪問し、各省庁の職員から業務説明や面接などを受けていただくもので、志望する省庁に採用されるための重要なステップ(採用選考活動)です。(人事院「官庁訪問ガイドより抜粋」)
総合職の第2次試験を通過すると最終合格という扱いになりますが、ここからが本当のスタートです。
志望する官庁に訪問し、面接を突破することでようやく内定を勝ち取ることができます。
官庁訪問は第三クールまでのクール制をとっており、同クールに複数回同じ省庁に訪問することはできません。
(第3クールのみ同一省庁への訪問は2日間のうち1回まで(同一省庁に翌日訪問不可))
(第3クールのみ同一省庁への訪問は2日間のうち1回まで(同一省庁に翌日訪問不可))
官庁訪問についてはオープンになっていないことも多いため、公式の情報に加え、選考を突破したOBOGの情報を参考に準備を進めることをおすすめします。
【一般職(大卒程度)編】国家公務員の選考ルート
続いて、一般職(大卒程度)の内定までの選考ルートを解説します。
国家一般職試験には院卒者試験は無く、大卒程度試験、高卒者試験、社会人試験があります。
試験区分は、行政/電気・電子・情報/機械/土木/建築/物理/化学/農学/農業農村工学/林学です。
試験区分は、行政/電気・電子・情報/機械/土木/建築/物理/化学/農学/農業農村工学/林学です。
第1次試験
国家総合職試験とほぼ同じ構成ですが、軽微な違いとして国家総合職試験より文章理解のうち問題数がやや少ないといった特徴があります。
なお、専門試験は行政区分の場合のみ、16科目の中から8科目を選択回答し一般論文試験が課され、行政以外の区分では専門記述試験が課されるので注意が必要です。
官庁訪問
総合職がクール制をとっているのに対して、一般職は随時の実施になります。
官庁訪問については人事院が以下のガイドラインを出しているため、熟読の上応募してください。
第2次試験
国家一般職は官庁訪問の後に第2次試験があることが特徴的です。
試験内容は人物試験で、通過すると最終合格になります。
なお、総合職と同様、最終合格=内定ではないため必ず官庁訪問をしてください。
なお官庁訪問を実施しても、第2次試験に不合格だった場合は省庁はその候補者を採用できないため、2次試験に不合格だった場合は翌年の再受験が必要になります。
一般職高卒者試験について
一般職高卒者試験は一次試験、二次試験で構成されており、官庁訪問はありません。
高卒者試験は年齢制限があり、17歳から20歳で無ければ出願できないため大学進学者は基本的に大卒程度の一般職を受験することになります。
第1次試験
基礎試験(多肢選択式)
公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験(出題数合計40題)
知能分野20題 文章理解⑦、課題処理⑦、数的処理④、資料解釈②
知識分野20題 自然科学⑤、人文科学⑨、社会科学⑥
適性試験(多肢選択式)
速く正確に事務処理を行う能力についての筆記試験(出題数120題)
作文試験
第2次試験
人物試験
人柄、対人的能力などについての個別面接
人柄、対人的能力などについての個別面接
【参考】国家公務員採用試験 受験案内一覧
国家公務員の仕事についてもっと知りたい方へ
国家公務員の職種の区分など、概要についてお伝えしてきました。しかし、実際に国家公務員試験に臨む際には、各省庁の仕事についてや、やりがいを理解しておく必要があります。
外務省や経済産業省、国土交通省といった中央省庁に所属されている国家公務員の方をはじめ、JICAやJETROといった独立行政法人など多くの社会人が就活相談にのってくだいます。
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